時系列を間違えてしまったので、本文の内容を大幅改訂します。
時系列は、次のとおりです。
3/6 「PayPay投資信託インデックスアメリカ株式」の新規設定がエディネットに掲載される。
3/14 「たわらS&P500」の新規設定がエディネットに掲載される。
3/15 「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が信託報酬を引き下げる旨をリリース。
3/24 アセットマネジメントONEがたわらノーロードシリーズの信託報酬を引き下げ、S&P500ファンドを新規設定する旨をリリース。
3/30 「たわらS&P500」の新規設定日。
4/25 「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬引下げの実施日。
たわらノーロードシリーズは、2023年3月30日、S&P500指数に連動するインデックスファンド「たわらノーロードS&P500」を新規設定しました。
その信託報酬は、税込0.09372%。
S&P500ファンドのこれまでの最安値は「SBI・V・S&P500」や「iシェアーズ 米国株式(S&P500)」の0.0938%(0.0638%+米国ETFの経費率0.03%)でしたので、たわらS&P500がS&P500ファンドの単独最安値を更新したことになります。
※S&P500に限定せず、米国株インデックスファンド全般に目を向ければ、
●PayPay投信米国株式インデックス
税抜信託報酬 0.085%
税込信託報酬 0.0915%
→投資先の米国ETFはJPモルガン・ベータビルダーズ・米国株式ETF(経費率0.02%)
●PayPay投資信託インデックスアメリカ株式
税抜信託報酬 0.076%
税込信託報酬 0.0806%
→投資先の米国ETFはVTI(経費率0.03%)
がありますが、スリムS&P500はこれら2ファンドに対抗値下げすることなく無視し続けています。
※私は、スリムS&P500は元々PayPay投信米国株式インデックスの税抜信託報酬への対抗値下げを準備していたところ、たわらS&P500の新規設定をエディネットで知り、急遽、対抗値下げの相手をたわらS&P500に変更することで機動的な対抗値下げの姿勢をアピールしようとしたのではないかと推測しています。
たわらノーロードシリーズがS&P500ファンドを新規設定する旨がエディネットに掲載されたのは3月14日であり、スリムシリーズがS&P500ファンドの信託報酬を引き下げる旨を発表したのは3月15日です。
たわらS&P500としてはS&P500ファンドとして単独最安値を更新して登場するつもりだったところ、おそらくPayPay投信米国株式インデックスに対抗値下げをすべく内部調整を済ませていたスリムS&P500に即座に対応されてしまったものと思われます。
【参考】
●たわらノーロード、信託報酬を引き下げ(主要6ファンドでスリムを抜く)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/03/6.html
●スリム米国株、信託報酬を引き下げ
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2683.html
私は、S&P500ファンドへ投資したいとは思いません。米国株に集中投資するのではなく、米国株を含む先進国株全体に投資すべきであると考えています。
しかし、S&P500ファンドは人気があります。インデックスファンドの純資産額ランキングの第1位はスリムS&P500の1兆8757億円、第4位はSBI・V・S&P500の8231億円です。また、指数は違うものの、米国株(VTI)に投資するものとしては、第3位の楽天全米株8233億円、第18位のSBI・V・全米株1379億円があります。
これら4ファンドだけで3兆6600億円もの純資産額を集めているわけですから、米国株ファンドの人気ぶりが分かりますね。
その米国株ファンドの分野に、今回、たわらS&P500がS&P500ファンドの単独最安値を更新する形で乗り込んできました。
単独最安値を更新したとはいえ、その翌日にはスリムS&P500に同率値下げを発表されてしまい、更にはS&P500ファンドでないとはいえVTIを買うだけファンドであるPayPay投信インデックスアメリカ株式が税抜0.076%の信託報酬で存在することを考えると、せっかくS&P500ファンドを単独最安値で新規設定したのに話題性に欠けてしまいました。
PayPay投信の上記2ファンドのうち、新規設定されたばかりのインデックスアメリカ株式の販売会社はPayPay投信のみですが、米国株式インデックスのほうはSBI証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券、PayPay銀行、SBI新生銀行というように、複数の販売会社が取り扱っています。
その信託報酬(税抜)の内訳は、運用会社0.02%、販売会社0.029%、信託銀行0.016%です。ということは、PayPay投信米国株式インデックスを取り扱っている販売会社は販売会社報酬が0.029%であっても受け入れるということを意味します。
ここでたわらS&P500の信託報酬(税抜)の内訳をみてみます。
運用会社 0.0326%
販売会社 0.0346%
信託銀行 0.018%
PayPay投信インデックスアメリカ株式の信託報酬は税抜0.076%(米国ETFの経費率0.03%を含む)ですから、たわらS&P500が
運用会社 0.029%
販売会社 0.029%
信託銀行 0.018%
というようにすれば、信託報酬は税抜0.076%(税込0.0836%)となり、PayPay投信インデックスアメリカ株式と税抜信託報酬で業界最安値に並ぶことになります(PayPay投信インデックスアメリカ株式は、米国ETFの経費率0.03%に日本の消費税が課税されないため、その分の税込信託報酬が安く済みます)。
スリムシリーズは、2017年12月29日、スリム先進国株が米国ETFを買うだけファンドの税抜信託報酬への対抗値下げ(税抜0.189%→0.1095%)に踏み切ったことが決定的な転機となり、ブランド価値を飛躍的に高め、ナンバーワンインデックスファンドシリーズに成り上がることに成功しました。
それを考えると、今回のたわらS&P500がもし米国ETFを買うだけファンドであるPayPay投信インデックスアメリカ株式の税抜信託報酬と同率での新規設定に踏み切っていたならば、PayPay投信インデックスアメリカ株式よりも信託報酬が高いPayPay投信米国株式インデックスに対抗できないスリムS&P500はたわらS&P500にも対抗できないでしょうから、今回のようにリリースを出した時点でスリムS&P500に既に対抗値下げを発表されていたという事態を避けることができ、スリムシリーズのブランド価値を大きく毀損することができたものと思われます。
スリムS&P500が耐えられないのに、たわらS&P500が税抜0.076%の信託報酬に耐えられるのかということですが、大丈夫です。
なぜなら、たわらS&P500には298億5631万円のマザーファンドが存在するからです。ちなみに、このマザーファンドは現物株で運用されています(投資信託2.53%、先物4.24%を除く93.23%が現物株)。
300億円規模のマザーファンドがあるため、たわらS&P500はマザーファンドを買うだけファンドとしてスタートすることができ、運用会社報酬を0.029%にしたとしても十分に運用できるはずでした。
PayPay投信米国株式インデックスの純資産額は、4億1000万円です。新規設定日が2022年3月16日であり、既に1年が経過していることを考えると、全く売れていません。
その理由は販売会社がなかなか増えなかったこともありますが、最大の原因は「JPモルガン・ベータビルダーズ・米国株式ETF」という全く知名度がない米国ETFを買うだけファンドにしたからです。経費率が0.02%という安さで選んだのかもしれませんが、0.03%であってもVOOにしておくべきでした。
これに対し、たわらS&P500は現物株に投資し、しかも300億円規模のマザーファンドがバックに存在するというトビキリの素性の良さを備えています。信託報酬の値付けさえ間違わなければ簡単に純資産額1000億円に到達できたでしょうし、5000億円や1兆円すら目指すことができ、たわら先進国株を超えるたわらノーロードシリーズの看板ファンドになっていたであろうことを思うと、残念でなりません。
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