セゾン投信は、2023年6月1日、創業者兼会長CEOの中野晴啓さんが6月末の株主総会で退任する旨を発表しました。
【参考】
●「セゾン投信からいつでも自ら離れる権利がある」(中野晴啓・セゾン投信会長)https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/blog-post.html
中野さんは「不本意である」とのコメントしかしておらず、何がどうなって退任に至ったのかは明らかにされていませんが、徐々に詳細が明らかになりつつあります。
※よろしければ、次の記事もご覧ください。
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/20236.html
日経速報ニュース(2023/06/06 05:00)の下記記事を読みました(楽天証券の口座保有者であれば、「日経テレコン21」で日経新聞の記事が無料で読めますので、ぜひ全文をご覧ください)。
セゾン投信の6割の株式を持つクレディセゾン首脳に、中野氏が呼び出されたのは4月初旬。その場で6月末での退任を通告されたようだ。原因は販売戦略の違いだ。
4月の面談の際、クレディセゾン首脳は中野氏に対し、現在の純資産の8倍超の目標を示したうえで「全国を回って(投信保有者を)集めるあなたのやり方はもう通用しない」と指摘したとされる。15万人の投信保有者についても「クレディセゾンの3500万口座に比べるまでもなく小さい」などと述べて解任を通告したようだ。
中野さんにしてみれば、
1,直販15万口座と自慢するが、クレディセゾンの3500万口座と比べれば大した数字ではない。
2,全国各地を回って顧客と直接対話してきたと自慢するが、そんな時代遅れの販売手法はもう通用しない。
というように、これまでの17年間の活動の全てを否定されたわけですから、その心中は察するに余りあります。
田村さんは、セゾン投信の先行きについて、2つの大きな問題点を指摘しています。
1,セゾン投信は、超低コスト競争によって相対的に割高になってしまったので、よりコストが低いファンドへの乗り換えが起こるリスクがある。
2,販路の拡大は大量の資金の流出入を招くリスクがあり、「直販だから大丈夫」と思っていた顧客の信頼を裏切ることになる。
クレディセゾンは、直販モデルを捨て去り、今の純資産額の8倍超を目指しているようです。
急激な販路拡大は、田村さんが指摘するとおりファンドを荒らすリスクがあります。
しかも、捨て去るのは直販モデルを維持するかどうかという販売手法にとどまらずセゾン投信の理念を含む在り方そのものといえるため、中野さんの罷免によってセゾン投信は大きく変質することになるものと思われます。
私は、クレディセゾンが中野さんを解任すると知った6月1日にセゾングロバラを全売却しましたが、今振り返っても適切妥当な判断だったと思っています。
【2023.6.7追記】
本日の日経新聞朝刊9面「セゾン投信、直販から転換 「積立王子」中野会長退任へ 拡大路線の親会社と対立」によれば、
日興リサーチセンターの推計によると、6月は5日までの3営業日で約1億円の資金がセゾン投信から流出した。これが基調的な動きになるかは不透明だが、資金流出への警戒はセゾン投信内でも強い。
ということです。
たわら男爵が、セゾン投信のファンドを全額解約したことを受けての感想です。
返信削除月刊セゾン号5月号 2023年5月8日収録
https://www.youtube.com/watch?v=sh6659EFpfI
11:24着眼大局「新NISAの選択基準」
すでに、クレディセゾンから解任を言い渡されていた後の収録ですね。
この中で、中野会長が言っています。
「(大意)新NISAの口座は人生軸で将来にわたって信頼に値する商品、運用会社を選んでほしい。」
改めてこの動画を見ると、中野会長のすごさを感じます。
ここから、私の妄想です。
もし中野会長が、さわかみ投信のように完全な独立した会社を立ち上げていたら、純資産残高がこれほど集まったかどうかはわかりませんがすごい存在感があったでしょう。
中野会長のスタートからの躓きなのかもしれません。
相いれないと分かった後、クレディセゾンからセゾン投信を中野会長がMBOできなかったか。
そのほうが、クレディセゾンにとっても傷が小さかったのではないか。
親会社の方針に従うのは、大企業の子会社でありつづけるセゾン投信の限界なのでしょう。
一連のセゾン投信の報道等から、さわかみファンドを全額解約したことを思い出しました。
私は、さわかみファンドができる前、さわかみ投資顧問と契約するところから投資を始めました。さわかみファンドも運用開始初日(の前)から投資していました。
この時(さわかみ投資顧問→さわかみファンド)の澤上篤人さんの右腕が岡大さんだったと思います。
さわかみファンドになっていつの間にか退社して正式に発表されていません。この後も同社はいつもこのような情報公開の姿勢が続き、会社を信用できずファンドを全額一気に売却したことを思い出しました。
が、いまでもさわかみファンドは存在しています。
中野会長の話に戻ると、信頼できる運用会社を選ぶのが大切なのだろうとは考えています。
そんな運用会社が複数あってくれたらいいなぁと夢想しております。
コメントありがとうございます。
返信削除>月刊セゾン号5月号11:24着眼大局「新NISAの選択基準」
言葉を慎重に選びつつ、でもけっして「セゾン投信でNISA口座を開設してほしい」とは言わないところに中野さんの悲しみを感じますね。
中野さんは、セゾン投信を始める前に澤上篤人さんに相談し、「長期投資のためのファンドを作りたいなら直販しかない」と言われて直販ありきでセゾン投信を作っていますので、この点は絶対に妥協できず、自身の進退を賭けて交渉したところあっさりクビになってしまったのでしょう。
中野さんの本心は、直販を捨て去るセゾン投信はもはや信頼に値しないということなのかもしれません。
中野さんが、セゾン投信を退社後、他社(三菱UFJ国際投信や、SBIアセットマネジメント)に引き抜かれる可能性はどの程度でしょうか。
返信削除有名なeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)や、SBIグローバル・バランス・ファンドという、債券60:株式40という中途半端なファンドもあるようですので、あらたなバランスファンドの立上げの広告塔になる可能性は低そうですが・・・
eMAXIS Slimで株式50・債券50のバランスファンドという目はなさそうですかね。
コメントありがとうございます。
返信削除>セゾン投信を退社後、他社に引き抜かれる可能性はどの程度でしょうか。
三菱UFJ国際投信には代田常務取締役、SBIアセットマネジメントには梅本社長がいますので、中野さんを必要とはしていないと思います。
SBI証券は、ニッセイなしなしシリーズを作った上原常務取締役を常務執行役員(投資信託部長を兼務)にしてしっかり仕事をさせていますので、北尾さんの考え次第だと思っています。