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2023年6月24日土曜日

スリムオールカントリーは対抗値下げしても「はじめてのNISAオールカントリー」にコストで負ける

野村アセットマネジメントは、2023年6月23日、日本を含む全世界の株式に時価総額比で投資するはじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)信託報酬0.05775%で新規設定する旨を発表しました(新規設定日は7月10日)。

【参考】

●【スリムオールカントリーの50%オフ】はじめてのNISA・全世界株式(オール・カントリー)

https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/50nisa.html



日本を含む全世界の株式に時価総額比で投資するインデックスファンドとしては、純資産額が多い順に、


第2位 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)1兆2258億円

第9位 楽天・全世界株式インデックス・ファンド 3142億円

第25位 SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま全世界株式)1207億円


があります(純資産額1000億円以上のものを抽出した。順位はインデックスファンドに限定した純資産額ランキング)。


これを見て分かるとおり、スリムオールカントリーの独り勝ちの状況です(先行した楽天全世界株もそれなりの純資産額を集めていますが、スリムオールカントリーの25%にすぎません)。


はじめてのNISAオールカントリー」は、これからスリムオールカントリーに挑むわけですが、果たしてコストで勝てるのでしょうか?




まず、信託報酬は業界最安値を単独更新しました。

スリムオールカントリーの信託報酬は0.1133%ですから、はじめてのNISAオールカントリーは実にその半値です。次元が隔絶するほどの超絶的な安さと言えます。

もっとも、形式的な数字で比較するならば、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」の信託報酬もはじめてのNISAオールカントリーと同率です。トレーサーズオールカントリーが先行して新規設定されたおかげではじめてのNISAオールカントリーがこの信託報酬で登場したという意味ではとても素晴らしい役割を果たしたと言えますが、トレーサーズオールカントリーの信託報酬には指数のライセンス料、②法定書類の作成印刷費用が含まれておらず、その他費用として別途徴収されるため、これらが信託報酬に含まれるはじめてのNISAオールカントリーのほうが安いことになります。

【参考】

●Tracersオールカントリー、たわら全世界株・スリムオールカントリーより高コストか
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/04/tracers_14.html


つぎに、新規設定されたファンドは一般にコスト高になりやすいため、はじめてのNISAオールカントリーもこのリスクを考えて第1回運用報告書が出される1年後まで様子を見たほうがよいと言う人がいますが、その必要はありません。

野村アセットマネジメントが2017年10月2日に新規設定した「野村つみたて外国株投信」(先進国株+新興国株)の運用報告書を見てみます(はじめてのNISAオールカントリーは、これに日本株を混ぜたものです)。


【第1期運用報告書】
信託報酬 0.126%
その他費用 0.028%
トータルコスト 0.154%

この数字は7か月半ほどの実績値ですので、1年間の数字に直します。

信託報酬 0.2052%
その他費用 0.0456%
トータルコスト 0.2508%


【第2期運用報告書】
信託報酬 0.205%
その他費用 0.04%
トータルコスト 0.245%

【第3期運用報告書】
信託報酬 0.208%
その他費用 0.039%
トータルコスト 0.247%

【第4期運用報告書】
信託報酬 0.209%
その他費用 0.034%
トータルコスト 0.243%

【第5期運用報告書】(最新、2022.5.12)
信託報酬 0.209%
その他費用 0.029%
トータルコスト 0.238%


新規設定直後から極めて優秀な運用をしていることが分かります。
もっとも、野村つみたて外国株投信は十分な純資産額があるマザーファンドを買うだけファンドです。これに対し、はじめてのNISAオールカントリー日本株のマザーファンドは新設されたものですから、その純資産額はゼロからのスタートになります。
とはいえ、日本株が占める割合は5.5%程度ですから、日本株のマザーファンドが新設されることでコスト高になるリスクは気にする必要がない程度と言えるでしょう。

野村つみたて外国株投信(先進国株+新興国株)の「その他費用」が安いことを示すため、「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)」(先進国株+新興国株)の運用報告書に記載された「その他費用」を抜き出してみます。


第5期運用報告書 0.058%(最新、2023.4.25)
第4期運用報告書 0.059%
第3期運用報告書 0.064%
第2期運用報告書 0.094%


野村つみたて外国株投信の第5期(2022.5.12)の「その他費用」は0.029%
これに対し、スリム全世界株(除く日本)の第4期(2022.4.25)の「その他費用」は0.059%ですから、野村の運用能力の素晴らしさが際立ちますね。

ちなみに、スリムオールカントリー(先進国株+新興国株+日本株)の運用報告書に記載された「その他費用」は次のとおりです。


第5期運用報告書 0.053%(最新、2023.4.25)
第4期運用報告書 0.056%
第3期運用報告書 0.061%
第2期運用報告書 0.090%



日本株を混ぜるとその他費用が微妙に安くなることが分かります。

ということは、はじめてのNISAオールカントリー(先進国株+新興国株+日本株)は野村つみたて外国株投信(先進国株+新興国株)その他費用を更に下回ると推測することができます。

スリム全世界株(除く日本)は「その他費用」で野村つみたて外国株投信に負けていますので、スリムオールカントリーも「その他費用」ではじめてのNISAオールカントリーに負けることになるものと思われます。

というわけで、スリムオールカントリーはじめてのNISAオールカントリーに対抗値下げをしなければコストでは勝てないし、もし対抗値下げをしたとしてもやっぱりコストでは勝てないということになるでしょう。


9 件のコメント:

  1. 大手でオルカンとSP500を出せていないニッセイが最安で出してきたら盛り上がりそうです。
    オルカンとSP500が圧倒的な主戦場になった今、シンNISAの本命三菱、対抗SBI、たわらや日興がダークホースと思われた中、古馬の野村が中盤で良い仕掛けをしてくれました。
    あとは、最近ナスダック100や半導体株指数投信のリリースでやる気を見せてきたニッセイが最後尾から勝負を仕掛けてくれると予想してます。

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  2. 圧倒的に安いですね!それでも、日本人はブランド名で考えずに買う人が殆どなのでスリムオールカントリーの一強は揺るがず、はじめてのNISAも今まで散って行った幾多もの投資信託の一つになると思いますが、、、

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  3. コメントありがとうございます。

    >ニッセイが最後尾から勝負を仕掛けてくれる

    ニッセイは、S&P500や全世界株という今の流行りに乗り遅れたのが痛かったですね。

    ただ、スリムが兆円ファンドになってしまった今から参戦してもうまくいくのは難しいと思います。

    >日本人はブランド名で考えずに買う人が殆どなのでスリムオールカントリーの一強は揺るがず

    私は前から思っていましたが、普通の人は「eMAXIS Slim」を読めないと思います。
    「はじめてのNISA」という誤読の余地のない名前で勝負した野村の本気を感じています。

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  4. 「はじめてのNISA」は、インパクト強いですね。それを名前にしちゃうんだ、っていう。
    三井住友DSアセットがファンド名内に「つみたてNISA」を含めた時も思いましたが、投信のネーミングはめっちゃ自由なんですね。

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  5. コメントありがとうございます。

    >「はじめてのNISA」は、インパクト強いですね

    あえて「野村」を入れなかったところに野村の本気を感じています。

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  6. 【先頭固定】誰でもできる超カンタン投資術に記載されている推奨銘柄がどうなるか、楽しみです。

    来年(2024)年の新Nisaまでに、各社の目玉商品が目白押しなのでしょうか。

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  7. スリム全世界株誕生以来のワクワク感です。
    約5年で全世界株式が世に浸透し何より。
    今後、益々発展して欲しいです。

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  8. 野村アセット
    改めて考えるに、MSCI-kokusai連動の投信をまともな低コストで出せないって終わってますね。
    今回ブロガーに批判されてるように、Funds-i0.605%を引き下げられない大人の事情はあるにせよ、残る選択肢は野村証券に口座を開けさせてスリーゼロを買わせることだけ。
    「はじめてのNISA」なら先進国株は必須でしょう。
    野村は企業型DCではトッププレイヤーで、先進国株は中心的な商品になってます。
    いくら米国株やオルカンが流行りだからって、王道の先進国株を自社都合でリリースしないってのはどうかと。
    役職員にまともな人がいない、客に背を向けている自覚がない?

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  9. コメントありがとうございます。

    >新Nisaまでに、各社の目玉商品が目白押しなのでしょうか。

    これを上回る商品はなかなか難しいと思いますが、「はじめてのNISA」シリーズに先進国株ファンドがないのが気になっています。
    野村スリーゼロ先進国株投信は、よくよく考えると販売会社報酬がゼロのため、野村證券を除く販売会社が取り扱おうとは思わないでしょうから、「はじめてのNISA」シリーズに入れることはできませんし。

    >スリム全世界株誕生以来のワクワク感です。

    私は、たわら先進国株の新規設定のニュースを見た時と同じような気持ちになりました。

    >今回ブロガーに批判されてるように、Funds-i0.605%を引き下げられない大人の事情はある

    ファンズアイ外国株はイーマクシス先進国株の1年後に新規設定されたものですので、はじめてのNISAを批判する人はイーマクシススリムを批判しなければ不公平です。

    >「はじめてのNISA」なら先進国株は必須でしょう。

    新NISA口座を野村證券で開く人で先進国株がほしければスリーゼロを買えばいいし、他社で開く人であればたわら先進国株を買えばいいので、顧客の側は困りません。

    私は、楽天インデックスファンドがやったように、最初はオールカントリーとS&P500の2本に絞って「はじめてのNISA」シリーズを始めたほうがよかったと思っています。S&P500の信託報酬もオールカントリーと同率にしたならば、凄いインパクトがあり、シリーズのブランド価値も爆上げしたことを思うと残念です。

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