全世界の株式に時価総額比で投資するファンドと言えば、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」です。
その純資産額は4兆0362億円。同じシリーズのスリムS&P500(純資産額5兆2780億円)に続く規模です。
スリムオルカンがこれほどの人気を集めるに至った最大の理由は、税込0.05775%という驚くべき信託報酬の安さです。
しかし、スリムシリーズは、より低コストな同種ファンドが出ない限り自主的な引き下げはしないため、スリムオルカンの信託報酬が0.05775%に引き下げられたのは次の2つのファンドのおかげです。
まず、2023年4月26日、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」が信託報酬0.05775%で登場しました。この当時のスリムオルカンの信託報酬は0.1133%でしたので、スリムオルカンの50%オフのバーゲン価格でした。
しかし、トレーサーズオールカントリーは指数のライセンス料や法定書類の印刷費用等を信託報酬に含めていないことから、スリムオルカンは早々に対抗値下げしない旨を宣言しました。
非常に残念に思っていたところ、2023年7月10日、「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」が信託報酬0.05775%で登場しました。運用会社が野村アセットマネジメントであったことや、指数のライセンス料や法定書類の印刷費用等を運用会社負担にするという今までどおりの仕組みを採用したことで、スリムオルカンはもはや弁解することができなくなり、2023年9月8日、対抗値下げをしました。
このように、スリムオルカンの信託報酬が0.05775%になった直接の原因ははじめてのNISAオールカントリーですが、はじめてのNISAオールカントリーはトレーサーズオールカントリーが存在しなければ信託報酬を0.05775%にはしなかったので、トレーサーズオールカントリーはインデックスファンドの超々低コスト競争の口火を切るという重要な役割を果たしたことになります。
さて、超々低コスト競争の最大の功労者であるトレーサーズオールカントリーは、第1回運用報告書を開示しました。
第1回のため、運用期間は2023年4月26日から2024年5月16日までと変則的です。運用報告書9頁記載の信託報酬は0.061%であり、本来の0.058%(四捨五入)に直すには0.9508を掛ける必要があります。修正後の数値は、次のとおり。
売買委託手数料 0.005%
有価証券取引税 0.005%
その他費用 0.072%
(保管費用 0.028%)
(監査費用 0.005%)
(印刷費用等 0.034%)
(その他 0.006%)
※2023年8月3日付訂正有価証券届出書で、「印刷費用等」と「監査費用」の合計額の上限が0.10%から0.030%に引き下げられました。第1回運用報告書9頁に記載された合計額は0.039%ですので、第2回運用報告書以降はこれが0.030%になります。
スリムオルカンとたわら先進国株(参考)の最新の運用報告書の数値は、次のとおり。
●スリムオルカン
信託報酬 0.076%
売買委託手数料 0.006%
有価証券取引税 0.019%
その他費用 0.030%
(保管費用 0.027%)
(監査費用 0.001%)
(印刷費用等 運用会社負担)
(その他 0.002%)
信託報酬を除くコストの合計 0.055%
●たわら先進国株(参考)
信託報酬 0.099%
売買委託手数料 0.002%
有価証券取引税 0.012%
その他費用 0.021%
(保管費用 0.016%)
(監査費用 0.001%)
(印刷費用等 運用会社負担)
(その他 0.003%)
信託報酬を除くコストの合計 0.034%
スリムオルカンやたわら先進国株にはなく、トレーサーズオールカントリーにあるのは「その他費用」の「印刷費用等」の0.034%です。トレーサーズオールカントリーの運用報告書9頁には「印刷費用等は、法定開示資料の印刷に係る費用、運用において利用する指数の標章使用料など 」と記載されていますので、まさにこの部分がトレーサーズオールカントリーが運用会社負担にせず顧客負担にした部分ということになります。
トレーサーズオールカントリーの「信託報酬を除くコストの合計」0.082%から「印刷費用等」の0.034%を引くと0.048%となり、スリムオルカンの0.055%を下回ります。
基準価額の騰落率でも比較してみます(赤字は最優秀=同率1位を含む)。
1か月 5.11%
3か月 10.96%
6か月 25.88%
1年 39.94%
●はじめてのNISAオールカントリー
1か月 5.12%
3か月 10.96%
6か月 25.86%
1年 39.91%
●スリムオルカン
1か月 5.12%
3か月 10.96%
6か月 25.82%
1年 39.83%
トレーサーズオールカントリーの上記リターンは、指数のライセンス料や法定書類の印刷費用(上限0.030%)を控除した後の数値ですので、直近1年間の運用成績を見る限りでは極めて優秀と言えるでしょう。
いつも楽しい記事ありがとうございます。
返信削除男爵様は、少数ですが個別株をお持ちのようですが、
キャピタルゲインでなく、株主優待目的で持っている銘柄があれば(差し支えなければ)教えていただきますか?
トレカンは、「運用報告書が出るまで信用できない」→充分に低コストだった
返信削除「実際の騰落率を見ないと安心できない」→優秀だった
という事で文句の付けようが無い状況ですが、これで今後資金流入が増えるかというと、難しいでしょう。既に勝負は着いている(終わっている)というか。
投資という、世の中で最も1円1銭にこだわる人が多そうな分野なのに、ブランド人気(Slimや楽天です)が席巻しているのは、何故なのでしょう。
最新の合計コストを比較したい場合は下記の計算で、オルカンの方が低いってことで合ってますでしょうか?
返信削除トレカンが 0.058 + 0.082 = 0.14%
オルカンが 0.076% + 0.055% = 0.131 %
また、オルカンって信託報酬0.05775%だった気がするのですが、次の報告書ではその値になるんでしょうか。
お世話になっております。
返信削除イオン株が安くなってきているので、株主優待目的で、購入を考えているのですが、
いかがでしょうか。
近所のダイエーで、1週間に3回は食品を購入しています。
イオンは、1ヶ月に3回ほど行っています。
イオンシネマは、年4回ほど行っています。
ご返信いただけば幸いです。
コメントありがとうございます。
返信削除>キャピタルゲインでなく、株主優待目的で持っている銘柄があれば教えていただきますか?
前にIPOをやっているときに当選した有望そうな株のほか株主優待目的ですが、大したものはありません。
163万円で買ったものが272万円の含み益が乗って435万円になっているので、今更どれを売るのか考えるのも面倒でそのまま持っているだけです。
>ブランド人気(Slimや楽天です)が席巻しているのは、何故なのでしょう。
「寄らば大樹の陰」と考えている人が多いからでしょうね。
時価総額にコバンザメする投資方法を選好する以上、その投資対象も純資産額が大きいファンドにコバンザメしたいと思うのでしょう。
私がたわら先進国株を買った理由も、巨額のマザーファンドにコバンザメしたいと思ったからですし。
>最新の合計コストを比較したい場合は下記の計算で、オルカンの方が低いってことで合ってますでしょうか?
スリムオルカンの信託報酬部分は、0.058になります。
>オルカンって信託報酬0.05775%だった気がするのですが、次の報告書ではその値になるんでしょうか。
第6期は途中で信託報酬の引き下げがありましたが、今の第7期は最初から0.05775%ですので、そうなります。
>イオン株が安くなってきているので、株主優待目的で、購入を考えているのですが、いかがでしょうか。
チャートを見ると、4年前の高値にようやく戻った感じですね。
4年前と同じようにこれから下がっていくのか、あるいは上がり続けるのか、私には全く分かりません。
なお、イオンシネマはイオンカード(ミニオンズ)でも1000円になります。
お忙しい中、ご返信ありがとうございます。
返信削除いつも拝見しております。
返信削除今更どれを売るのか考えるのも面倒でそのまま持っているだけの個別株がおありとのことですが、SBI証券でときどきやるキャンペーンで買った投信(SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド など)を、買い増すつもりはなく、かといって取り急ぎ売る理由もなくずっと持っています。男爵様はさっさと売ってしまわれますか?
男爵様
返信削除今回の都知事選、そもそもなぜここまで石丸氏を熱狂的に支持する人たちが多くいたと思いますか。
個人的には全くわからないので、よろしければその点も分析していただければ嬉しいです。
コメントありがとうございます。
返信削除>男爵様はさっさと売ってしまわれますか?
私ならばさっさと売ります。
私のSBI証券の特定口座にはたわら先進国株しかいませんし、クレカ投資をしている他社の特定口座にはスリムオルカンしかいません。
>今回の都知事選、そもそもなぜここまで石丸氏を熱狂的に支持する人たちが多くいたと思いますか。
小池都知事の批判票の受け皿となるべき人がいなかったからだと思っています。
組織運営ができそうな人が、石丸さんのほかは田母神さんしかおらず、田母神さんは75歳の元自衛官で大衆的支持を集める人材ではなかったので、市長経験のある石丸さんに票が集まったのでしょうね。
蓮舫さんは、大臣経験があるといっても1年半程度で、しかも省庁大臣の経験はないため、都庁を掌握する能力があるかは不明です。
お世話になっております。
返信削除頭のいい方より、以下のような投稿がありました。
新NISAは、フルで入れているので、来年早々に360万いれる予定でしたが、早めに(今月中に)何かアクションを起こした方が良いでしょうか。
たわら男爵さんでしたら、次のような資産でしたらどのように動きますか。
現在の資産は、現金1860万円、個人向け国債1000万円、たわら先進国株2700万円(つみたてNISA.新NISAはフルで入れていて、あとは特定口座です)
【頭のいい方の投稿】
今月末の金融政策決定会合が
★金利を上げない→円崩壊
★金利を上げる→国債崩壊→前言撤回→円崩壊
と円崩壊のxデイになると言われている。
コメントありがとうございます。
返信削除>今月末の金融政策決定会合が円崩壊のxデイになると言われている。
株価予測よりも難しいのが為替予測だと言われています。
この人がホンモノであれば、誰にもしゃべらず黙って相場をはれば大金持ちになれます。見ず知らずの不特定多数の人にタダで教えるからには、何か他の目的があると考えるべきだと思います。
ご返信ありがとうございます。感謝です。
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