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2023年7月19日水曜日

スリムオールカントリー、対抗値下げは「簡単に決断できない」

興味深い記事を読みました。日経速報ニュース(2023/07/19 05:00)です。


●消耗戦の投信値下げ 野村は半額、三菱UFJ国際は逡巡




野村アセットマネジメントは、2023年7月10日、信託報酬0.05775%の「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」を新規設定しました。

同分野で最大規模(純資産額1兆2803億円)の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は0.1133%です。実に50%オフのバーゲンセールということもあり、スリムオールカントリーが対抗値下げをするのかどうかが注目を集めています。

※信託報酬が同じトレーサーズオールカントリーは、指数のライセンス料法定書類の作成費用を顧客負担にしていますが、はじめてのNISAオールカントリーは運用会社負担にしていますので、はじめてのNISAオールカントリーのほうが低コストです。



記事によると、どうやらスリムオールカントリーは対抗値下げをしないようです。
該当部分を引用します。

これまで信託報酬の引き下げ競争をけん引してきた三菱UFJ国際は対応策を検討している。3月に他社が競合商品の信託報酬を引き下げた際にはすぐに追随すると発表したが、今回は逡巡(しゅんじゅん)している。単純計算すると収益が半減するため、三菱UFJ国際の担当者は「簡単に決断できない」と明かす。


はじめてのNISAオールカントリーの運用会社報酬は、1億円の運用資産残高に対し、わずか1万7500円にすぎません。
しかも、指数のライセンス料や法定書類の作成費用は運用会社負担ですので、運用会社の実入りは更に少なくなります。
このような商品を投入した理由について、運用会社(野村アセットマネジメントプロダクト・マネジメント部長)は、日経新聞に対し、次のとおりコメントしています。

「価格競争が激化すれば業界全体が疲弊する。安易な価格競争を仕掛けたわけではない」
「新NISAが始まるなか、若年層を中心とする投資家からのニーズに応える必要があった」


はじめてのNISAオールカントリーは、明らかにスリムオールカントリーを狙い撃ちにしたものです。
信託報酬をスリムオールカントリーの半額にしたことで、スリムオールカントリーは対抗値下げをすることができないでいます。「業界最低水準の運用コストを目指す」というスリムシリーズのブランドコンセプトに対する効果抜群の会心の一撃になりました。

スリムオールカントリーの運用会社(三菱UFJ国際投信)は、トレーサーズオールカントリーに対しては、その新規設定日より2週間も前

●『eMAXIS Slim』シリーズの基本理念について

というリリースを発表し、


当シリーズが信託報酬率を変更する際に参考とする類似ファンドの中には、弊社のeMAXIS Slimシリーズでは信託報酬に含めている「ファンドの計理業務」、「目論見書・運用報告書の作成に係る費用」、「対象指数(インデックス)の商標使用料(ライセンス・フィー)」などを信託報酬とは別にファンドに請求しているものもあります。


というようにトレーサーズオールカントリーの誤魔化しを非難し、同ファンドへの対抗値下げはしない旨を表明しました。

しかし、はじめてのNISAオールカントリーは、スリムオールカントリーと同様にこれら各種費用を運用会社負担としているため、同じような弁解をして対抗値下げを回避できずに困っているという状況にあります。

ただ、スリムオールカントリーが対抗値下げをしなければシリーズ全体のブランド価値を大きく毀損するリスクが発生するため、私は、最終的には対抗値下げをせざるを得ないところまで追い込まれると予想します。

とするならば、ここでたわらノーロード全世界株式が一足先に対抗値下げを発表し、できればわずかでも単独最安値を更新すれば、たわらノーロードシリーズのブランド価値は爆上がりすることになるでしょう(たわら全世界株の純資産額は、新規設定日(2019年7月22日)から4年がたつのに73億5000万円しかなく、明らかに失敗しつつあります)。

また、2023年3月30日に新規設定したばかりのたわらノーロードS&P500についても、その純資産額はわずか5億円であり、爆死しつつありますので、たわら全世界株とたわらS&P500の信託報酬を一挙に0.05%台に引き下げれば、これら2ファンドにとって絶好の起爆剤となり、スリムシリーズにとってはリーサルウェポンとなるものと思われます。

ただ、ガツガツとした競争をしようと思わないのがたわらノーロードシリーズの生きざまであることを考えると、難しいのかもしれません。

4 件のコメント:

  1. 野村をオルカンをSBIと楽天が扱うかがまず第一関門ですね。次に仮に扱ったとしてそちらに流れるオルカン勢の流出額がどの程度なのかを見極めるでしょうから、引き下げは当分先でしょうか。というか、最低限の信託報酬を保証するんじゃなかったのかと問い詰めたい気分です。

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  2. たわらシリーズは認知度も低くブランド価値がないので、シリーズを畳んで新しい他の投資信託を運用会社は始まるのではないでしょうか。このまま対抗値下げしても誰も気づかず終わる可能性が高いと思います。

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  3. >「新NISAが始まるなか、若年層を中心とする投資家からのニーズに応える必要があった」

    新NISAという器に優良なファンドを積み立てることで
    投資家は資産形成が進み
    資産残高がゆくゆくは数十兆円単位に積み上がり
    運用会社など各位が潤うと良いですね

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  4. コメントありがとうございます。

    >SBIと楽天が扱うかがまず第一関門ですね

    同感です。

    >そちらに流れるオルカン勢の流出額がどの程度なのかを見極めるでしょうから、引き下げは当分先

    実質コストが分からなければ云々ということを言い訳にして、値下げの時期をできる限り先延ばしにするような気がします。

    >たわらシリーズは認知度も低くブランド価値がない

    たわら先進国株は3500億円オーバーの純資産額を集めています。
    これは全インデックスファンドの中で第8位ですから、それなりの知名度はあると思っています。

    >対抗値下げしても誰も気づかず終わる可能性が高いと思います。

    私は、いち早く0.05%台への対抗値下げをすればスリムシリーズを食うほどの人気が出ると思っていますが、多分やらない(そのようなことは思いつかない)のでしょうね。

    >運用会社など各位が潤うと良いですね

    どうなんでしょうね。
    現状は、安値競争を仕掛けたスリムが最大手の野村に泣かされつつあるという状況ですから、運用会社はなかなかハッピーにはなれなさそうです。

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