NTTドコモの前田社長は、マスコミ各社に対し、住信SBIネット銀行とマネックス証券の社名を変更し、社名に「ドコモ」を入れることへの強い意欲を示しました。
共同通信、時事通信、日経新聞が報じています。
一番詳しいのは日経新聞の下記記事(2025/06/23 00:00 日経速報ニュース)です。
●ドコモ社長「住信SBIネット銀行の社名にドコモ」 dポイント還元検討
上記記事によると、
1,住信SBIネット銀行の社名は、三井住友信託銀行(出資比率は34%)と相談して変更する。社名に「ドコモ」を入れる。
2,マネックス証券の社名は、住信SBIネット銀行の社名変更後にマネックスグループと相談する。社名変更かサービス名の変更かはまだ未定だが、ドコモのイメージをより強める方向にする。
ということです。
住信SBIネット銀行の社名変更は理解できます。
住信(住友信託銀行)もSBIもいなくなった以上(「住友信託銀行」は合併して「三井住友信託銀行」に社名変更)、「住信」や「SBI」を社名に入れたままにするわけにはいかないという正当な理由があるからです。
ただ、社名に「ドコモ」を入れると、ドコモ携帯ユーザーへの訴求力はアップするメリットがあるとしても、それよりもドコモ携帯ユーザーではない人が離れてしまうデメリットの方が大きいでしょう。auが「じぶん銀行」を「auじぶん銀行」に、「カブドットコム証券」を「auカブコム証券」にそれぞれ社名変更してau色が強まって失敗した前轍があるのに、おそらく「auとは違ってドコモにはブランド力があるから、ドコモを社名に入れればみんな喜ぶはずだ」と勘違いしているのだろうと思われます。
住信SBIネット銀行が成功した最大の理由は、SBI証券にコバンザメしたからです。
しかし、SBIが新生銀行を手に入れたことで、住信SBIネット銀行でできていたことは新生銀行でもできるようになり、住信SBIネット銀行を利用していたSBI証券の顧客が住信SBIネット銀行を使い続ける理由はなくなりました。
「ドコモ銀行」ないし「NTTドコモ銀行」に社名変更すると、新生銀行ではなく住信SBIネット銀行を何となく利用し続けていた顧客が新生銀行に切り替えるきっかけになる気がします。
住信SBIネット銀行よりも悪影響が大きいのはマネックス証券の社名変更でしょう。前田社長が社名変更をしたいという本心を剝き出しにできない理由も、社名変更への反発の強さを危惧しているからかもしれません。
というのは、住信SBIネット銀行と異なり、マネックス証券には社名を変更する必要が全くないからです。「ドコモ証券」ないし「NTTドコモ証券」への社名変更はドコモのエゴのごり押しが露骨すぎて嫌ですし、「ドコモ」の名前にブランド力があると思っている日本人は少数派でしょう(10年ほど前まではどんな僻地でもつながるのはドコモだけという強い信頼感がありましたが、今では都心部でもつながらなくなったというイメージが強くなり、ドコモのブランド力を支えていたネットワーク品質の高さが崩壊しました)。
私は、マネックス証券を「ドコモ証券」に社名変更するのは悪手であり、とりわけ非ドコモユーザーの顧客離れを招くと考えます。
ただ、社名は「マネックス証券」のままで、ドコモユーザーを対象とする優遇サービスを新設するのはアリだと思います。「ドコモダケ」を活用するのも面白いかもしれません。
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