日経新聞(2024.8.8夕刊5頁)で、「新NISA対象ファンドの年初来の資金流入額」トップ10ファンドの一覧表が掲載されています。
これを見ると、新NISAの勝ち組ファンドが分かります。
上記一覧表は、新NISA対象ファンドの年初来資金流入額(2024.1.1~7.31)を調べて多い順に並び替えたものです。
1位 スリムオルカン 1兆5646億円
2位 スリムS&P500 1兆2228億円
6位 楽天S&P500 2078億円
7位 SBI・V・S&P500 1863億円
8位 iFreeNEXT FANG+ 1745億円
10位 楽天オールカントリー 1563億円
トップ10ファンドのうち、3位、4位、5位、9位はアクティブファンドです。
3位の「HSBCインド・インフラ株式オープン」(購入手数料3.85%、信託報酬2.09%)の年初来資金流入額は2683億円ですので、1位のスリムオルカンと2位のスリムS&P500は文字通り桁違いの人気を集めていることが分かります。
また、楽天S&P500と楽天オールカントリーも大健闘しています。
これらは、楽天証券の新NISA口座でスリムS&P500とスリムオルカンを買うつもりだった顧客を奪う目的で新規設定されたものですが、楽天証券のなりふり構わぬ宣伝活動が奏功し、見事にその目的を果たしました。
販売会社は楽天証券1社だけなのにS&P500ファンドと全世界株ファンドの分野でトップのスリムに続く2番手の座を確保しているのは、NISAの人気とNISA口座数で業界ナンバーワンの楽天証券の強さを示しています。
これに対し、SBI・Vシリーズは、S&P500ファンドが7位にランクインしたものの、その他は芳しくありません。
その理由は、米国ETFを買うだけファンドであり、信託報酬に米国ETFの経費率が上乗せされるという構造のせいで値下げに限界があるからです。
例えば、SBI・V・全世界株の実質信託報酬は信託報酬0.0682%+米国ETFの経費率0.034%=0.1022%ですが、スリムオルカンの信託報酬0.05775%に対抗することができていません。スリムオルカンの0.05775%から米国ETFの経費率0.034%を差し引くと0.02375%となって商売にならないからです。
超低コスト競争が激化した結果、米国ETFを買うだけファンドを信託報酬0.0682%で出しまくるというシリーズのコンセプトが価格競争力を失ってしまったわけですね。
というわけで、新NISAの勝ち組ファンドはスリムオルカンとスリムS&P500の二強ですが、そこに脅威の宣伝力で楽天S&P500と楽天オールカントリーが食い込むことに成功したという図式になります。
“ブラックマンデー”で、さすがのスリムオルカン、スリムS&P500も資金流出超過が発生したみたいですね。
返信削除https://moneyworld.jp/news/05_00136766_news
スリムS&P500 の7月末までの1営業日あたりの資金流入は、ざっくり87億円。
1兆2228億 ÷ 約140営業日(7ヶ月) = 87億円
それが8月7日は、1日で226億円の資金流出。
7月までは市場自体が絶好調だったわけで、8月の相場急変以降、流入超過だったトレンドが変わるのかどうか、継続して動向をウォッチしていきたいところです。
コメントありがとうございます。
返信削除いま新記事を書いていたところでしたが、結構な金額の流出があったようですね。
新NISAがスタートした直後ということもあって、政府、日銀、新聞、証券会社らがこぞって長期投資であることを思い出させようとしていますが、ある程度は奏功しているようで良かったです。
ただ、今後の相場状況次第では大変なパニック売りを招く可能性がありますので、南海トラフ情報とあわせて注意が必要だと思っています。
オルカンやS&P500 など複数の投信がしのぎを削っていますが、これだけ売れているにも関わらずFANG+に関しては、事実上、信託報酬の高いiFreeNEXTのみなんでしょうか?
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除>FANG+に関しては、事実上、信託報酬の高いiFreeNEXTのみなんでしょうか?
現状は、iFreeが独占している形になりますね。
iFreeの新規設定日は2018年1月31日ですので、地道にファンを増やし続けていることになります。
構成銘柄数はわずか10銘柄ですし、真似しようと思えば簡単に真似できそうですが、タイミングを逃してしまったのかもしれませんね。