「SBI欧州高配当株式(年4回決算型)」は、2024年2月28日に新規設定されたばかりのアクティブファンドです。
年4回決算型の高配当株ファンドは、日米欧の3地域に設定されていますが、米国株だけがインデックスファンド(米国ETFを買うだけファンド)で、日欧はアクティブファンドになります。
また、10月1日には全世界株を投資対象とする「SBI全世界高配当株式(年4回決算型)」が新規設定されます。
【参考】
●「SBI全世界高配当株式(年4回決算型)」、税込0.055%(配当率 4.0%)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2024/08/sbi40055.html
このファンドは、信託報酬が税込0.055%とスリムオルカン(0.05775%)よりも低コストで、年4.0%の配当を見込んでいるとあって話題を呼んでいます。
しかし、実質コストは高くなりそうです。
年4回決算型の高配当株ファンドの運用報告書を確認してみます。このうち、日米は問題ありません。
米国株はゼロ、日本株は0.011%です。
これに対し、欧州株は0.295%。計算期間は2024年2月28日から6月20日の4か月間ですから、年率に直すと0.885%。尋常ではない高コストです。
運用会社に聞いてみました。
そうしたところ、
1,米国株は、ブローカーに支払う売買手数料はETFの売買代金に上乗せされてまとめて請求されるので売買手数料の欄に表示されないだけであり、売買手数料はしっかりかかっている。これに対し、日欧は、売買代金とは別に請求されるので、売買手数料の欄に表示されている。
2,日本株は、純資産額が多く、資金流出が少なかった(=買う人が多く、売る人が少なかった)ので売買手数料がそれほどかからなかった。
3,確かに欧州株は売買手数料が高いが、これは簡便法で計算したからであり、実際の数字は半分程度になる。日本株と比べると、純資産額が少なく、資金流出が多かったので、売買手数料も高くなった。
ということでした。
「SBI全世界高配当株式(年4回決算型)」がどうなるかですが、「SBI欧州高配当株式(年4回決算型)」と同じようなやり方で運用されることから、当初募集期間中に多くの純資産額を集めることに成功し、その後も流入資金が流出資金を上回る状態を維持しない限り(要は欧州株を超えて日本株と並ぶような超大人気ファンドにならない限り)、実質コストは高くなりそうです。
なお、欧州株ファンドは不人気ファンドではなく人気ファンドです。
当初募集時に58億6000万円を集めることに成功しましたが、これは日本株ファンドの61億5100万円とほぼ同額ですから、かなりの期待を集めて登場したことが分かります。
しかし、2024年2月28日の新規設定から7か月が経過しようとしている現在、欧州株の純資産額は135億0200万円です。けっして悪くはないですし、人気ファンドと言えますが、日本株の純資産額が新規設定から7か月で800億円であったことからすると見劣りします。
また、サクっとシリーズの売買手数料も高いです。
●SBI・iシェアーズ・TOPIX
新規設定日 2023年7月12日
純資産額 36億7000万円
売買委託手数料 0.309%
●SBI・iシェアーズ・日経225
新規設定日 2023年7月12日
純資産額 69億0200万円
売買委託手数料 0.299%
これらを踏まえて「SBI全世界高配当株式(年4回決算型)」がどうなるかですが、
1,当初募集期間に50億円程度の純資産額を集めてスタートできるかどうか。
2,新規設定後も資金流入が続き、資金流出が少ない(=買う人が多く、売る人が少ない)状態を維持できるか。
3,半年程度で純資産額500億円に到達できるか。
といった条件をクリアできないと、かなりの高コストになりそうです。
資金流出が少ないほうが売買手数料がかからないというが。
返信削除しかし、買うのも売るのも、手数料は同じでは?
という疑問がうかびました。
コメントありがとうございます。
返信削除>買うのも売るのも、手数料は同じでは?という疑問がうかびました。
その通りですが、買いが多ければ純資産額が増えてみんなハッピーになれます。
しかし、売りは誰もハッピーになれません。