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2023年5月15日月曜日

楽天証券楠社長「投資信託クレジットカード積み立てポイント見直し」の理由

下記記事を読みました。


●楽天証券楠社長「投資信託クレジットカード積み立てポイント見直し」の理由

https://dot.asahi.com/aera/2023051100075.html?page=1



※よろしければ、次の記事もご覧ください。


●楽天市場でこれを買え(2023.5)

https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/05/20235.html



記事の核心は、次の部分です。


現在は信託報酬の水準や利用するクレジットカードの種類により0.5~1%(2023年4月13日に新たな変更を発表)に見直された。楽天キャッシュによる投資信託つみたては0.5%だ。その理由は?
ポイント還元の原資になる投資信託の信託報酬自体が何度も引き下げられたためです。運用収入を大幅に超える還元は厳しい。どこかの赤字を別の黒字で埋めるビジネスは永続しません

https://dot.asahi.com/aera/2023051100075.html?page=3


楽天証券が楽天カード決済による投信積立サービスをスタートしたのは、2018年12月買付分からです。
当時の還元率は1.0%です。カードの種別(ノーマル、ゴールド、プレミアム、ブラック)による還元率の差はなく、どのカードでも1.0%の還元率でした。

クレジットカード決済で投資信託を購入して1.0%のポイントがもらえることには絶大な魅力があります。楽天証券がSBI証券と並ぶ2大ネット証券会社に成り上がる原動力となりました。

楽天証券の躍進に驚いたネット証券各社は、相次いでクレジットカード決済による投信積立サービスを導入します。
SBI証券は三井住友カード(年間決済額が100万円に到達すると次年度以降の年会費が永年無料になるゴールドカードで還元率1.0%)、マネックス証券はアプラスカード(年1回の利用で年会費無料になるカードで還元率1.1%)、auカブコム証券はauPAYカード(年1回の利用で年会費無料になるカードで還元率1.0%)と提携し、楽天カード投資と同等の還元率で攻勢に出たのです。

しかし、楽天証券は、2022年9月買付分から、なんと楽天カード投資の還元率を1.0%から0.2%に引き下げたのです。2022年8月買付分から楽天キャッシュ決済による投信積立サービスを新設したものの、還元率が0.5%である上に事前チャージが必要ということもあり、還元率1.0%の楽天カード投資の代替とはならないものでした。
さらに、2022年3月31日で投信保有ポイント(投資信託の保有残高×年率0.048%のポイントを付与するサービス)も終了させたのです(SBI証券でたわら先進国株を保有すると保有額×0.05%のポイントを毎年もらえるのに対し、楽天証券ではゼロです。何ももらえません)。

冒頭の楠社長のコメントは、この時点のものであれば納得できます(ちなみに、楽天キャッシュ投資の還元率0.5%にかかるコストは、新しいサービスである楽天キャッシュの販促費用にする目的で楽天Edyが負担しています)。

しかし、冒頭のコメントは、楽天カード投資の還元率を1.0%から0.2%に引き下げたことに対するものではなく、0.2%から0.5%に引き上げたことに対するものです(楽天証券は、2023年6月買付分から楽天カード投資の還元率をノーマル0.5%ゴールド0.75%プレミアム1.0%ブラック2.0%に引き上げます)。

楽天証券がクレジットカード決済による投信積立サービスの還元率を引き上げた理由は、2024年にスタートする新NISAのパイの奪い合い(1人の人が新NISA口座を開設できるのは1社だけ)にこのままでは負けてしまうと思ったからでしょう。
とはいえ、競合他社と同水準(還元率1.0%)まで戻すことはカネがなくてできず(楽天モバイルの赤字が元凶です)、0.5%で勝負するしかなかったというのが本音なのではないでしょうか。


楽天証券は、2023年5月8日、つみたてNISAの口座数が業界最多の300万口座に到達し、56.3%のシェアを占めた旨を発表しました(NISA全体では31.6%のシェアであり、これも業界最大です)。

カネの切れ目は縁の切れ目と言います。
ポイントを配ることができなくなった楽天証券は、果たして2024年にスタートする新NISAでも現行NISAと同様に圧倒的なシェアを獲得することができるのでしょうか。楠社長の舵取りが試されます。


3 件のコメント:

  1. ブログの本題とはズレてしまいますが、社長が楽天グループから来た人間ではなく、(買収された側の)DLJディレクトSFG証券の人だった事に驚きました。
    買収したらまずはトップを替えるものだと思っていたし、楽天の買収は2004年で、もう19年も経っているのに。

    もちろん楠社長率いる楽天証券はグループの稼ぎ頭として数字を出し続け、更迭する理由もなく、また楠氏は金融マン・証券マンというよりはエンジニア寄りの方のようなので、この人をクビにするとIT部門の退職者が相次ぎ、システムを維持出来ないという話かもしれませんが。

    約20年もの間、親会社の方針に振り回され続けながら闘う姿に、同情の念を抱きます。

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  2. >どこかの赤字を別の黒字で埋めるビジネスは永続しません
    素晴らしく合理的な判断です。楠社長は、モバイル事業で大赤字を出しているどこぞの企業に進言するとよいのではないでしょうか(皮肉)

    返信削除
  3. コメントありがとうございます。

    >約20年もの間、親会社の方針に振り回され続けながら闘う姿に、同情の念を抱きます。

    経歴を見ると、いろいろとご苦労されているようですね。
    今も楽天経済圏にどっぷりつかっている姿を折に触れて見せなければならないようですし。

    >素晴らしく合理的な判断です。

    ポイントは経済合理的な観点からの判断ではなく、同業他社との競争原理からの判断ですから、楠社長のコメントは間違っているのですが、三木谷会長にもっとポイントをくれとは言えないので仕方がないんでしょうね。

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