注目の投稿

【先頭固定】誰でもできる超カンタン投資術(2025.2)

本稿は、当ブログ(「 たわら男爵のインデックスファンド投資術 」)及び旧ブログ(「 40代でアーリーリタイアしたおっさんがたわら先進国株でベンツを買うブログ 」)の集大成として、何らの知識がなくても実践できる資産形成の具体的なやり方をお伝えするものです(この記事の後で カテゴリ ...

2025年7月3日木曜日

スリムオルセン、実質コストは「スリム先進国株」と同水準

「eMAXIS Slim」シリーズが運用報告書を公開しました。

私がもっとも注目していたのは、「eMAXIS Slim先進国株式(含む日本)」(スリムオール先進国)です。


スリムオルセンの投資対象は、「日本を含む先進国の株式」です。

スリムS&P500とスリムオルカンが人気を二分するまでは、インデックス投資と言えば「日本を除く先進国株ファンドを買うこと」を意味しました。それはベンチマークの名称を見れば明らかです。


●先進国株(除く日本) 「MSCIコクサイ・インデックス」

●先進国株(含む日本) 「MSCIワールド・インデックス」

●全世界株 「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」


つまり、先進国だけが「世界そのもの」(=ワールド)であり、「国際社会」(=コクサイ)とは先進国から日本を除いた国々のことでした。


しかも、圧倒的多数の日本人は銀行預金を好んで株式投資を嫌っており、株式投資を好むごくごく一部の日本人も日本株の個別株投資に集中し、インデックス投資をするとしても日本株の個別投資をしながら資金の一部を振り分ける程度でした。

このように日本株投資のニーズは個別株投資で満たされていたことから、インデックス投資をするとしても「日本を除く先進国株」ファンドが選好されたのです。


時代は変わり、「日本株の個別株投資はせず、インデックスファンドを積立投資するだけ」という日本人が多数派になりました。

そこに着目したのが「eMAXIS Slim先進国株式(含む日本)」(スリムオール先進国)であり、日本を含む先進国株という新たなニーズを掘り当てるべく2024年10月25日に新規設定されました。

しかし、株式相場が崩れたことも影響し、純資産額は思うように伸びていません。節目の純資産額30億円に到達したのは2025年4月24日であり、新規設定日(2024.10.25)から6か月後のことでした。

現在の純資産額は、37億2500万円です。


スリムオルセンは、新規設定日(2024.10.25)から6か月後である2025年4月25日に第1期の決算日を迎えました。その2か月後である2025年6月27日、第1期運用報告書が公開されました。

スリムオルセンはマザーファンドを買うだけファンドであり、そのマザーファンドは、①日本株が1707億円(2024.4.25)、②先進国株が5兆4750億円(24.5.13)です。マザーファンドがこれほどの規模になったのは、ひとえにスリムオルカン(純資産額6兆3591億円)のおかげです。とりわけ日本株のマザーファンドのベンチマークはMSCIジャパン指数というマイナー中のマイナーなもので、マザーファンドを持っている運用会社はスリムオルカンが登場するまでステートストリート社しか存在しませんでした。そのため、三菱UFJアセットは、スリムオルカンの新規設定と同時に日本株のマザーファンドも新規設定し、3億円のシードマネー(自己資金)を投じて現物運用をスタートしたという経緯があります。


さて、気になる実質コストですが、信託報酬が0.050%、信託報酬を除くコストが0.013%でした。ただ、運用期間は1年未満のため、これを1年分の数字に直す必要があります。

スリムオルセンはスリム先進国株と信託報酬が全く同じです。スリム先進国株の運用報告書(スリムオルセンと同日に開示された最新版)を見ると、信託報酬が0.099%、信託報酬を除くコストが0.025%となっています。

0.099÷0.05=1.98ですので、スリムオルセンの1年分のコストは、


信託報酬 0.099%

信託報酬を除くコスト 0.02574%(四捨五入すると0.026%


となります。


スリム先進国株の信託報酬を除くコストは0.025%であり、その差はわずか0.001%にすぎません。

スリムオルセンがこの0.001%を何に使ったのかと言うと売買委託手数料です(スリムオルセンの売買委託手数料は0.001%であり、これを1.98倍すると0.00198≒0.002%となります)。スリムオルセンは新規設定ファンドであり、ゼロから純資産額を増やさなければならないため、売買委託手数料が普通よりもかかることは理解できます。

逆に言えば、スリムオルセンは、純資産額37億円にすぎない新設ファンドであるにもかかわらず、純資産額9000億円を超えるスリム先進国株と同水準の運用コストで済んでいるということになります。


スリムオルセンは、日本を含む先進国株という新たなニーズの掘り起こしという目論見は外れたものの、純資産額30億円に到達し、運用コストも問題なかったことで投資対象として選択肢に入ってきました。

しかも、スリム先進国株の投信残高ポイントは0.0349%であるのに対し、スリムオルセンの投信残高ポイントは0.0359%(100万円あたり年間10p差)と少し多いことも嬉しいポイントですね。

※スリム先進国株の信託報酬のうち信託銀行報酬は0.020%であるところ、スリムオルセンでは0.018%に削って運用会社報酬と販売会社報酬を増額した結果、販売会社報酬が0.0349%から0.0359%に増えて投信残高ポイントも増えたことになります。


0 件のコメント:

コメントを投稿