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2023年4月28日金曜日

eMAXIS Slim米国株、保有株式の貸付(レンディング)をスタート

三菱UFJ国際投信は、2023年4月25日、S&P500ファンドで保有株式の貸付(レンディング)をスタートする旨を発表しました。

eMAXIS Slim米国株(S&P500)」も対象です。




※よろしければ、次の記事もご覧ください。


Tracersオールカントリー、「最安を目指す」とは言えない

https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/04/tracers_27.html




ソースはこちら。


インデックスファンドは対象指数の値動きに連動する投資成果を目指して運用を行います。ファンドでは信託報酬やその他の費用・手数料が控除されるため、対象指数と比較した運用成果が信託報酬やその他の費用・手数料の分下回ることになります。この乖離を少しでも改善するために、今後レンディングを実施し品貸料を収受することによってファンドと対象指数の連動性向上を図ります。
レンディングにより収受した収益については、一部(50%超)をファンドの純資産に組み入れるとともに、一部(50%未満)を信託報酬として委託会社と受託会社が収受 いたします。そのため信託報酬等に関する約款の記載を変更いたします。
https://emaxis.jp/text/253955s_230425.pdf



レンディングについての説明は、次のとおり。

レンディングとは、保有する有価証券等の一部を証券会社等に貸し付け、借り手から品貸料を獲得する取引です。
 本件変更後、レンディングを行った場合に品貸料として得られた収益は、その一部を信託報酬として委託会社と受託会社が受け取り、残りの部分については、ファンドの収益として残ります。
なお、借り手の決済不履行リスクについては、弊社にて取引先の信用力や与信枠などのモニタリングを実施します。さらに、レンディングの評価額に対して100%超の担保を弊社が受け入れ、取引の保全を図ります


主要なインデックスファンドシリーズにおいて、レンディングを最初に言い出したのは楽天バンガードファンドです。
【参考】
楽天バンガード、保有ETFを第三者に貸し出し追加報酬を狙う

楽天バンガードファンドシリーズは、目論見書の下記記載のとおり、品貸料の55%を報酬として徴収する旨を表明しています。

委託者および受託者は、有価証券の貸付取引の指図を行った場合は、投資信託財産の収益となる品貸料に 0.55 (税抜 0.5)を乗じて得た額を貸付有価証券関連報酬として受けることができます。当該報酬は、当該報酬に かかる消費税等に相当する金額とともに、毎計算期間の最初の 6 ヵ月終了日および毎計算期末または信託終了 時に投資信託財産中から支弁します。
※マザーファンドにおける品貸料については、当該マザーファンドの約款において、品貸料の一部を、同マザ ーファンドに投資を行っている証券投資信託の報酬として収受する規定のあるものに限ります。他の証券投 資信託が同一のマザーファンドに投資を行っている場合は、マザーファンドの純資産総額における当該各証 券投資信託の投資の時価総額に応じて、毎日按分するものとします。 


つぎに、SBI・Vシリーズもレンディングをすると言い出しました。
【参考】
SBI・Vシリーズ「先物はアクティブリスクがあるので貸株をします」

SBI・Vシリーズは、目論見書の下記記載のとおり、品貸料の55%を報酬として徴収する旨を表明しています。

有価証券の貸付を行った場合に限り、その対価としての品貸料(マザーファンド(当該マザーフ ァンドの約款において、品貸料の一部を、同マザーファンドに投資を行っている証券投資信託の報酬として収受する規定のあるものに限ります。)における品貸料については、他の証券投資信託が同一のマザーファンドに投資を行っている場合は、マザーファンドの純資産総額における当該各証券投資信託の投資の時価総額に応じて、毎日按分するものとします。)の55%(税抜50%)以内の額とします。かかる費用は、毎計算期間の最初の6ヵ月終了日及び毎計算期末または信託終了時に信 託財産中から支弁するものとし、委託会社と受託会社との配分は別に定めます。


そして、今回のスリムシリーズのレンディングに至るわけですが、各社がレンディングを導入する背景には極限まで下がってしまった信託報酬の代わりとなる報酬がほしいという切実な思いがあるのでしょうね。

しかし、保有株式を貸し付けると、借り手の信用リスクをファンドが負担しなければならないことになります。
この点について、三菱UFJ国際投信は、

借り手の決済不履行リスクについては、弊社にて取引先の信用力や与信枠などのモニタリングを実施します。さらに、レンディングの評価額に対して100%超の担保を弊社が受け入れ、取引の保全を図ります。

と述べています。

しかし、運用会社にとって借り手の与信調査は専門外であることを考えれば、借り手の信用リスクに見合ったリターンを得られるとは思えません。
何より、運用会社自身は何らのリスクを取らずにリターンの半分を報酬として徴収するというわけですから、他人のふんどしで相撲を取る行為に等しいと言わざるを得ません。

非常に残念です。

6 件のコメント:

  1. 私はオルカン派なので今回は影響がないと思うのですが、emaxis slimのこの方針には非常に不安を覚えています。

    株式市場のリスクを取ってリターンを得ようとしているのに、いつの間にかよくわからない第三者の信用リスクも取らされるということになるのでしょうか。こちらの許可もとらずに勝手に約款を変更できるというなら、本当に何でもありになってしまいますし悪質に感じました。

    これからの購入分にのみ変更が適用されるなら「もう買わない」で済みますが、恐らく既に積み立てた分にも影響が及ぶのですよね?だとすると簡単に他の投信に移すこともできないし、人質を取られたような気分です。

    低コスト競争が進み信託報酬が合わないというなら、その根拠となる数字(人件費等)を開示して、信託報酬率を上げるというやり方のほうがまだ信用できます。

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  2. いつも有益な情報ありがとうございます。
    リンク先のpdf確認しましたが今回はsp500系のファンドだけで先進国や全世界株は無関係と言う事でよろしいのでしょうか?
    個人的にはあまりこういうやり方は他のファンドまで広がってほしくないなあと思います。

    返信削除
  3. コメントありがとうございます。

    >株式市場のリスクを取ってリターンを得ようとしているのに、いつの間にかよくわからない第三者の信用リスクも取らされるということになるのでしょうか。

    そうなります。

    >既に積み立てた分にも影響が及ぶのですよね?

    そうなります。

    >今回はsp500系のファンドだけで先進国や全世界株は無関係と言う事でよろしいのでしょうか?

    そうなります。

    >こういうやり方は他のファンドまで広がってほしくない

    同感です。

    リターンの半分の報酬をとるのであれば、リスクの半分についても負担すべき(三菱UFJ国際投信が債務保証すべき)であると思います。

    借り手の信用リスクが低ければ低いほど、得られる品貸料は高くなり、運用会社の懐に入るお金も増えます。
    運用会社にとっては他人の金であり、回収不能になっても自分の懐が痛むわけではありません。
    私は、この点で運用会社と受益者との間に利益相反が発生するのではないかと考えており、一般化しないでほしいと思っています。

    返信削除
  4. 国内ETF、海外ETFについて調べたことがあるのですが、ほぼすべてのETFにおいて、貸株を行っており、貸株料の50%を運用会社が報酬として受け取るスキームになっています。

    このような動きが広がってしまうと、個人投資家はリスクを回避することができないですよね。

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  5. 誤記がありましたので、訂正します。

    誤 借り手の信用リスクが低ければ低いほど、得られる品貸料は高くなり

    正 借り手の信用が低ければ低いほど、得られる品貸料は高くなり

    返信削除
  6. コメントありがとうございます。

    >国内ETF、海外ETFについて調べたことがあるのですが、ほぼすべてのETFにおいて、貸株を行っており、貸株料の50%を運用会社が報酬として受け取るスキームになっています。

    VTはどうしているのかと思って運用報告書を確認したところ、「収益から貸付関連費用を控除する」と記載されていました。
    報酬はとっていないような感じなのですが、どうなのでしょうか?ご存じでしたら教えてください。


    貸付有価証券:当ファンドは、追加収益を得るために、適格機関投資家に有価証券を貸し付けている。有価証券貸付は、随時当ファンドによる解約が可能であり、貸し付けられた有価証券の市場価格と少なくとも同等の担保によって常に保全されることが求められる。日次の時価の変動により、貸付有価証券の価値が受入れ担保価値を上下することになる。この場合、担保は調整され、翌営業日の市場が開く前に決済される。ファンドは、事前に承認された多様なカウンターパーティーのグループとだけ貸付有価証券取引を締結することや、その財務体質の監視、カウンターパーティーとのマスター貸付有価証券契約の締結などにより、カウンターパーティー・リスクを緩和している。マスター貸付有価証券契約により、カウンターパーティーのデフォルト(倒産を含む)の際に、ファンドは当該借手に対する貸し付けを終了し、未払金の純額を決定し、当ファンドに対する未払金の純額を上限として、保有担保を売却または留保することができる。ただし、かかる行動は法的手続きの対象となることがある。担保はカウンターパーティー・リスクを軽減するが、デフォルトの場合は、当ファンドは貸し付けた有価証券の回収が遅延したり、費用がかかることがある。当ファンドは、有価証券貸付期間中、受領した現金担保を Vanguard Market Liquidity Fund に投資し、担保の返済について債務を資産・負債計算書
    に計上している。担保の Vanguard Market Liquidity Fund への投資は、相場の上昇または下降の影響を受ける。貸付有価証券による収益は、借手に請求される手数料および現金担保による収益から貸付関連費用を控除したものを表している。貸付期間中、当ファンドは貸付有価証券に対して、または貸付有価証券に関連して行われたすべての分配金に対する権利を有する。
    https://www.teneopartners.co.jp/vanguard-etf/IR_FULL_VT.pdf

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