チャールズ・シュワブが興味深い記事を公開しています。
●Does Market Timing Work?
https://www.schwab.com/learn/story/does-market-timing-work
記事では、5種類のシミュレーションをしています。
投資期間 2003年から2022年まで
投資対象 S&P500
投資方法 次の5つの条件に従い、毎年2000ドルを20年間投資する。
①その年の終値が最も安い日に2000ドルを全額投資する。
②その年の年初に2000ドルを全額投資する。
③2000ドルを12等分し、毎月の月初に2000ドルの12分の1ずつ積立投資する。
④その年の終値が最も高い日に2000ドルを全額投資する。
⑤株式投資はせず、毎年2000ドルずつ米国債を買う。
要するに、①が最高のタイミング投資、④が最悪のタイミング投資であり、②と③が年初か月初かという違いはあるもののドルコスト平均法による積立投資ということになります。また、⑤は無リスク資産です。
毎年2000ドル×20年間=4万ドルがどうなったかですが、こうなりました。
①13万8044ドル(最高のタイミング投資)
②12万7506ドル(年初一括)
③12万4248ドル(毎月のドルコスト)
④11万2292ドル(最悪のタイミング投資)
⑤4万3948ドル(無リスク資産)
最高のタイミング投資に20年連続で成功するという奇跡が起こったとしても、年初一括より8.26%増、毎月初のドルコストより11.10%増に過ぎなかったという結果になりました。
具体的な数字は記載されていませんが、チャールズシュワブが
1,1926年まで遡り、78パターンの20年投資(1926年~1945年、1927年~1946年、1928年~1947年・・・)をシミュレーションした。
2,1926年まで遡り、30年投資、40年投資、50年投資をシミュレーションした。
ところ、どのパターンや時代でも結果は変わらなかった(⑤から①の順にリターンが向上した)とのことです。
チャールズシュワブは、次のように述べます。
(我々の調査によれば、長期投資家が取るべき最善の行動は、自分の目標とリスク許容度に応じた株式市場への資金投入額を見極め、現在の株式市場の水準は無視して可能な限り速やかに株式投資をすることである。)
(投資の「ベストタイミング」を待ちたいという誘惑に駆られたとしても、我々の調査によれば、完璧なマーケットタイマーでさえそれほどの利益は得られなかった。)
(投資の「ベストタイミング」を待ちたいという誘惑に駆られたときは、「待つことのコストの高さ」を思い出してほしい。我々の調査では、最悪のマーケットタイマーでさえ株式投資を全くしなかった人には勝っているのだ。)
Procrastination can be worse than bad timing. Long term, it's almost always better to invest in stocks—even at the worst time each year—than not to invest at all.
Dollar-cost averaging is a good plan if you're prone to regret after a large investment has a short-term drop, or if you like the discipline of investing small amounts as you earn them.
(市場のタイミングを計ることの難しさを考えれば、大多数の投資家にとって最も現実的な戦略は「すぐに株式投資を行うこと」だろう。
先延ばしにすることは、最悪のタイミングで投資するより悪いことだ。長期的に見れば、投資をしたほうが、例えそれが毎年最悪のタイミングであったとしても、全く投資しないときより良い場合になることがほとんどである。
ドルコスト平均法は、大きな投資をした直後に短期的に下落すると後悔しがちな人や、自分の収入の中から少額を投資していくという規律が好きな人には良いプランだ。)
リスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、高いリスクを取った人だけが高いリターンを得ることができます。
リスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、高いリスクを取った人だけが高いリターンを得ることができます。
毎年2000ドルずつ投資するケースでは、年初一括投資がもっとも早くお金をリスクにさらすことになるため、もっとも高いリターンを期待することができます。チャールズシュワブの調査結果でも、最高のタイミング投資を毎年必ず成功し続けるという奇跡の人には負けたものの、それ以外の人には勝っています。
ここから得られる教訓は、「思い立ったが吉日」(「いつやるか? 今でしょ!」)ということです。
マーケットが常に正しいのであれば、市場全体を見れば常にフェアバリューであるということになります。だとするならば、タイミングを計ることは無意味であり、その時々の余剰資金を全力で投入すべきです。
すなわち、より早期に、より多額のお金を市場に投入してリスクにさらせばさらすほど(=バイアンドホールドを続ければ続けるほど)、より多くのリターンを手にすることができます。
とはいえ、途中でバイアンドホールドをやめてしまうと、その時点でリスクはゼロになり、リターンもまたゼロになってしまいます。そこで、リスクにさらすお金を少しずつ増やす過程で自分のリスク耐性(=暴落相場を迎えてもバイアンドホールドを続ける気力)を少しずつ増やしていくことが重要です。
というわけで、私は、一括投資のほうが積立投資よりも圧倒的に良いリターンであることは明白であるものの、積立投資を推奨しています(手元にまとまった無リスク資産があったとしても、それを60等分し、60か月かけてインデックスファンドを買うべきです)。
【参考記事】
●最悪のタイミング(暴落の直前)に一括投資をするとどうなるかhttp://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2521.html
●積立投資と一括投資では、どちらが得なのか?
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2506.html
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-2506.html
●一括投資か積立投資かという議論はナンセンス
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1905.html
●バンガード社は一括投資を明確に推奨している
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-1350.html
●積立買付で含み益というお守りを獲得しよう
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-622.html
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-622.html
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