野村総合研究所は、2025年2月13日、「純金融資産保有額別の世帯数と資産規模」の推計額を公表しました。
こちらです。
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20250213_1.html
まず、階層別の世帯数は、次のとおりです(なお、カッコ内の割合は、世帯数を単純に合算した5570.4万世帯を母数として計算しました)。
超富裕層(資産5億円以上) 11.8万世帯(0.21%)
富裕層(資産1億円~5億円) 153.5万世帯(2.76%)
準富裕層(資産5000万円~1億円) 403.9万世帯(7.25%)
アッパーマス層(資産3000万円~5000万円) 576.5万世帯(10.35%)
マス層(資産3000万円未満) 4424.7万世帯(79.43%)
「超富裕層」と「富裕層」は全世帯数の2.97%ですが、彼らが保有する資産は全体の26.13%になります。
これに対し、全世帯数の79.43%を占める「マス層」は、全資産の39.61%しか保有していません。
2005年の推計結果(4900.3万世帯、1153兆円)では、「超富裕層」(0.11%)と「富裕層」(1.66%)は全世帯の1.77%であり、彼らが保有する資産は全体の18.47%です。
これに対し、「マス層」は全世帯数の78.19%を占め、全資産の44.41%を保有しています。
2023年の推計結果と比較すると、「超富裕層」も「富裕層」も増えていることが分かります。
この点について、野村総合研究所は、次のとおり分析しています。
1,「超富裕層」と「富裕層」の世帯数と保有資産は、2013年以降、一貫して増加を続けている。
その理由は、株式や投資信託などの資産価値が上昇したことで、これらリスク資産を多く保有している世帯が「準富裕層」から「富裕層」、「富裕層」から「超富裕層」にランクアップしたからである。特に2023年は株価上昇と円安のおかげでリスク資産の価値が大きく上昇し、この傾向が強まった。
2,野村総合研究所は、「株式相場の上昇を受け、運用資産が急増したために富裕層になった層」を「いつの間にか富裕層」と定義した。
「いつの間にか富裕層」は、40代後半から50代の一般の会社員が従業員持株会、確定拠出年金、NISAを活用して運用資産が1億円を超えたケースが多く、「富裕層」の1~2割が「準富裕層」からランクアップした「いつの間にか富裕層」ではないかと思われる。
同様の状況は、「アッパーマス層」から「準富裕層」にランクアップした世帯(「いつの間にか準富裕層」)にも妥当するものと想定される。
「いつの間にか(準)富裕層」は、給与収入の範囲内でこれまでと変わらない生活スタイルを維持し、金融機関との付き合いもこれまでと変わらないという、「マス層」に近い特徴がある。そのため、従来の「富裕層」と比べると金融知識が十分ではなく、商品特性やリスクの理解が不十分なままに金融商品を購入する可能性がある。
3,野村総合研究所は、「都市部居住で、世帯収入3000万円以上の大企業共働き世帯」を「スーパーパワーファミリー」と定義した。
「スーパーパワーファミリー」は、20~30歳代は子育てや教育費、住宅ローンの支出で苦労するものの、昇給して世帯収入が2000万円を超える40歳前後から急速に金融資産が積み上がり、最終的には世帯収入が3000万円に到達して50歳前後には「富裕層」になる可能性がある。
世帯収入1000万円以上の大企業共働き世帯であっても、地方居住であれば60歳前後に「富裕層」になる可能性がある。
「良い大学に入って大企業に就職して定年まで働けば老後は安泰である」という学歴神話は崩壊したと言われて久しいものの、そんなわけはないのであって、野村総合研究所の上記レポートを一言でまとめるならば、「今、頑張れないヤツは一生頑張れない」(吉野敬介)ということになりそうです。
> 商品特性やリスクの理解が不十分なままに金融商品を購入する
返信削除これは証券会社の良いカモ
自分も「いつの間にか層」の一人な気がしますが、それらの人達に対して「従来の「富裕層」と比べると金融知識が十分ではなく、商品特性やリスクの理解が不十分なままに金融商品を購入する可能性がある。」という評価はどうなんですかね。
返信削除昔からの富裕層は野村證券の店舗に来て、金融知識を備えていた(教えていた)。
いつの間にか層は店舗に来ないので理解が不十分である、と言ってるように感じます。
自分も「いつのまにか富裕層」のパターンですがあと10年もすれば「いつのまにか超富裕層」が世の中にあふれてそうですね。
返信削除そして記事の通りマス層の頃と今とで意識もライフスタイルも全く変わっておらず未だにスーパーで値引きシールを探しております。
コメントありがとうございます。
返信削除>これは証券会社の良いカモ
「超富裕層でも超低コストインデックスファンド」
これが大事ですね。
>いつの間にか層は店舗に来ないので理解が不十分である、と言ってるように感じます。
本業の稼ぎでインデックスファンドを買い続けて「いつの間にか富裕層」になったわけですから、富裕層になっても本業で稼ぎ続けてインデックスファンドを買い続ければよく、高コスト(=高手数料)な金融商品の選別に余計な手間と時間をとられる必要はないということに気付けるかどうかが「いつの間にか超富裕層」になれるかどうかの分水嶺なのでしょうね。
>自分も「いつのまにか富裕層」のパターンですがあと10年もすれば「いつのまにか超富裕層」が世の中にあふれてそうですね。
これまでどおり、ただひたすら超低コストインデックスファンドを買い続けられるかどうかにかかっているのでしょうね。
>マス層の頃と今とで意識もライフスタイルも全く変わっておらず未だにスーパーで値引きシールを探しております
ポテトサラダに20%オフのシールが貼ってあると嬉しくなりますよね。
一億の価値 下落してますよね 長命の義両親と自分の親4人の世話、施設入居をしたら 自分の為に蓄え増やして来た資産なんてほぼ無しとなります 農家と自営業ですからそれぞれの年金だけで賄えないです 私の世話をする余力は子供には無さそうですしね 親たち所有の田畑、家屋敷の売却なんてほぼ無理なんですね 不動産屋に手数料無しで引き取ってもらい中華系企業に売却 そんな感じですから
返信削除まだまだ後20年は右肩上がりの相場であって欲しいです 子供に残す資産も欲しいが親世代の長命を寿ぐだけで いっぱいだな そりゃ現在の生活、政治に過激な意見を持ち 危険なコメントをしてしまいます ご容赦です
コメントありがとうございます。
返信削除>一億の価値 下落してますよね
資産を円貨に集中するのはリスクになりますよね。
>まだまだ後20年は右肩上がりの相場であって欲しいです
我々にできることは、資本主義を信じてバイアンドホールドを続けることだけです。
投資のご成功をお祈りしています。
こちらの推計結果から、30代と40代、50代の富裕層の割合は、どれくらいと推定されますか?
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除>30代と40代、50代の富裕層の割合は、どれくらいと推定されますか?
全く分かりませんが、野村総合研究所は「いつの間にか富裕層」は「富裕層」の1~2割程度と推計していますので、それほどいないような気もしますが、他方で、私の子供たちも私が贈与したお金で投信を買っただけで資産額が3000万円に到達していますので(現在額3019万2416円)、資産額1億円の富裕層も意外と想定よりも若い人の割合が多いかもしれないとは思っています。