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2023年7月20日木曜日

ビッグモーターの保険金詐欺事件、損保は猛省せよ

株式会社ビッグモーターは、2023年7月18日、第三者委員会(委員長:青沼隆之・元名古屋高検検事長)が作成した2023年6月26日付け調査報告書を公表しました

https://www.bigmotor.co.jp/pdf/research-report.pdf



上記調査報告書によれば、ビックモーターは、入庫した車に対し、


ヘッドライトのカバーを割る

ドライバーで車体をひっかいて傷をつける

バンパーを力づくで押し込み、フェンダーに干渉傷をつける

ローソクやサンドペーパーを使って車体に擦過傷をつける

ゴルフボールを靴下に入れて車体を叩き、雹害痕の範囲を増やす


というような器物損壊行為をし、これらを保険事故によるものと装って保険金請求をして保険金を騙し取るという犯罪行為を会社ぐるみで行っていたということです。


また、上記調査報告書は、次のとおり様々な不正行為が横行していたことを指摘しています。


①損傷がない箇所に矢印付箋を貼り、撮影角度を工夫して損傷があるかのように装った写真を撮影する行為が「横行」していた。

②実際の損傷個所よりも広範囲に損傷があるかのように装った写真を撮影することもあった。

③損傷がない箇所や軽微な損傷がある箇所(コンパウンドで拭き取れば消える程度)に塗装工賃を請求するため、サフやパテを塗った様子を写真撮影することも「少なからず」あった(写真撮影後はサフやパテを拭きとって塗装はしない)。

④高機能塗装をしていないのに、高機能塗装用の空き缶を写真に写りこませて高機能塗装の作業工賃を請求することもあった。

⑤板金作業で修理可能な箇所について、部品交換が行われたことも「少なからず」あった。

⑥保険事故とは別の機会に発生した損傷について、保険事故によるものとして写真撮影して修理対象部位を増やすこともあった。

⑦リサイクル品を使用したのに新品を使用したと偽ったケース、発注・使用しなかった部品について発注・使用したと偽ったケース、施工しなかった作業について施工したと偽ったケースもある。

⑧タワー牽引を行っていないのにタワー牽引を行ったかのような写真(例:タワー牽引のアタッチメントを取り付けた様子を撮影する)を撮影する行為が「少なからず」あった。

⑨人力牽引が可能であると作業担当者が判断したケースでタワー牽引を選択したことが「少なからず」あった(人力牽引よりタワー牽引のほうが保険金が高額になる)。



特別調査委員会が2717件を抽出してサンプルテストを実施したところ、そのうち1198件(44%)について「何らかの不適切な行為が行われた疑い」があり、とりわけ不要な板金作業や部品交換が行われた疑いがあるケースは189件(7%)であったとのことです。

このように、会社ぐるみで不正行為が行われた背景として、上記調査報告書は次の点を指摘しています。



板金・塗装工場の人員について、2014年9月期には14工場185人体制だったのに、2021年9月期には29工場620人体制に激増した。経験者が足りなくなり、増員者の相当数が未経験者や外国人であった。

また、工場数を増やしすぎたため、保険会社に提出する見積書(損保会社共通のソフト「コグニビジョン」を使用して作成する)の作成能力がない者を工場長やフロントに配置した

この結果、これまでは各工場の担当者が保険会社に見積書を提出して協定まで行っていたが、保険会社からのクレーム(初期見積りの出来が悪い、協定見積りに実際の作業とは関係がない部品が含まれている等)を頻繁に受けるようになり、2020年8月頃から数か所の小規模工場を対象としてPT本部に初期見積書作成以降の協定業務(初期見積書を作成する→損保会社のアジャスターと修理内容について協議する→修理後に協定見積書を作成する)を集約するようになり、2021年1月頃からは全ての工場を対象として初期見積書作成以降の協定業務をPT本部に集約するようになった。

PT本部(福岡市博多区内)の人員は最大でも20人程度であるのに対し、協定件数は年間4万件を「優に超え」るため、「早朝から午前零時過ぎまで執務することは日常茶飯事であり、繁忙期には、帰宅さえできない者もいた」。

PT本部では、各工場の担当者が本部のシステムにアップロードした写真(写真で判別が困難な損傷個所はチェックシートに手書きしたものを写真撮影して一緒にアップロードする仕組み)を見て、必要な写真をピックアップしてコグニビジョンに取り込んで初期見積書を作成し、損保会社に送信する(実車を確認することはない)。それを見た損保会社のアジャスターから電話がかかってくるので、その電話で作業内容を合意した後、各工場のフロントが顧客に連絡して顧客の了解を得た後に着工するという流れになる。

しかし、実際の修理段階において追加修理が必要になったとしても、最終協定時に追加修理代金の工賃を損保会社に認めてもらうことは「必ずしも容易ではなかった」ことから、初期見積書の内容が過大になる傾向にあり、「可能な限り工数が多くなる見積りが行われることも少なくなかった」。




通常、保険事故が発生して整備工場に事故車が入庫されると、整備工場が修理を始める前に保険会社のアジャスターが整備工場に来ます。

そして、実車を見ながら、どこをどのように修理するのかについて整備工場の担当者から説明を受け、その上で修理内容と金額を確定します。

これを「協定」と言います。


しかし、ビッグモーターでは、


1,工場の担当者が協定について理解していないため、必要十分な写真撮影やチェックシートの作成ができない(最終協定まで見越した初期見積書を作成するための写真という視点がない)。

2,PTは協定について理解しているが、実車を確認せず、協定について理解していない者が作成した写真やチェックシートを見て初期見積書を作成せざるを得ないため、必要十分な初期見積書が作成できない。

しかも、年間4万件を優に超える案件を最大20人で処理しなければならないため、写真やチェックシートが不十分で追加報告が必要であったとしても作成者に確認する時間がないし、おそらく確認したとしても作成者に能力がないせいで必要十分な情報が得られない。


という問題が発生したわけです。


PT本部は、この問題について、初期見積書に必要になりそうな全ての修理をとりあえずぶっこむという方法で解決しようとしました。

現場の工場で不要な作業工程を減らした上で修理をし、最終協定や保険金請求に至ればよかったのですが、本社は、各工場に対し、初期見積書どおりの修理をするように繰り返し通達するとともに、修理車両1台あたりの工賃と部品粗利の合計金額の平均を14万円程度とするように指示し、これらが達成できない工場長を工場長会議で吊し上げ容赦なく降格処分(大幅な減給・転勤という痛手が伴うもの)にしてそれを全社員に通知したことから(2020年は20人、2021年は15人、2022年は12人の工場長がフロントに降格処分になっています。ちなみに、工場は最も多いときで33か所しかありません)、現場の工場ではPT本部が作成した初期見積書の金額を減額することができず、過大であることを知りつつ初期見積書のとおりの修理を行う(あるいは修理をしていないのに修理をしたふりをして不正請求をする)という行為が横行する事態になりました。

また、上記14万円を稼ぐ目的で、PTに写真を送信する段階で過大な修理内容になるように偽装する工場もありました。


このように、悪いのは犯罪行為に手を染めたビッグモーターであることは間違いありません。

保険会社に対する詐欺罪、顧客に対する器物損壊罪を会社ぐるみで行っていたという驚くべき実態が明らかになって社会問題化しつつあります。

こういうものは警察や検察の大好物ですので、おそらく何人かが逮捕されることになり、ビッグモーターは存続の危機を迎えることになるでしょう。


とはいえ、そうなったとしても犯罪行為を会社ぐるみで敢行したビッグモーターの自業自得です。

我々が怒るべき対象は、損保各社(損保ジャパン三井住友海上火災東京海上日動火災)です。損保各社がビッグモーターに支払った保険金は保険会社が身銭を切ったものではなく、我々が支払った保険料を原資とするものです。保険事故が多くなれば翌年以降の保険料が上がることになります。

実車を見て修理箇所と修理内容を確認して協定を結んだうえで必要十分な修理をするという当たり前の手順を損保各社が怠ったせいで、ビッグモーターの犯罪行為を助長することになり、その結果として我々が支払う保険料が増えることになったわけですから、損保各社は手抜きをしたことを猛省すべきであると考えます。


なお、損保各社は、保険契約者から事故連絡があると、ビッグモーターの工場を積極的に紹介していたようです。


また、東洋経済オンラインは、損保ジャパンはビッグモーターに5人の出向者を送り込み、三井住友海上火災と東京海上日動火災が停止していた事故車の入庫誘導を単独再開する見返りとしてビッグモーターからの自賠責の契約を独占していたと報じています。


損保ジャパンは板金部門に5人の出向者を送り込み、工場長が集まる会議に同席したり、教育係として工場スタッフと日々やり取りしたりするなかで、営業ノルマが及ぼす影響を「間近で確実に見ていた」(大手損保幹部)からだ。
不正疑惑を厳しく追及してくる東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険の自賠責(自動車損害賠償責任保険)の取り扱いを、ビッグモーターが一部の店舗に対して「停止するよう指示」(同社関係者)したのだ。
それにより、自賠責の契約は損保ジャパンへ一気に流れていった。

https://toyokeizai.net/articles/-/686623?page=2


ビッグモーターを紹介した損保各社が、ビッグモーターの不正請求を予見することができたとするならば、損保各社は保険契約者から法的責任を問われることになるものと思われます。

というのは、下記記事を読んで気づきましたが、保険契約者も損害を受けているからです。


ビッグモーターでこれまで修理をした人の中には等級ダウンによる保険料の値上がりなどを考えると、車両保険を使わずに修理したほうが良い軽微な修理で終わるケースがあったかもしれません。
また、免責金額(5・10万円など)に達していない場合はそもそも保険支払いの対象外です。
このような10万円-15万円以下の比較的軽微な損傷に関して、ビッグモーターはわざと損傷個所を拡大するなどして、見積もりを水増しして請求していたケースも多数あったとみられます。

https://kuruma-news.jp/post/670598/2


というわけで、ビッグモーターが悪いのは当然として、実車を見に行くという当たり前の手順を怠ってビッグモーターの不正請求を許したばかりか、ビッグモーターの工場に積極的に顧客を紹介した損保各社(とりわけ5人もの出向者を送り込み工場長会議にも出席させ自賠責保険の契約を独占していた損保ジャパン)は純粋な被害者とは言えず、関与の濃淡によっては損保各社トップの責任問題に発展する可能性が出てきました。

4 件のコメント:

  1. 整備事業の認可取り消し、古物商の免許剥奪、保険代理業免許取り消しを即刻実行してほしい。
    反社以下の企業。
    言語道断。

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  2. コメントありがとうございます。

    件数が多い(年4万件)ので、事実確認に時間がかかりそうですね。

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  3. 私の利用してるモータース 過剰修理は当たり前みたいだな お客も自分も保険屋も 三方よし
     わざわざ 凹ましてとかないけど ついでにココもとか言って やってくれますね

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  4. コメントありがとうございます。

    >保険屋も 三方よし

    ビッグモーターの保険代理店の売上げを忖度して損保各社が写真判定による協定を許したのであれば、非常に残念なことですね。

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