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2023年4月27日木曜日

Tracersオールカントリー、「最安を目指す」とは言えない

日興アセットマネジメントは、2023年4月26日、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」を信託報酬0.05775%で新規設定しました。

これは同種ファンドであるたわらノーロード全世界株式」(2023年4月7日に引き下げ)eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(2023年5月11日に引き下げ予定)の信託報酬0.1133%50.97%という驚愕の安さです。そのため、販売開始前から大きな話題となりました。


トレーサーズオールカントリーは、運用会社、販売会社、信託銀行の3社で信託報酬を三等分しています。

トレーサーズオールカントリーは、この点について、


当ファンドが今回このような信託報酬率を実現できたのは、通常最も低率の信託銀行の料率に3社が合わせるという合意ができたから。3社がタッグを組んだことでこそ実現した料率といえます。

https://www.nikkoam.com/sp/tracers/allcountry


と自画自賛していますが、販売会社としては報酬が低いとモチベーションが下がります。

そのため、エディネットに登録された有価証券届出書に記載されたSBI証券のほかに販売会社が現れるかどうかが懸念されていたわけですが、やはり販売会社はSBI証券だけでした。



※よろしければ、次の記事もご覧ください。


楽天銀行、上場の顛末

https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/04/blog-post_26.html




SBI証券は、投信保有ポイントサービスを提供しており、販売会社報酬が0.05%以下の低コストファンドについては税抜販売会社報酬の全額をポイント付与する運用をしています(トレーサーズオールカントリーの税抜販売会社報酬は0.0175%ですが、投信保有ポイントは全く同率の0.0175%です)。つまり、SBI証券にとっては販売会社報酬が0.05%以下であれば全額ポイント還元することになるため、販売会社報酬が高かろうが低かろうがどちらでもよく、販売会社報酬が低いから取り扱わないということにはなりません。


日興アセットマネジメントとしても、事前にいろいろと交渉したようですが、どうやら断られてしまったようです。


SBI証券にはいちばん最初に賛同いただき、最初の販売会社になっていただいた。他の販売会社についてもいつか採用いただきたいと考えているが、販売会社の取り分を非常に低く設定しているため、ハードルは高いと認識している。それでも、時期などが整えば、採用いただける可能性は高い。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2304/26/news145_2.html



販売会社を増やすには、とにかく純資産額を増やし、それを説得材料にするしかありません。

しかし、新規設定時点の純資産額は900万円しかありません。

SBI・Vシリーズは、当初募集期間を設けて新規設定前に多額の純資産額を集めるという作戦をとることで、極めて短期間で我が国を代表するインデックスファンドまで成長することができました。

トレーサーズオールカントリーが当初募集期間を設けなかった以上、せめてそれなりの金額の自己資金を投入して万全のスタートを切るべきだったのですが、わずか900万円ではどうしようもありません。


また、トレーサーズオールカントリーには指数のライセンス料や法定書類の印刷費用などを顧客負担にするという安さのカラクリがあるものの、それらが幾らになりそうかの目安を公表するつもりはないと明言しています。同社の他ファンドの運用実績からするとかなりの高コストになりそうな懸念があり、1年間の運用実績を確認するまで安心して買うことはできそうにありません。

【参考】

●Tracersオールカントリー、0.05775%の安さの理由(「内部で試算しているが、開示するつもりはない」)

https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/04/tracers005775.html

Tracersオールカントリー、たわら全世界株・スリムオールカントリーより高コストか

https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/04/tracers_14.html


日興アセットマネジメントとしては、指数のライセンス料がこれほどまでにクローズアップされることは想定していなかったものと思われます。

その証拠に、指数のライセンス料が顧客負担になることについて、販売用資料や交付目論見書には記載がなく、請求目論見書を熟読しなければ分からないようにしているからです。

【販売用資料の記載】

目論見書などの作成・交付および計理等の業務に係る費用(業務委託する場合の委託費用を含 みます。)、監査費用などについては、ファンドの日々の純資産総額に対して年率0.1%を乗じた 額の信託期間を通じた合計を上限とする額が信託財産から支払われます。 

【交付目論見書の記載】

ファンドの日々の純資産総額に対して年率0.1%を乗じた額の信託期間を通じた合計を上限とする額 ①目論見書などの作成および交付に係る費用、②運用報告書の作成および交付に係る費用、 ③計理およびこれに付随する業務に係る費用(①~③の業務を委託する場合の委託費用を 含みます。)、④監査費用などは委託会社が定めた時期に、信託財産から支払われます。 ※監査費用は、監査法人などに支払うファンドの監査に係る費用です。


同社の商品開発部長は、


指数のライセンス料が信託報酬に含まれていない。これによってその他コストが膨らむと思うが、その意図と開示方法、目安はどうか。


と質問され、次のように回答しています。


日本に上場しているETF(上場投資信託)では、ほぼ全社、信託報酬の外に指数のライセンス料を乗せている。また公募投資信託でも、複数の会社がこの形でやっている。当社でも、現在は大半がその形だ。

ETFでは普通のやり方で、このファンドで特別なやりかたをしているわけではない。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2304/26/news145_3.html



インデックスファンドで指数のライセンス料を顧客負担にすることは異例であることを前提として、あえて顧客負担にしたことの「意図」「開示方法」「目安」を質問されたのに対し、それらには何も言及せずに「ETFでは普通のやり方だ」と述べる態度は、非常に不誠実であるという印象を受けます。


しかも、


実際のところ、オールカントリーインデックス投信としてコスト最安を目指すのか?


と質問され、次のように回答しています。


とにかくコスト削減を目指す。信託報酬0.05775%+その他上限0.1%が上限となるのは事実だが、それはあくまで上限だ。さまざまな工夫によってどこまで低くできるかだと思う。指数利用料は、一般的には固定と率の組み合わせが多い。規模が拡大することで、コストが下がる部分もある。

具体的なコストの総額は、1年後の運用報告書で出すが、そこまで投資家の方に待ってもらっていてはもったいないので、開示またはやり方も含めた工夫の余地を議論している。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2304/26/news145_3.html



分かりますね。

「最安を目指すのか」と質問されたのに、「コスト削減を目指す」と濁しており、最安を目指すとは回答していません

さまざまな工夫によってどこまで低くできるかだと思う」というコメントは、既に最安ではない(=たわら全世界株・スリムオールカントリーより高コストである)ことが分かっているからと受け取られてもやむを得ないのではないでしょうか。

開示またはやり方も含めた工夫の余地を議論している」というコメントは、商品開発時に行っている内部試算をそのまま出すと、既に最安ではない(=たわら全世界株・スリムオールカントリーより高コストである)ことがみんなに分かってしまうからと受け取られてもやむを得ないのではないでしょうか。

※日興アセットマネジメントは指数のライセンス料などのコストが幾らになりそうかの試算を内部で事前に行っていることを認めています。


こんなんで本当に大丈夫なのでしょうか。


3 件のコメント:

  1. 日興アセットマネジメントは、「インデックスファンドMSCI オール・カントリー(全世界株式)」(日経新聞掲載名:イMS全世界)を出しているようです。
    マザーファンドはトレカンと同一のようです。
    現時点で、購入できる金融機関は「日興アセットマネジメント」のみ。
    この 2023.4.26の目論見書で、
    購入時手数料:購入時の基準価額に対し3.3%(税抜3%)以内
    信託財産留保額 ありません。
    内訳
    運用管理費用(信託報酬):ファンドの日々の純資産総額に対し年率0.4785%(税抜0.435%)
    委託会社:0.205%   販売会社:0.205%  受託会社:0.025%
    (別途消費税がかかります。)

    そのほかの手数料に
    「⑩ ファンドおよび主要投資対象である各マザーファンドの運用において利用する指数の標章使用料。」
    が入るのも同じ。
    いずれのファンドも、品貸料をとっているのもおなじ。
    (「品貸料」は、たわら全世界株・スリムオルカンでは、現在やっていないようです。いずれやるのかな?)

    2つは同じマザーファンドに投資する手数料だけ違うファンドのようです。

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  2. コメントありがとうございます。

    >「インデックスファンドMSCI オール・カントリー(全世界株式)」

    Twitterで見ましたが、eMAXISとeMAXIS Slimのような関係でもなさそうな気がします。

    日興アセットマネジメントがどのような意図でこのファンドをを作ったのかは販売会社と販売形態が明らかになれば推測できそうですが、本家が売れないとこちらはもっと売れないでしょうから、なかなか厳しいことになりそうです。

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    1. お返事ありがとうございます。
      >日興アセットマネジメントがどのような意図でこのファンドをを作ったのかは販売会社と販売形態が明らかになれば推測できそうですが、

      公表されているのは、以下のページぐらいしかわかりません。
      「インデックスファンドMSCIオール・カントリー(全世界株式)」
      https://www.nikkoam.com/fund/detail/945083
      「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」
      https://www.nikkoam.com/fund/detail/945084

      >本家が売れないとこちらはもっと売れないでしょうから、なかなか厳しいことになりそうです。
      同日に販売されており、どちらが本家なのかわかりませんが、
      今のところ直販(?)のファンドは本日時点で0.1億円の純資産で厳しそうです。

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