ウエルスアドバイザーの下記記事を読みました。
●新NISAスタート直前対策! 投信の運用コスト(信託報酬等)はどこまで下げられるのか?
https://www.wealthadvisor.co.jp/market/2023/1122/fund_02186.html
上記記事は、各分野ごとに信託報酬が安い投信の具体名を列挙しています。
一読すると、「ああ、こんなファンドもあったよね」という気持ちになれます。
先進国株の分野では、次の3ファンドが挙げられています。
野村スリーゼロ先進国株式投信
野村スリーゼロは野村證券だけ、PayPay投信はPayPay証券だけでしか買えない事実上の専売品です。
そして、SOMPO123はアクティブファンドになります。
そのため、超低コスト先進国株インデックスファンドのトップスリーである
ニッセイ外国株式
たわらノーロード先進国株式
eMAXIS Slim先進国株式
に言及してほしかったところでした。
さて、「SOMPO 123先進国株式」は信託報酬0.077%のアクティブファンドです。
インデックスファンドにしないことで、指数提供会社へのライセンスフィーを支払う必要がなくなります。ライセンスフィーは一般的には運用会社が負担しますので、ライセンスフィーの負担がなくなれば、その分の運用会社報酬を減らすことができます。
信託報酬の内訳は、次のとおり。
運用会社報酬 0.03%
販売会社報酬 0.022%
信託銀行報酬 0.018%
運用会社報酬を減らしている感じが全くしないのですが、
①ベンチマークを定めないことで、運用会社はライセンスフィーの支払いをせずに済む
②アクティブファンドとすることで、運用会社報酬を販売会社報酬より多くすることを正当化できる
という高等戦術だったようです。
さて、信託報酬0.077%は、超低コスト先進国株インデックスファンドのトップスリーの信託報酬0.09889%の78%の水準です。2割引きのバーゲン価格ですが、「安物買いの銭失い」ということわざもあります。
まずは、第1期運用報告書を見てみます。
売買委託手数料 0.097%(たわら先進国株は0.004%)
有価証券取引税 0.051%(たわら先進国株は0.018%)
暗雲が立ち込めてきましたね。
しかし、投資信託の優劣は基準価額の騰落率に帰着するため、運用報告書の数字だけで判断することはできません。
基準価額の騰落率を見てみます(最優秀リターンは赤字にしてあります)。
1週間 0.38%
1か月 7.61%
3か月 6.02%
6か月 15.69%
1年 22.47%
●たわらノーロード先進国株式
1週間 0.55%
1か月 8.05%
3か月 6.19%
6か月 16.49%
1年 21.91%
●eMAXIS Slim先進国株式
1週間 0.55%
1か月 8.05%
3か月 6.18%
6か月 16.50%
1年 21.90%
●ニッセイ外国株式
1週間 0.55%
1か月 8.06%
3か月 6.19%
6か月 16.49%
1年 21.92%
こうして比較すると、トップスリーは互角ですが(騰落率が互角であるだけに、投信残高ポイントがもっとも高いたわら先進国株のお得さが光ります)、「SOMPO 123先進国株式」は運用に苦しんでいることが分かります。
アクティブファンドは「ファンドマネージャーの手腕」に賭ける投資方法ですが、ファンドマネージャーの腕が良いか悪いかは我々には分かりません。なぜなら、プロの凄さが理解できるのは同業のプロだけだからです。
たわら先進国株にして良かった。
その思いがまた少し強くなりました。
現つみNISAが始まったと同時に大和のiFreeSP500を買い付けてますが、信託報酬0.2%はもうぼったくりの領域になってしまいました。が、6年のつきあいで愛してしまいもう他に移れません。
返信削除来年からもぼったくりと分っていても買い付けていく所存です。
ウエルスアドバイザーも専門メディアなら、男爵さんのように「信託報酬だけでなくトータルコストが重要」「最後は基準価格の騰落率に帰着する」と言って欲しかったところです。
返信削除ウエルスアドバイザー社の収益構造はよく分かりませんが、営利企業メディアの限界かな、深く切り込めるのは結局個人のブログやSNSなのかな、という感想です。
本当は、企業の組織力で投資商品を深く分析して欲しいのですが。
コメントありがとうございます。
返信削除>来年からもぼったくりと分っていても買い付けていく所存
信託報酬の引き下げの見込みもありませんし、新NISAのスタートと同時に変更したほうがよいと思います。
>本当は、企業の組織力で投資商品を深く分析して欲しい
玉石混交というか、ライターの技量に左右されるという印象です。