QUICK資産運用研究所が、
●オルカンなど主要ファンドから資金が流出 7日の投信
https://moneyworld.jp/news/05_00136766_news
という記事を公開しています。
※よろしければ、次の記事もご覧ください。
●新NISAの勝ち組ファンドはこれだ
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2024/08/nisa.html
QUICK資産研究所によると、8月7日、国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)から流出したお金(設定額-解約額)は1609億円ということです。
そのうち、主要なインデクスファンドの流出額は、次のとおり。
スリムS&P500 226億円
スリムオルカン 78億円
SBI・V・S&P500 78億円
楽天VTI 48億円
スリム先進国株 16億円
ニッセイ外国株 15億円
たわら先進国株 13億円
軒並み流出していますが、まだパニック売りという水準ではありません。
※モーニングスタージャパンも、
●市場急落をうけての投信市場動向、一部でパニック売りも逆張り投資家も存在
https://ibbotson.co.jp/news/0809_fund_flows/
というレポートを公表しています。
モーニングスターによると、
1,8/7の純流出額は1479億円。
2,うち北米株式型(S&P500など)の純流出額は484億円。
3,うち全世界株式型の純流出額は100億円。
4,うちインド株インデックスファンドの純流出額は45億円。
ということです。
QUICK資産研究所とは金額が若干違うものの、傾向は同じです。
ちなみに、たわら先進国株の8月1日以降の基準価額は、
8/5 30617円(-4.47%)
8/6 29710円(-2.96%)
8/7 30346円(+2.14%)
8/8 30077円(-0.89%)
8/9 30943円(+2.88%)
というように推移しています。
これらの推移を見ても、まだまだ慌てる時間ではありません。
とはいえ、QUICK資産研究所の上記記事によると、新NISAがスタートして以降、スリムオルカンで日額1億円以上の資金流出が発生したのは初めての事態ということですので、相場の急落に動揺して売却してしまった人が相当数いることは間違いなさそうです。
これを重く見た運用会社(三菱UFJアセット)は、責任者の個人的見解という形で緊急レポートを公表しています。
●相場の乱高下を乗り越えることで 投資家としての力量が高まる
三菱UFJアセットマネジメント株式会社 常務取締役マーケティング部門長 代田秀雄
https://www.am.mufg.jp/corp/topics/__icsFiles/afieldfile/2024/08/08/oshirase_240808_2.pdf
8月5日(月)、日経平均株価は1987年のブラックマンデーを超える4,451円の下げ幅を記録しま した。この日のオルカンの基準価額は前営業日の24,475円から23,268円となり、1,207円、4.9%下落し、S&P500も前営業日の29,337円から28,019円となり、1,318円、4.5%下落しました。この2ファンドにとっては珍しいことですが、この日の解約額が設定額を大きく上回りました。(中略)
本日8月8日(木)は、相場も冷静さを取り戻しつつあります。オルカンならびにS&P500への資金フローも通常通り設定が解約を大きく上回っています。ここ数日、解約額は⼀時的に増えましたが、 設定額はこれまで通りの水準で推移しています。これは⻑期投資家のみなさまが、引き続き長期投資を継続していこうという意思の表れであると捉えています。こういう市場の乱高下を経験しなが ら⼀緒に長期投資家としての力量を⼀層高めていきましょう。
上記レポートで代田常務取締役は次のように述べ、売却せずにバイアンドホールドを続けることを勧めてています。
投資信託の中でも債券に投資するファンドに比べ株式に投資するファンドは期待リターンは高くなります。期待リターンが高い投資は、リスクも大きくなります。高いリターンを獲得するためのプロセスに相応のリスクがあることは絶対的な法則です。リスクが大きいということは、期待するリターン水準に対して、直線的に右肩上がりで上昇するのではなく、上下を繰り返しながら上昇するということ です。期待リターンが高いほど、リスクが大きくなり上下の価格変動が大きくなります。
上昇相場の時には市場にいたいが、下落相場の時には市場から離れたいと思う方もいらっしゃるでしょう。残念ながら短期的な相場変動は、投資を職業としているプロでも当てることはできません。ある局面で相場変動の予測が当たったとしても、偶然の産物である可能性が高く、継続的に正確に見通す力は誰にもありません。これは投資理論として実証研究されてきたテーマですが、短期的には株価も為替もランダムに動くといわれています。ランダムとは、規則性がなく予測不能な動き方をするということです。つまり、短期的な相場の上げ下げを正確に予想して上昇局面の時だけ市場にいることなど誰にもできません。投資を手仕舞って市場から離れてしまうことは、同時に相場上昇の機会を失うことにしかなりません。
今後の為替と株式の相場がどう動くかは全く分かりませんが、20年後30年後というゴールを見据えた長期投資であることを改めて心に刻み付けたいものです。
いつも為になる記事ありがとうございます。
返信削除本記事とは関係ありませんが、日銀の利上げを受けて、普通預金金利を引き上げる銀行が増えています(東京スター銀行やSBI新生銀行など)。
男爵様は、以前、auじぶん銀行と楽天銀行を活用されていると記事にされていたかと思いますが、他行の金利引き上げを受けて、変更される予定はありますか。または、ベストプラクティスを記事にして頂けると大変ありがたいです。
全世界分散、先進国分散の人たちよりも、米国一点主義の人たちの方が目先の動きであたふたしやすい傾向が数字で出てる感じですかね。
返信削除過去リターンだけを見て動いている人が多そうな層ですから違和感はありませんが。
QUICKの記事で純資産残高に対する8月7日の資金流出額の割合を見ると、スリムS&PとSBI S&Pは0.5%近くの流出。
返信削除一方、ひふみプラスは0.1%程度。両者には5倍くらいの差があります。
ちなみにたわら先進国株式は、その中間の0.23%。
過去、ひふみ投信はカンブリア宮殿で取り上げられて純資産残高が急増し、その後、急減しました。
今は岩盤層が残り、相場急変でも離脱率が低いように見えます。
一方、新NISAで急伸したスリムS&PやSBI S&Pは、正直、浮動層も多そうに感じます。
資金流出・流入の急変はファンド運用に悪く、落ち着いて欲しいところです。
誰にも先が分からない世界で我々が出来る事は、1秒でも長く市場に居続ける事だけですね。
返信削除たとえ流出額が多かったとしても、積立をしバイアンドホールドする他ありません。
男爵様に相談です。
私はつみたてNISA・新NISAで先進国株式とS&P500を1:1の割合で積み立てています。
ですがよりシンプルにしたいと思うようになり、今後は先進国株式のみ積み立てる予定です。S&P500は積立を停止し、保有分は将来の取り崩しの際にこちらを優先的に売却するのが良いでしょうか?
コメントありがとうございます。
返信削除>日銀の利上げを受けて、普通預金金利を引き上げる銀行が増えています(東京スター銀行やSBI新生銀行など)。
スター銀行は分かりませんでしたが、新生銀行はSBI証券と連携するだけでダイヤモンドステージになって普通預金が0.3%になるんですね。
>男爵様は、以前、auじぶん銀行と楽天銀行を活用されていると記事にされていたかと思いますが、他行の金利引き上げを受けて、変更される予定はありますか。
auじぶん銀行も引き上げるでしょうから、少し様子をみたいと思っています。
>全世界分散、先進国分散の人たちよりも、米国一点主義の人たちの方が目先の動きであたふたしやすい傾向が数字で出てる感じですかね。
そうかもしれないですね。
これまでの資金流入額と比べると、今回の資金流出額は明らかに多すぎます。
>スリムS&PやSBI S&Pは、正直、浮動層も多そうに感じます。資金流出・流入の急変はファンド運用に悪く、落ち着いて欲しいところです。
日本人なのにあえてS&P500ファンドを買う人はリターンに魅力を感じたからと思われますので、急落で離れた人も多かったのでしょうね。
そういう意味では、流行りでない先進国株ファンドを買うメリットが増えたのかもしれません。
>S&P500は積立を停止し、保有分は将来の取り崩しの際にこちらを優先的に売却するのが良いでしょうか?
新NISAの枠が余っており、かつ今後も新NISAでの投資ができない状態であれば、つみたてNISA口座保有分を売却しても新NISA口座保有分を売却しても同じですので、要らないほうを売却してください。
ただ、つみたてNISAを含めたNISAのお金には極力手を触れない(絶体絶命のピンチになって初めて売却する)という覚悟で資産形成に励んだ方が良いと思います。