興味深い記事が公開されています。
●松井証券×JCBが挑むクレカ積立 赤字は避けられないのに、なぜ勝負するのか
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2411/30/news065.html
記事の概要は、次のとおり(無料で全文が読めますので、全文を読むことを強くお勧めします)。
1,松井証券とJCBは、これまで赤字必至のクレカ投資には否定的だったが、他社の導入が続き、顧客のニーズを無視できなくなった。
2,松井証券とJCBは、クレカ投資単体での黒字化は諦め、アクティブファンドを志向する富裕層を取り込むための販促費と割り切ることにした。松井証券が業界最高の投信残高ポイントを導入した結果、投信残高は1年で1500億円から3000億円に倍増した。他社からの投信の入庫も増加しており、そのほとんどがアクティブファンドであり、売れ筋ファンドもアクティブファンドが多くなりつつある。
3,JCBは、クレカ投資をきっかけにして、プレミアムカードの会員増加、カード利用額の増加、メインカード化を期待している。成果次第で対象カードの拡大も検討する。
JCBの狙いが上記3であるとしても、松井証券の狙いが明確に述べられていません。推測するに、ネット証券会社がことごとくクレカ投資を導入するなか松井証券だけが導入しなければ競争力を失う(投信残高ポイントだけでは顧客誘引力としては弱い)と考えたものと思われます。
クレカ投資はポイントが最大の魅力ですが、証券口座に投信購入代金を入金する手間が不要になるというメリットも無視できません。松井証券は、2024年12月にマツイバンク(住信SBIネット銀行マツイバンク支店。普通預金口座の金利が0.31%)との自動振替サービス(銀行口座にお金を置いたまま、そのお金を買付余力にできるサービス)をスタートしますが、こちらも証券口座に入金するひと手間を顧客にかけさせないことを狙ったものと言えます。
松井証券が2025年5月、クレカ投資を導入することで、ようやく他社並みになりました。富裕層の取り込みという目論見がうまくいくかどうかは分かりませんが、仮に目論見通りになったとしてもアクティブファンドだけを買われたのでは旨味がありません(投信残高ポイントとして全額バックすることになるため)。
果たして松井証券は手数料を落としてくれる富裕層を確保できるのでしょうか。
いつも面白い話題を提供いただき有難う御座います。
返信削除「強くお勧め」とあったので読んでみましたが、違和感がありますね。
お勧めされた理由は、1)クレカ投資は証券会社赤字=ユーザ黒字、2)アクティブで穴埋め=ユーザ不利、が判る記事だから、ということでしょうか?
この記事は一体誰を読み手に据えているのでしょうかね。
アクティブファンド志向の富裕層(これは「高齢者層」と同義だと思っています)は、株の個別銘柄に手を出す傾向が強い → 証券会社はそこで稼ぐ
返信削除という構図なのでしょうか。
とは言え、クレカ積立をする層がアクティブファンドを好むとは、どうしても思えないのですが。
クレカ積立によって新規に参入する顧客は、松井証券の期待には合致しないような気がします。
コメントありがとうございます。
返信削除>お勧めされた理由は、1)クレカ投資は証券会社赤字=ユーザ黒字、2)アクティブで穴埋め=ユーザ不利、が判る記事だから、ということでしょうか?
松井証券とJCBが新たな地平を切り開こうとしているからです。
「庶民による超低コストインデックスファンドでの資産形成」をめざす他社に追随せず、「富裕層による高コストアクティブファンドでの資産形成」をめざすのは差別化という点では優れていますが、果たしてうまくいくのかどうかは分かりません。
もしこの作戦がうまくいけば、クレカ投資と投信残高ポイントが永続的なサービスになることが期待でき、我々もそれにタダ乗りし続けることができます。
> 証券会社はそこで稼ぐという構図なのでしょうか。
松井証券がどこで手数料を稼ごうとしているのかは分かりませんが、十分な勝算があってのことなのでしょうね。
>新たな地平を切り開こうとしている
返信削除なるほど!記事は松井証券、JCBへの投資家向けメッセージでしたか。
銀行窓口での新NISAのランキング上位にアクティブが多いという話ですし、上位クレカの高額利用者に直接アプローチして取り込む可能性はある程度信じられます。