SBI証券は、2023年7月28日、信託報酬0.05775%の「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」の取扱いを開始しました。
これにより、超低コスト競争が新たな時代に入ったことになります。
はじめてのNISAオールカントリーの信託報酬0.05775%は、一般販売されている投資信託の中で最安です。
※新規設定直後は野村證券のつみたてNISA口座でしか購入することができませんでしたが、2023年7月28日からはSBI証券の特定口座で購入することができるようになりました。
※野村スリーゼロ先進国株式投信の信託報酬は2030年12月31日までゼロですが、野村證券のつみたてNISA口座でしか購入することができません。
※Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)の信託報酬も0.05775%ですが、指数のライセンス料と法定書類の作成費用を除いている点で、これらを含むはじめてのNISAオールカントリーのほうが安いことになります。
はじめてのNISAオールカントリーは、日本を含む全世界の株式に時価総額比で投資するファンドです。
野村アセットマネジメントは、このファンドのためにMSCIジャパン指数に連動するマザーファンドを新規設定しています。そのため、はじめてのNISAオールカントリーは、野村アセットマネジメントが初めて作った全世界株式インデックスファンドということになります。
競合ファンドには、純資産額1兆3105億円のeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が存在します。このスリムオールカントリーの信託報酬は0.1133%であり、はじめてのNISAオールカントリーの1.96倍です。
三菱UFJ国際投信も、スリムオールカントリーのためにMSCIジャパン指数に連動するマザーファンドを新規設定しました。三菱UFJ国際投信の代田常務は、自信をもって送り出した「eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)」がヤマゲン先生の太鼓判をもらったにもかかわらず大コケしたことで「全世界株ファンド自体にニーズがないのではないか」と疑いを抱いたものの、投信ブロガーの熱烈な希望に負けてスリムオールカントリーを新規設定することになったとき、「どうせならとことんやろう」と考えてMSCIジャパン指数のマザーファンドを新設し、そこに最初に3億円をぶちこみ、臨時レポート(下記リンク)を出すなどした結果、1兆円ファンドにまで成長し、大成功しています。
https://www.am.mufg.jp/text/253425_181102.pdf
新NISAの定番ファンドになるかと思われたスリムオールカントリーでしたが、信託報酬が半額のはじめてのNISAオールカントリーの登場によってその地位が危うくなりつつあります。
さて、はじめてのNISAオールカントリーがSBI証券の特定口座で購入できるようになったことで、スリムオールカントリーの積立買付をしている人はみんなこう思っていることでしょう。
はじめてのNISAオールカントリーに乗り換えたほうが良いのだろうか?
この点、「トータルコストが分からないから1年様子を見るべきだ」という人がいます。
たしかに、信託報酬を除く運用コストは、1年間の運用期間中に実際にかかったコストの総計であるため、実際に運用してみなければ幾らになるのかは分かりません。
しかし、野村アセットマネジメントはこれまでも様々なインデックスファンドを新規設定し、運用しています。はじめてのNISAオールカントリーは、先進国株+新興国株+日本株ですが、2017年10月に新規設定された野村つみたて外国株投信は先進国株+新興国株(はじめてのNISAオールカントリーから日本株を除いたもの)になります。そうすると、野村つみたて外国株投信の運用報告書に記載された実績値を見れば、はじめてのNISAオールカントリーのトータルコストが幾らになりそうか予測することができます。
それをやってみたのが、下記になります。
●スリムオールカントリーは対抗値下げしても「はじめてのNISAオールカントリー」にコストで負ける
野村つみたて外国株投信は、新規設定直後から極めて安定した運用をしており、「純資産額が少ないからコスト高になる」こともありませんでした。
そうすると、野村つみたて外国株投信に日本株を足しただけのはじめてのNISAオールカントリーの運用も期待できます。
しかも、eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)とeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の実績値を比べてみると、日本株を混ぜたほうがトータルコストが安くなる傾向が見受けられます。
そうすると、はじめてのNISAオールカントリーのトータルコストは野村つみたて外国株投信よりも安くなることが期待できます。
これらの分析の結果、私は、はじめてのNISAオールカントリーのトータルコストは新規設定直後でも安いだろうし、スリムオールカントリーが同率値下げに踏み切ったとしても安いだろうと判断しました。
これらの予測を踏まえて考えると、私がスリムオールカントリーをメインの投資先にしているならば、
1,毎月の積立買付ははじめてのNISAオールカントリーに直ちに変更する。
2,既に購入済みのスリムオールカントリーの売却を伴う乗り換えは、はじめてのNISAオールカントリーの純資産額が100億円を超えるまで待つ。
●ファンドの純資産額が100億円あればひとまず安心
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1789.html
というようにするでしょう。
毎月の積立買付についても、はじめてのNISAオールカントリーの純資産額が100億円に到達した後であれば更に安心ですが、そこまでの他力本願をすべきではありません。
ファンドにとって純資産額というのは顧客の愛(ⓒ大島優子)ですから、自分がこれぞと思ったファンドは実際に購入することで応援すべきです。
また、スリムオールカントリーの積立買付額が減ってはじめてのNISAオールカントリーの積立買付額が増えれば、スリムオールカントリーの対抗値下げへの圧力になりますし、はじめてのNISA米国株が信託報酬を引き下げるための動機付けになります(はじめてのNISA米国株は、マザーファンドを新規設定して登場したものの、その信託報酬は純資産額2兆4000億円のスリム米国株と同率であることから爆死が予想されます。はじめてのNISAオールカントリーの純資産額が激増すれば、信託報酬を引き下げることで同じように成功したいと考える可能性があると思っています)。
私も、はじめてのNISAオールカントリーの純資産額が100億円を超えた段階で、VTの売却を伴う乗り換えを検討する予定です。
売却を伴う乗り換えは微妙ではないですかね?
返信削除余り利益の乗っていない段階なら良いですが、オジサン世代でコロナ前にオルカン買った人は結構な利益があるので先送りでどうでしょうか。指数が同じなので特にポートフォリオが乱れることもないですし。
はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)のSBI証券で取り扱い開始を知ると、即座にまず特定口座から積立を変更しました。
返信削除野村AMの運用は心配していないのですが、三菱(eMAXIS Slim)の方がマーケティングに注力しそうな点が気になります。
マーケティングの差を乗り越え、顧客が合理的な選択をして、顧客の愛(@大島優子)を注ぎ込み、純資産額が順調に成長することを期待しています。
私はSBI証券のクレジットカード投資でたわら全世界株(投信保有ポイントを考慮するとオルカンよりも有利)を積み立てていましたが、たわら男爵さんの金曜日の記事を見て早速ノムカンに変更しました。
返信削除ところで、VTやオルカンからの売却を伴うノムカンへの乗り換えですが、税金を考慮しても有利なんでしょうか。教えてくださると嬉しいです。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
返信削除>売却を伴う乗り換えは微妙ではないですかね?
含み益の程度次第だと思います。
含み益が多い人は暴落を待ってもいいかもしれません。
>三菱(eMAXIS Slim)の方がマーケティングに注力しそうな点が気になります。
野村は気軽な気持ちで他人の縄張りに手を突っ込んだと思うのですが、三菱UFJ国際投信にとっては死活問題でしょうからね。
私は、オールカントリーが売れれば、それに味を占めてS&P500ファンドも引き下げるのではないかと期待しているので、ぜひ頑張ってほしいです。
>VTやオルカンからの売却を伴うノムカンへの乗り換えですが、税金を考慮しても有利なんでしょうか。
多額の含み益があると、信託報酬の差では賄い切れないと思いますので、乗り換えの理由が信託報酬差だけであるならば、含み益の金額によっては暴落まで待ったほうがよいでしょうね。暴落が来ても含み益がそれほど減らなければ売らなければいいだけですし。
ただ、将来的に処分を考えているものであれば、この機会に売ってしまうのもよいと思っています。
私の場合も、2015年にVTを買ったものの、ジジイになったときに管理しきれるとは思えず、子供に相続させたくはないため、いずれはインデックスファンドに買い替えるつもりでいます。
はじめてのNISAオールカントリーはその有力な候補先ですが、税金の金額を考えると憂鬱になります。
私もとりあえず特定口座の積み立てから野村オールカントリーの設定を開始しました。
返信削除今年中に100億円到達するかな?
この時期に 大変なインパクトです 子供らに新nisaから投資を勧めていたんですが 全世界、全米、先進国 からどれか一つ あるいは 三つ ほぼ決まりですね
返信削除ノムカン、sbi VTI、たわら先進国 かな
ワタシ自身は 雪だるま全世界とsbi VTIのつもりでしたが 再考かな
野村am内 s&p500の信託報酬下げもおそらく規定の事と思います VOO並0.03は無いですよね
盆前には他でも販売するでしょうね 100億まで すんなり増えると思います
なんか良い時代に巡り合わせたな
たわら男爵様
返信削除はじめてのNISAオールカントリーの純資産額が激増すれば、(スリム)オルカンもはじめてのNISA米国株も、信託報酬を引き下げる可能性があるのではと私も思います。
しかし、運用会社の取り分が0.0175%って、
純資産1兆で、運用会社に入ってくる額面が1億7500万でしょうから、せめて10兆円ファンドにならないと特に「投資顧問を兼業しない=投信専業の」三菱UFJ国際投信にとっては、つらいでしょうね。
コメントありがとうございます。
返信削除>今年中に100億円到達するかな?
米国株の相場次第ですが、2~3か月で到達しそうですね。
>ノムカン、sbi VTI、たわら先進国
特にこだわりがなければ、はじめてのNISAオールカントリーが定番ファンドになると思います。
>100億まで すんなり増えると思います
2~3か月で到達してほしいですよね。
>はじめてのNISAオールカントリーの純資産額が激増すれば
全てはこの点にかかっています。
頑張ってほしいものです。
>三菱UFJ国際投信にとっては、つらいでしょうね。
真っ先に安値競争を仕掛けたのは三菱UFJ国際投信ですから、他社は自業自得だと思っていることでしょうね。
野村の運用にいたく楽観的ですね。オルカン1強が業界にとって望ましくないことは分かりますが、まだこれからのファンドなので、まずは半年ほどお手並み拝見といきたいところです。
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除>野村の運用にいたく楽観的ですね。
これまでの実績から、インデックスファンドの運用について非常に信頼できる運用会社であると考えています。
私も同感です 三菱ufj あくまで時流に乗り先物も加味しての成績 ここいらで熱いお灸は 将来の為ですね
削除たわら男爵様
返信削除先ほど間違って投稿してしまいました。申し訳ありません。
さて、野村アセットマネジメントには、確定拠出年金向けの先進国株式インデックスファンドがあるんですよね。
2023年6月27日に信託報酬を引き下げて、たわら先進国株式などと同額になりました。
https://www.nomura-am.co.jp/news/20230627NAM.pdf
野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(純資産2,439.4 億円 分配金あり、再投資)
https://www.nomura-am.co.jp/fund/funddetail.php?t=1&fundcd=400041#fundinfo
野村外国株式インデックスファインド・MSCI-KOKUSAI(確定拠出年金向け)(純資産5,461.8 億円 分配金あり、再投資)
https://www.nomura-am.co.jp/fund/funddetail.php?fundcd=400017
このマザーファンドを「はじめてのNISA」シリーズの1本として一般に開放してくれるといいのになぁと思います。
野村AMにはDCには専用ファンドがあり、低コストなら野村スリーゼロ先進国株式投信もあるから難しいのでしょうか。
MSCI-KOKUSAI指数に連動するインデックスファンドは、もう売れ筋から外れたから難しいでしょうかねぇ。
新興国を外し先進国の投資に限るのは至極まっとうな気はしますが。
好き放題言っていますが、MSCIJapanのマザーファンドを作っているならMSCI-WORLD indexに連動する投資信託を作ってもいいように思うんですね。書いておいてなんですが需要がないかもしれませんね。
コメントありがとうございます。
返信削除>確定拠出年金向けの先進国株式インデックスファンドを「はじめてのNISA」シリーズの1本として一般に開放してくれるといいのになぁと思います。
名称変更するのであれば「DC」は外せないでしょうから、「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株」のようなダサい感じになってしまいそうですね。
はじめてのNISAオールカントリーが爆売れしてスリムオールカントリーから客を奪うことに成功すれば、はじめてのNISA米国株も信託報酬の引き下げに踏み切ると思います。
はじめてのNISA先進国株が超々低コストで新設されるとしてもその後になりそうですが、ニッセイ外国株やスリム先進国株は5000億円規模にすぎませんので、全世界株や米国株ほどの資金流入は期待できないと考えてやらないかもしれません。