クレジットカード決済で投資信託を購入するというスキームは、tsumiki証券が日本で初めて始めたものになります。
しかし、楽天証券が直ちに追随しました。しかも、tsumiki証券では4種類のアクティブファンドしか買えず、還元率も1年目0.1%~5年目0.5%であったのに対し、楽天証券では超低コストインデックスファンドを含む全てのファンドを買うことができ、還元率も1.0%であったことから、大変な人気を集め、楽天証券が躍進する原動力になりました。
とはいえ、証券会社1社に登録できるクレジットカードは1枚だけで、購入できる投資信託は月額5万円までという制限があります。
2023年12月31日に終了する「つみたてNISA」の投資可能額は年額40万円であり、月額に直すと3万3333円であったことから月額5万円のクレジレットカード決済の範囲内に収まりましたが、2024年1月1日に開始する新NISAの「つみたて投資枠」の投資可能額は年額120万円であり、月額に直すと10万円であることから、クレジットカード決済の上限額が月額5万円では全く足りません。
そこで、tsumiki証券は、与信をする日と銀行口座から引き落しをする日の間隔を短くし、前月分(10万円)の完済後(銀行口座からの引き落とし後)に当月分(10万円)の与信をするように制度設計をすることで法令上の制約をクリアし、月額10万円のクレジットカード決済を可能にしました。
【参考】
●エポスカード投資、月額5万円から10万円に拡大(2024年1月~)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/08/51020241.html
【参考】
●エポスカード投資、月額5万円から10万円に拡大(2024年1月~)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/08/51020241.html
しかし、これは証券会社とクレジットカード会社が同じ親会社(丸井グループ)だからこそ実現できたことです。
傘下にクレジットカード会社を持たないSBI証券で考えてみると、SBI証券がクレジットカード決済の上限額を月額5万円から月額10万円に引き上げたいと思ったとしても、クレジットカード会社に協力してもらう必要があります。
三井住友カードがSBI証券のために相応のコストをかけてシステム変更をするとは思えません。また、仮に三井住友カードが協力的だったとしても、SBI証券は複数のクレジットカード会社にクレジットカード投資を開放していますので、それらのクレジットカード会社の中に非協力的なところがあると、「三井住友カードでは10万円まで買えるが、タカシマヤカードでは5万円までしか買えない」という複雑なことになります。そのため、例えば三井住友カード決済に限定してクレジットカード投資の上限額を10万円に引き上げることはできないでしょう。
つまり、証券会社が「毎月10万円の投資信託をクレジットカードで買えるようにしたい」と思ってもどうにもならない状況にあるわけですね。
「5万円では足りないよ」
そう思っているあなたに朗報です。
金融庁、動きます。
※よろしければ、次の記事もご覧ください。
●「iPhone14Pro(256GB)」を14万4750円で売却し、3万円の利益が出ました
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/10/iphone14pro144750.html
ソースはこちら。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/sisan-unyo/siryou/20231003/03.pdf
□新NISA制度の下では、つみたて投資枠(年120万円(月換算10万円))と成長投資枠(年240万円(月換算 20万円) )が導入される。クレジットカード決済による投資を金商業者等が受託する行為は、現行規制上、 原則禁止されているが、一定の要件(注)を満たす場合には投資可能とされている。ただし、業界慣行により、 この上限額は毎月5万円に制限。
□現行の規制の経緯としては、クレジットカード決済により顧客の資力を上回る有価証券の購入を可能ならしめ、過当取引により投資家保護上問題が生ずるおそれがある一方で、支払いの選択肢を増やすことにより投資家の利便性向上に資する面もあることから、一定の要件の下で認められたもの。
□現行の規制の趣旨を踏まえつつ、投資家の資産形成を促進するための利便性を高める観点から、累積投資契約によるクレジットカード決済上限額を引き上げてはどうか。その場合、つみたて投資枠の毎月10万円 までとするか、あるいは、成長投資枠も含め毎月30万円までとすることも考えられるか。
これは「事務局説明資料」ですから、金融庁の担当部局がクレジットカード投資の上限額を現行の5万円から10万円ないし30万円に引き上げたいと考えて内閣府令の改正を検討していることを意味します。
要するに、有識者に「問題なし。むしろ積極的にやるべきだ」と言ってもらい、それを政策実現の根拠にしようという官僚がよくやる作戦です。
金融庁は天下の弱小官庁です。
しかし、今、「新しい資本主義」という風が吹いています。「新しい資本主義」は中身がないだけに、「これが新しい資本主義だ」と自信をもって断言すればみんな「そうなのかな」と思ってしまうという抜群の効果があります。
この風を生かすも殺すも金融庁の頑張り次第であることが今一つ安心できない点ですが、何とか実現してほしいものですね。
三井住友カードプラチナプリファードでは、
返信削除SBIで月5万円積立をした場合、決済額の5%である2500円が還元されます
もし、10万円積立可能になった場合、
5000円を顧客に還元することになります
一方でeMAXIS Slimオールカントリーの販売会社報酬は年率0.0175%で
その全額を投信マイレージとして投資家にキャッシュバックしています
もし、月10万円まで積立が拡大された場合は、プラチナプリファードは改悪されるかもしれないですね
これは素晴らしい施策ですね。本音は月30万解禁ですが、10万でもインパクトがあるのではないでしょうか。
返信削除懸念点は(おそらく月5万を前提に設計したであろう)各証券会社のポイント付与制度ですが、積立の意義や即現金化対策を考えると
例えば1年以上保有でポイント付与対象、みたいな形式で解決できないかなあと思ったりしています。
情報ありがとうございます。各省庁傘下の審議会等で「◯◯してはどうか」という文体は頻出ですね。
返信削除少なくとも(実質)10万円、30万円は「高過ぎる」と意見が出て「では間を取って(実質)20万円」、という筋書きが見えるようです。
あとは改正決定までに、「新しい資本主義」の旗を振る政権自体が倒れない事ですね。。。
「累積投資契約の」と宣言されており、増枠は新NISA枠内での利用に限られるような書き方ですね。うがった見方をすれば、課税口座ではクレカ投資が出来なくなるかも?
返信削除まあ新NISA以外に投資する余力は無いので当面は構いませんが、生涯投資枠を使い切った後はどうなるのかなー、と、めっちゃ先の懸念もあります。
コメントありがとうございます。
返信削除>もし、月10万円まで積立が拡大された場合は、プラチナプリファードは改悪されるかもしれないですね
踏ん張ってほしいですよね。
>例えば1年以上保有でポイント付与対象、みたいな形式で解決できないかなあと思ったりしています。
即売りでポイントウマウマされないように、しっかりとした対策をして、持続的なサービスにしてほしいですよね。
>改正決定までに、「新しい資本主義」の旗を振る政権自体が倒れない事ですね
譲渡所得の総合課税化を公約している維新と国民民主党が議席を伸ばして、そちらに配慮した政策をするとまずいことになるかもしれないと思っています。
>「累積投資契約の」と宣言されており、増枠は新NISA枠内での利用に限られるような書き方ですね。
累積投資とは均等額の毎月積立てのことですから、NISAに限定する趣旨ではないと考えています。
NISAに限定して与信を緩和することの正当化根拠があれば別ですが、そのようなものがあるとは思えませんし。
いつも楽しく拝見させていただいております。クレカでの投資額が増えると嬉しいのですが、自分の中で原資が足りなそうです。そこで終身保険を解約しようか迷っていましたが男爵様は終身保険についてどのようなお考えでしょうか。妻と子2人おりますが資産としては数千万はあるので不慮の事故等があったとしてもある程度生活維持の心配は少ないのですが、若いころに加入した終身は解約すれば60万程払った額よりも戻りが減りますので躊躇していました。子供に遺産として残す場合は相続税対策でもなるなら残そうか、などと考えだらだら払い続けていましたがぜひご意見いただきたいです。
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除>男爵様は終身保険についてどのようなお考えでしょうか。
解約返戻金があるタイプの生命保険は入ったことがありません。
掛け捨ての生命保険は子供が産まれた時に入りました(掛金は月額3000円程度のもの)。
ただ、その後に資産が激増して私が早死にした時に保険に頼る心配が不要になったので、もうやめています。
>若いころに加入した終身は解約すれば60万程払った額よりも戻りが減りますので躊躇していました。
個別株の損切りと一緒で、「今これから買おうと思うか」で判断するしかないと思います。
含み損が60万円ある個別株をずっと買い続けたいかと考えると、一つの判断基準になるかもしれません。
お早い返信ありがとうございます。改めて妻の分と計算し直すと合わせて200万以上の払い損でした。もちろん今までの保障もあったわけですし、払い負けした分でざっと計算したところ夫婦それぞれ月7、8千円保険をかけていたということになりそこまで理不尽なことではないとも言えますが。で70歳近くまで待つと払い負けはしないという状況でした。老後に金があっても仕方ない、しかし待てば損はしない。この状況でもお答えは変わらない感じでしょうか。飽くまで最後は各自の判断なのは承知の上で参考までにお聞かせください。
削除コメントありがとうございます。
返信削除>妻の分と計算し直すと合わせて200万以上の払い損でした
解約返戻金が1000万円で200万円の損なのか、3000万円で200万円の損なのかにもよるため何とも言えません。
私ならば、掛け捨ての保険料を調べて今の保険料と比較し、その差額で積立投資をしたとしたら幾らになりそうかを年利3~4%で計算してみます。
また、解約返戻金を新NISAで投資すれば値上がり益は全額非課税になるため、毎年360万円ずつ年初一括投資をしていけば、年利3~4%と見積もったとしても7~8年で200万円を取り戻せそうな気もします。
最終的にそれぞれ770万ほどづつ払い込み亡くなった後に各1千万戻るものです。現在夫婦計550万円くらい払い込み計350万円ほど戻ります。あと30年待てば元本割れないというところです。夫婦ともに新NISA満額5年でいけそうです。妻はキャッシュでは足りないので特定分は売ろうかという所です。どうしても現金が今欲しいというわけではないけどもあまり意味のない保険に数十年付き合うのもどうかなという所で・・・
削除コメントありがとうございます。
返信削除>770万ほどづつ払い込み亡くなった後に1000万戻る
あまり良い商品とは言えないですね。
要するに、今解約すると200万円の損、これから30年かけて200万円払えば損はゼロになるものの(+生命保険の保証付き)、その代わりに350万円が30年間拘束されることになるというわけですね。
350万円を年利3.0%で30年間運用すると860万円になりますので、生命保険の保証を無視できるのであれば解約したほうが良いと思います。