メルセデスベンツは、コンパクトモデルのAクラス、Bクラスを現行型で終売し、Cクラス未満の車種について、CLA(4ドアクーペ)、CLAシューティングブレーク(4ドアワゴン)、GLA(2列シートのSUV)、GLB(3列シートのSUV)の4車種に整理します(なお、Cクラス以上の車種についても、CクラスとEクラスのステーションワゴンタイプは終売する見込みです)。
私が最初に買ったベンツはB170(ガソリン車)です。その後、C200ワゴン、E250ワゴン、E450ワゴンと買い換えて今に至ります。
今、私の自宅の駐車場には、E450ワゴンの代車として、現行型のB180(2024年1月新車登録)がいます。東名高速道路を含めて800㎞以上走行しました。
※AMGラインパッケージ装着車。アドバンスドパッケージ(360度カメラ、ヘッドアップディスプレイ)は装着されていません。
現行Bクラス(4代目後期型、2023.2MMC)のラインナップは、
B180(ガソリン車)1.4ℓ直列4気筒(136馬力、200Nm)、7速DCT
B200d(ディーゼル車)2ℓ直列4気筒(150馬力、320Nm)、8速DCT
の2種類です。
どちらも「トルコンAT」ではなく「DCT」(デュアル・クラッチ・トランスミッション)です。「DCT」は、MTのクラッチペダル操作とシフトレバー操作を自動化したものですが、トルコンATと比べると変速時のショックが発生しやすいと言われています。
さて、B180に800㎞以上試乗した感想ですが、一言で言うと「購入すべきではない」ということになります。
その最大の理由は、「異音」です。
私は、一般道でもACCをセットして移動しています。全車がスピードを落とすと自動的にスピードを落としてゼロ停止までしてくれるのですが、スピードを落とす際、常にというわけではないものの結構な頻度で尋常ではないレベルの異音(「ガリガリッ」「グシャグシャ」)がします。私は、これまで4台のベンツを乗り継ぎ、全てヤナセで定期点検していますが、私が買った車も提供された代車も、今回のような異音が発生したことはありませんでした(なお、提供された代車を振り返ってみると、確かにAクラス、CLA、Cセダン、Eセダンであり、これまでBクラスを提供されたことはありませんでした)。
この異音には慣れません。異音がするたびに、どこかを擦ったのか、ぶつけたのか、あるいはぶつけられたのかと思って、反射的に体がビクッとして落ち着きません。
私がE450ワゴンのほかに所有しているのはアウディA3ハッチバックです。A3もDCTですが、これまでB180のような異音が発生したことは一度もなく、運転していてトルコンATとの違いを感じることはまずありません(ごくごくまれに「カシャッ」という音が聞こえるときもありますが、気になるレベルではありません)。
※代車として借りた時点の走行距離は5000㎞でした。私が借りて500㎞を超えた時点から異音の頻度は減って音量もかなり小さくなりましたが、たまに「ゴキャッ」とか「ガシャッ」という音がしてビクッとなります。
その他、気づいた点は次のとおり。
1,座席のスペースは、前席・後席共にとても広い。Eクラスよりも広い。AクラスやCクラスでさえも運転席足元のスペースが狭く、特にACC作動時の左足の置き場に困ることがあるが(センターコンソールと左足が干渉する)、Eクラスではそのように感じることはない。BクラスはEクラスよりも更に広く、狭さを感じることはない。
2,フロントガラスは広大で、周囲が良く見える(私のE450ワゴンよりも広大)。運転していても視界が晴れ晴れしているため、とても気持ちが良い。リアガラスも必要な広さがあり、後ろが良く見えてストレスを感じることはない(CLAのリアガラスは最悪で、後ろが良く見えない。Aクラスのリアガラスも視界が十分とは言えない)。
時折異音がしても、視界の良さと足元スペースの広さがとても心地よく、妻のA3が空いていてもB180で外出したいと思わせる。
3,シートも良い。フロントガラスの広大な視界とあいまって、乗り心地はとても良い。少なくともAクラスやCLAよりも良好。Cクラスの代車を借りたときは外に出ることが億劫だったが、B180は視界の良さと足下スペースの広さのおかげで外に出ることが全く気にならない。
ただ、シートが良いと言っても、私のE450ワゴンのようなすっぽりと体を包み込むような感じまではなく、1時間程度のドライブをすると腰に負担がかかる(E450ワゴンでは全く感じない)。
また、E450ワゴンと比べるとロードノイズがうるさく、風切り音やタイヤの空洞音が車内に容赦なく入ってくる。E450ワゴンも車内にノイズが入ってくるものの、不快とは感じない。B180のノイズは不快に感じられ、「東名高速道路はこれほどうるさかったのか」ということを実感する。B180は道路の凹凸もよく拾い、車体が上下に細かく揺れるため、それにつられて視線も頻繁に動き、疲れやすく感じる(不快なノイズと頻繁な視線移動は疲れやすさの原因)。
4,ナビはARナビが採用されている。ナビの設計は、私のE450ワゴン(ARナビが導入された最初の世代)よりも新しい世代だけあって、より簡単に、より直感的な操作ができるように工夫されている。ARナビも、私のE450ワゴンのARナビよりも見やすく、分かりやすい。
※ARナビは、フロントガラスに設置されたカメラが道路のリアルタイム動画を撮影してナビ画面に流し、右左折時はその動画に矢印が出現して案内してるというもの。ただ、私のE450ワゴンのARナビの矢印は小さく、出現するタイミングが少し遅いため、矢印が出現した時点では車線変更するには遅すぎて右左折できないことがある。しかし、B180のARナビでは大きな矢印が早いタイミングで出現するように改良されているため、道を間違えることはないだろう。
5,ステアリングには様々な操作ボタンが設置されているが、物理式ではなく感圧式。私のE450ワゴン(「AMGラインパッケージ」ではなく「エクスクルーシブパッケージ」装着車)だと、ステアリング内部が百合の花のような形状をしており、左右2枚の大きなパネルの一部の区画を押す方式なので誤タッチが発生しやすい(ACCの速度調整をしようとしたら車間距離調整が作動することがたまに発生する)。
B180は「AMGラインパッケージ」が装着されている。ステアリングのデザインが大きく変わってトンボの羽のような形状になり、左右のパネルが上下に分割されるため、誤タッチがなくなる。
他方で「AMGラインパッケージ」を装着すると車高が1㎝低くなる。メルセデスベンツジャパンの実測値だと12㎝(「AMGラインパッケージ」を装着しなければ13㎝)であり、数値だけ見れば余裕がありそうだが、実測値11㎝のE450ワゴンよりもシビアに感じる。高さ10㎝の車止めに頭から突っ込んだり、路外から車道に出る際の段差を通過したりする際、フロント部分のAMGラインパーツが干渉して擦りそうになる(車高11㎝のE450ワゴンでは、高さ10㎝の車止めに頭から突っ込んで停車できるし、路外から車道に出る際の段差通過時も車体を擦りそうになることはない)。「AMGラインパッケージ」を装着したCクラスでもB180と同じような怖さを感じた((私がB170の次に購入したC200ワゴン、C200ワゴンの次に購入したE250ワゴンも「AMGラインパッケージ」装着車だったが同様の問題は皆無だったので、クラスを問わず最近の「AMGラインパッケージ」装着車に特有の現象と思われる)。
6,ACC(オートクルーズコントロール)は、私のE450ワゴンが、前車や道路のラインの認識度、加減速やゼロ停止の滑らかさで圧勝。
B180のACCは、信号待ちで停車中の前車を認識しないときが多く、前車に追従して速度を落とす際にカックンとなる衝撃が発生することが多い。また、ACC作動時の車間距離の表示がカクカクして安っぽく感じられる。
7,スマホとBluetoothで接続すると、自動車電話とAppleMusicを利用できる。AppleMusicは一度接続すれば車に乗るたびに自動再生になる。私のE450ワゴンだと音量設定が維持されるが、B180では車のエンジンを切ると音量設定がリセットされるという現象が多発するため、エンジンを始動すると爆音が流れてビクッとする。
なお、音質は薄っぺらく、シャカシャカ音が気になる。私のE450ワゴンには「ブルメスターサラウンドサウンドシステム」が装備されているが、B180とは音質は別物で、その効果を実感した。
8,長方形の横長の形状をしたナビ画面の下に丸型のエアコン送風口(結構大きなサイズ)が3つも設置されているが、エアコン送風口の自己主張が激しいせいで、インテリアは上品さに欠け、落ち着かない。センターコンソールからエアコン送風口にかけて、かなり大きな面積にピアノブラック塗装がなされているが、キズが付くことが不安だし、そもそもプラスチック素材にピアノブラック塗装をしても高級感は感じられない。
※現行Eクラスでは35万円でスーパースクリーンを装着できる。スーパースクリーンを装着すると、「ブラックピアノラッカーインテリアトリム」に変更され、ステアリングの奥の部分やエンジンスタートボタン付近がピアノブラック塗装になる。スーパースクリーンのガラス素材とピアノブラック塗装のプラ素材が同じ視界に入るため、ピアノブラック塗装の質感の低さがより強調され(同じ黒色だが質感が大きく違う)、とても悲しい気持ちになる。
※私のA3のほうが上質感がある。B180のほうが一見して明らかに高い素材を使っていることが分かるものの、A3は色やデザインの工夫によって落ち着いた上質感を醸し出すことに成功している。この落ち着いた上質感が再生プラ素材を多用威した現行A3では失われてしまったことが残念でならない。
以上を前提に、まとめます。
代車のB180と同じ車を新車で買おうとすると、588万9000円(本体548万円、AMGラインパッケージ40万9000円)がかかります。360度カメラまで欲しいとなると636万6000円です。
これに対し、A3スポーツバックを新車で買おうとすると、同様の装備内容で524万円ですので、B180とは112万6000円差です。
また、BMW2シリーズアクティブツアラーは580万90000円ですので、B180とは55万7000円差です。
この価格差だと、あえてB180を買おうと思う人は少ないと思います。
ただ、車幅がベンツB180が1795㎜であるのに対し、アウディA3が1815㎜、BMW2シリーズアクティブツアラーが1825㎜であるため、1800㎜を超える車幅がネックになるかもしれません。
また、もし車幅1825㎜が許容できるのであれば、2シリーズアクティブツアラーではなく3シリーズにしたほうが幸せになれそうです。ベンツの本流がEクラス、ポルシェの本流が911カレラであるとするならば、BMWの本流は3シリーズだからです。3シリーズセダンは新車だと709万6000円ですが、認定中古車だと低走行車でも400~500万円ですので、近くの正規販売店に認定中古車があったらお得です(特にプラグインハイブリッド車の330eは、新車だと870万円ですが、走行距離3000㎞程度の認定中古車が450万円程度で販売されています)。
※私は、2021年12月、A3スポーツバック(3代目後期最終型の特別仕様車)の未使用車(新車登録から1年ほど経過)を374万円で買いました。今思えば非常にお買い得でした。もっとも、コロナ禍になった直後の2020年の春頃はCクラスセダンの未使用車が400万円程度で叩き売られていましたので、あのタイミングでCクラスを買った人は笑いが止まらなかったはずです(当時、私はE250ワゴン、妻はC200ワゴンに乗っていました。C200ワゴンにはACCが搭載されていなかったので、妻にACCが欲しいか確認したところ要らないと言われたことから、超絶お買い得だったCクラスの未使用車の購入を見送りました。しかし、それから1年たって妻が急にACC付きの車が欲しいと言い出し、その頃にはCクラスの未使用車の在庫は既に払底していたので困りましたが、タイミングよくA3の未使用車に出会ったという次第です)。
Bクラスは、代車で借りるならば最良の車と言えます。異音の原因が個体差なのか、誰も乗らない期間が長すぎてオイルが回っていなかったからなのかは分かりませんが、異音を無視すれば、車体がコンパクトかつ視界の良好さのおかげで非常に運転がしやすいです。
ただ、自分で買うとなると、「Bクラスで600万かぁ」という思いがどうしても拭いきれません(私がB170、C200ワゴン、E250ワゴンを新車で買った頃は、Bクラスは400万円、Cクラスは500万円、Eクラスは650万円で買える時代でしたので、尚更そう思うのかもしれません)。
いつも拝読しています。
返信削除今日、スーパーに行ったら国産米が5kgで税込5000円を超えていました。前回、お米の記事が興味深かったので、またお米事情を掲載いただければ嬉しいです。
本当にこの3年間で値上がりが根付きましたね。やはり日本にはデフレが合っている気がします。
コメントありがとうございます。
返信削除>スーパーに行ったら国産米が5kgで税込5000円を超えていました。
普通のコメが高くなりましたよね。
私がいつも買っている魚沼産の特別栽培米(株式会社満作)は1㎏980円ですので、相対的に安くなりました。
ただ、行きつけの米屋では在庫払底状況(入ったらすぐに売り切れる状況)が続いていますので、事前に電話して在庫状況を確認してから行くようにしています。
末期モデルのBクラスでその程度の熟成度はメルセデスは終わっていますね・・
返信削除DCTってドイツ車が頑固として採用し続けていますけど、いつまで経っても改善されないのが気になります。
昔と違い、ドイツ車全体のクオリティが落ちていると思いますね。
前にも言いましたけど、日本車を食わず嫌いせず一度で良いから試乗してみて欲しいです。
ここ10年で完全にドイツ車を上回っています。
安全性もね!
コメントありがとうございます。
返信削除>末期モデルのBクラスでその程度の熟成度
本文にも書きましたが、最初の500㎞まではひどかったのですが、現時点では落ち着いており、時々「クシャッ」とか「カシャッ」とかいう音がするだけになっています。
ただ、もう少し完成度を高めてから発売してほしかったです。
>日本車を食わず嫌いせず一度で良いから試乗してみて欲しいです
C200ワゴンを買う前にプリウスに試乗してみたことがありますが、走って5分でダメだということが分かって以来、日本車には試乗していません。
15~20分程度の試乗だと、明らかに悪い車は除けますが、良さそうな車が本当に良い車かどうかは長時間乗ってみないと判断できません。
買った後に後悔したくはないので、みんなが絶賛する車がどうしても候補車になります。