第10期運用報告書が公開されたので、その内容を確認してみます。
第1期 0.036%(第1期の運用期間は10か月のため、推定値)
第2期 0.038%
第3期 0.035%
第4期 0.048%
第5期 0.043%
第6期 0.069%
第7期 0.051%
第8期 0.034%
第9期 0.029%
第10期 0.022%(2024.10.16~2025.10.14)歴代最安
【参考】
ニッセイ外国株 0.018%(2023.11.21~2024.11.20)
スリム先進国株 0.025%(2024.4.26~2025.4.25)
※計算期間が異なるため、ニッセイ外国株とスリム先進国株の信託報酬を除く実質コストは参考値。
【参考】
ニッセイ外国株 0.018%(2023.11.21~2024.11.20)
スリム先進国株 0.025%(2024.4.26~2025.4.25)
※計算期間が異なるため、ニッセイ外国株とスリム先進国株の信託報酬を除く実質コストは参考値。
上記3ファンドの「信託報酬」は、全て同じ(税込0.09889%)です。
これに対し、上記3ファンドの「信託報酬を除くコスト」は、次のとおりファンドごとで異なります。
1,ニッセイ外国株 0.018%
2,たわら先進国株 0.022%
3,スリム先進国株 0.025%
上記3ファンドの「信託報酬を含むトータルコスト」(「信託報酬」+「信託報酬を除くコスト」)は、次のとおりです。
1,ニッセイ外国株 0.117%
2,たわら先進国株 0.121%
3,スリム先進国株 0.124%
SBI証券は投信マイレージサービス(投信の時価に一定割合を乗じて算出)を提供していますので、投信残高ポイントを考慮してみます。投信残高ポイントは税抜販売会社報酬と同率のため、販売会社報酬がもっとも高いたわら先進国株の投信残高ポイントが最も高いことになります。
投信残高ポイントを考慮すると、たわら先進国株は、ニッセイ外国株より13%、スリム先進国株より20%も安くなります。
1,たわら先進国株 0.121%→投信残高ポイント(0.05%)考慮後0.071%
2,ニッセイ外国株 0.117%→投信残高ポイント(0.0351%)考慮後0.0819%
3,スリム先進国株 0.124%→投信残高ポイント(0.0349%)考慮後0.0891%
1,ニッセイ外国株 0.117%
2,たわら先進国株 0.121%
3,スリム先進国株 0.124%
SBI証券は投信マイレージサービス(投信の時価に一定割合を乗じて算出)を提供していますので、投信残高ポイントを考慮してみます。投信残高ポイントは税抜販売会社報酬と同率のため、販売会社報酬がもっとも高いたわら先進国株の投信残高ポイントが最も高いことになります。
投信残高ポイントを考慮すると、たわら先進国株は、ニッセイ外国株より13%、スリム先進国株より20%も安くなります。
1,たわら先進国株 0.121%→投信残高ポイント(0.05%)考慮後0.071%
2,ニッセイ外国株 0.117%→投信残高ポイント(0.0351%)考慮後0.0819%
3,スリム先進国株 0.124%→投信残高ポイント(0.0349%)考慮後0.0891%
上記3ファンドを1000万円保有したときのコスト(投信残高ポイント考慮後の年額)は、次のとおり(保有額が1億円の人は10倍してください)。
1,たわら先進国株 7100円
2,ニッセイ外国株 8190円(たわら先進国株より1090円高い)
3,スリム先進国株 8910円(たわら先進国株より1810円高い)
もう少し深堀りしてみます(データは最新版にしましたが、内容は前回とほぼ同じです)。
1,たわら先進国株 7100円
2,ニッセイ外国株 8190円(たわら先進国株より1090円高い)
3,スリム先進国株 8910円(たわら先進国株より1810円高い)
もう少し深堀りしてみます(データは最新版にしましたが、内容は前回とほぼ同じです)。
冒頭で整理したとおり、今期(第10期)の「信託報酬を除くコスト」は0.022%と歴代最安でした。歴代最高は第6期の0.069%ですが、その内訳は次のとおりです。
売買委託手数料 0.005
有価証券取引税 0.020
保管費用 0.000
監査費用 0.02
信託事務の処理に要する費用等 0.043
信託事務の処理に要する費用等 0.043
【参考(今期)】
売買委託手数料 0.001
有価証券取引税 0.005
売買委託手数料 0.001
有価証券取引税 0.005
保管費用 0.015
監査費用 0.000
信託事務の処理に要する費用等 0.000
※「0.000」とは、費用が発生しなかったという意味ではなく、費用は発生したものの小数点4桁未満の金額だったという意味です。
ここで「信託事務の処理に要する費用」とは、信託銀行が作成した請求書に記載された金額(信託銀行の手間賃)のことです。
たわら先進国株はマザーファンドを買うだけファンドであり、現物株を保有しているのはマザーファンドになりますが、現物株はマザーファンドが保管しているのではなく信託銀行が保管しています。マザーファンドが現物株を売買するときは信託銀行に指示して行うところ、この事務作業量に応じた手間賃を信託銀行から請求されます。この手間賃が「信託事務の処理に要する費用」となります。
そのため、マザーファンドが保有する現物株の売買の回数が多ければ多いほど、信託銀行からより多くの手間賃を請求されることになります。
また、マザーファンドが保有する現物株を売却すると含み益が確定するため、現物株の所属国に譲渡所得税を支払う必要もあり、それが無駄なコストになります。
このように、ファンドが保有する現物株の売買の回数が多ければ多いほど、信託事務の処理に要する費用と有価証券取引税もまた多くなることになります。
ファンドが保有する現物株の売買の回数の多さを示す指標に「売買高比率」というものがあります。
※売買高比率
https://www.asahi.com/business/fund/toshin/TKY200706230185.html
ポートフォリオ売買回転率とは、ファンドがどのくらい頻繁にポートフォリオ組み入れ株式を売買しているかを表す指標だ。日本では、この指標は「売買高比率」という名称で運用報告書に記載されることになっているが、その定義は計算期間中の株式売買金額(売りと買いの合計)を期中の平均組み入れ株式時価総額で除したものだ。この比率が高ければ高いほどファンドは組み入れ株式の売り買いが多いことを意味する。
一般に売買回転率の低いファンドは、組み入れた株式を長期に保有しているファンド、換言すれば「バイ・アンド・ホールド」方針のファンドとみることができる。一方、売買回転率の高いファンドは組み入れ株式の売買を頻繁に行う「トレーディング」タイプのファンドといえる。そうした積極運用のファンドは、基準価額の変動率つまりリスクも比較的高くなるものと思われる。
ファンドを評価する上で売買回転率を見ることが重要な理由の一つは、回転率の大小が運用コストの多寡を推察する手がかりになるからだ。組み入れ株式を売買する時には売買委託手数料がかかる。頻繁に売買を繰り返せばそれだけ売買委託手数料がかさむことになる。そればかりではない。規模の大きいファンドが大量の組み入れ株式を売却しようとすれば売値を安くしないと売れないし、買い付けの場合は買値を高くしないと十分な量の株式を集められない。いわゆる「マーケットインパクト」という表面にはあらわれないコストが発生する。こうしたトレーディングコストはパフォーマンスの足を引っ張る要因となる。
売買高比率が高いと、有価証券取引税と信託事務の処理に関する諸費用も高くなります。
実際の数値で確認してみましょう。
「有価証券取引税」の推移は、次のとおりです。
第2期運用報告書 0.004%(売買高比率0.21)
第3期運用報告書 0.004%(売買高比率0.12)
第4期運用報告書 0.010%(売買高比率0.41)
第5期運用報告書 0.010%(売買高比率0.42)
第6期運用報告書 0.020%(売買高比率0.89)
第7期運用報告書 0.018%(売買高比率0.97)
第8期運用報告書 0.012%(売買高比率0.45)
第9期運用報告書 0.009%(売買高比率0.39)
監査費用 0.000
信託事務の処理に要する費用等 0.000
※「0.000」とは、費用が発生しなかったという意味ではなく、費用は発生したものの小数点4桁未満の金額だったという意味です。
ここで「信託事務の処理に要する費用」とは、信託銀行が作成した請求書に記載された金額(信託銀行の手間賃)のことです。
たわら先進国株はマザーファンドを買うだけファンドであり、現物株を保有しているのはマザーファンドになりますが、現物株はマザーファンドが保管しているのではなく信託銀行が保管しています。マザーファンドが現物株を売買するときは信託銀行に指示して行うところ、この事務作業量に応じた手間賃を信託銀行から請求されます。この手間賃が「信託事務の処理に要する費用」となります。
そのため、マザーファンドが保有する現物株の売買の回数が多ければ多いほど、信託銀行からより多くの手間賃を請求されることになります。
また、マザーファンドが保有する現物株を売却すると含み益が確定するため、現物株の所属国に譲渡所得税を支払う必要もあり、それが無駄なコストになります。
このように、ファンドが保有する現物株の売買の回数が多ければ多いほど、信託事務の処理に要する費用と有価証券取引税もまた多くなることになります。
ファンドが保有する現物株の売買の回数の多さを示す指標に「売買高比率」というものがあります。
※売買高比率
https://www.asahi.com/business/fund/toshin/TKY200706230185.html
ポートフォリオ売買回転率とは、ファンドがどのくらい頻繁にポートフォリオ組み入れ株式を売買しているかを表す指標だ。日本では、この指標は「売買高比率」という名称で運用報告書に記載されることになっているが、その定義は計算期間中の株式売買金額(売りと買いの合計)を期中の平均組み入れ株式時価総額で除したものだ。この比率が高ければ高いほどファンドは組み入れ株式の売り買いが多いことを意味する。
一般に売買回転率の低いファンドは、組み入れた株式を長期に保有しているファンド、換言すれば「バイ・アンド・ホールド」方針のファンドとみることができる。一方、売買回転率の高いファンドは組み入れ株式の売買を頻繁に行う「トレーディング」タイプのファンドといえる。そうした積極運用のファンドは、基準価額の変動率つまりリスクも比較的高くなるものと思われる。
ファンドを評価する上で売買回転率を見ることが重要な理由の一つは、回転率の大小が運用コストの多寡を推察する手がかりになるからだ。組み入れ株式を売買する時には売買委託手数料がかかる。頻繁に売買を繰り返せばそれだけ売買委託手数料がかさむことになる。そればかりではない。規模の大きいファンドが大量の組み入れ株式を売却しようとすれば売値を安くしないと売れないし、買い付けの場合は買値を高くしないと十分な量の株式を集められない。いわゆる「マーケットインパクト」という表面にはあらわれないコストが発生する。こうしたトレーディングコストはパフォーマンスの足を引っ張る要因となる。
売買高比率が高いと、有価証券取引税と信託事務の処理に関する諸費用も高くなります。
実際の数値で確認してみましょう。
「有価証券取引税」の推移は、次のとおりです。
第2期運用報告書 0.004%(売買高比率0.21)
第3期運用報告書 0.004%(売買高比率0.12)
第4期運用報告書 0.010%(売買高比率0.41)
第5期運用報告書 0.010%(売買高比率0.42)
第6期運用報告書 0.020%(売買高比率0.89)
第7期運用報告書 0.018%(売買高比率0.97)
第8期運用報告書 0.012%(売買高比率0.45)
第9期運用報告書 0.009%(売買高比率0.39)
第10期運用報告書 0.005%(売買高比率0.22)
「信託事務の処理に関する諸費用等」の推移は、次のとおりです。
第2期運用報告書 0.031%(売買高比率0.21)
第3期運用報告書 0.025%(売買高比率0.12)
第4期運用報告書 0.032%(売買高比率0.41)
第5期運用報告書 0.026%(売買高比率0.42)
第6期運用報告書 0.043%(売買高比率0.89)
第7期運用報告書 0.017%(売買高比率0.97)
第8期運用報告書 0.003%(売買高比率0.45)
第9期運用報告書 0.003%(売買高比率0.39)
「信託事務の処理に関する諸費用等」の推移は、次のとおりです。
第2期運用報告書 0.031%(売買高比率0.21)
第3期運用報告書 0.025%(売買高比率0.12)
第4期運用報告書 0.032%(売買高比率0.41)
第5期運用報告書 0.026%(売買高比率0.42)
第6期運用報告書 0.043%(売買高比率0.89)
第7期運用報告書 0.017%(売買高比率0.97)
第8期運用報告書 0.003%(売買高比率0.45)
第9期運用報告書 0.003%(売買高比率0.39)
第10期運用報告書 0.000%(売買高比率0.22)
第6期と第7期の売買高比率が突出して高く、第10期が極めて低いことが分かります。
なお、この売買高比率は、たわら先進国株の売買高比率ではなく、マザーファンドの売買高比率をたわら先進国株の計算期間に対応させたものになるため、あくまでも傾向を確認する程度でしかありません(たわら先進国株の固有の売買高比率は公表されていません)。
たわら先進国株の運用会社に以前確認したところ、
1,マザーファンドの売買高比率が増えれば、マザーファンドが支払う有価証券取引税と信託事務の処理に要する費用も増える。
2,マザーファンドは、支払った有価証券取引税と信託事務の処理に要する費用について、各ベビーファンドに対する割当額を決め、各ベビーファンドに請求する。
3,この割当額は、各ベビーファンドの純資産額に応じて按分するのではなく、各ベビーファンドの実際の売買の実態に応じたものになる。
ということでした。
第6期と第7期の売買高比率が突出して高く、第10期が極めて低いことが分かります。
なお、この売買高比率は、たわら先進国株の売買高比率ではなく、マザーファンドの売買高比率をたわら先進国株の計算期間に対応させたものになるため、あくまでも傾向を確認する程度でしかありません(たわら先進国株の固有の売買高比率は公表されていません)。
たわら先進国株の運用会社に以前確認したところ、
1,マザーファンドの売買高比率が増えれば、マザーファンドが支払う有価証券取引税と信託事務の処理に要する費用も増える。
2,マザーファンドは、支払った有価証券取引税と信託事務の処理に要する費用について、各ベビーファンドに対する割当額を決め、各ベビーファンドに請求する。
3,この割当額は、各ベビーファンドの純資産額に応じて按分するのではなく、各ベビーファンドの実際の売買の実態に応じたものになる。
ということでした。
実際に第6期と第7期を見てみると、第7期のほうが第6期よりマザーファンドの売買高比率が高いのに、たわら先進国株の有価証券取引税と信託事務の処理に要する費用等は第7期のほうが第6期より安いことが分かります。
この意味は、マザーファンドでは第6期よりも第7期のほうが頻繁な売買がなされたが、その原因は他のベビーファンドが頻繁な売買をしたせいだったので、たわら先進国株ではなく頻繁な売買をした他のベビーファンドが費用負担したということになります。
たわら先進国株の運用報告書からマザーファンドの運用コストを抜き出してみます。
第1期 0.038%
第2期 0.030%
第3期 0.033%
第4期 0.033%
第5期 0.040%
第6期 0.040%
第7期 0.071%
第8期 0.038%
第9期 0.041%
第10期 0.021%
このように、第7期(マザーファンド第20期)の運用コストが突出して高い(第6期=マザーファンド19期の1.775倍)ことが分かります。
マザーファンドのコストの内訳を見てみます。
たわら先進国株の第7期運用報告書12頁以下に記載されている
外国株式パッシブ・ファンド・マザーファンド運用報告書 第20期(決算日 2022年2月15日)
(計算期間 2021年2月16日~2022年2月15日)
の1万口あたりの費用明細は、次のとおりです。
(a)売買委託手数料 0.006%
(b)有価証券取引税 0.025%
(c)その他費用 0.040%
合計0.071%
これだけでは分からないので、たわら先進国株の第6期運用報告書11頁以下に記載されているマザーファンドの第19期運用報告の数値を抜き出してみます。
(a)売買委託手数料 0.004%
(b)有価証券取引税 0.013%
(c)その他費用 0.024%
合計0.040%
両者を比較すると、
有価証券取引税が1.92倍
その他費用が1.67倍
に激増していることが分かります。
前述したとおり、これらが高くなったのは売買高比率が原因であると思われるので、マザーファンドの第19期と第20期の売買高比率を見てみます。
マザーファンドの第19期の売買高比率は0.46であるのに対し、第20期の売買高比率は1.30です。
この数字を見ると、マザーファンドは第20期に頻繁な売買をしていたことが分かります。
たわら先進国株の運用会社に以前確認したところ、第20期の売買は第19期の2.906倍(第19期が2000億円だったところ、第20期は6000億円)に激増したということでした。
マザーファンドの純資産額は、
第17期 3496億8900万円
第18期 3704億2000億円
第19期 4775億6500億円(第18期の+1071億円)
第20期 6426億4200億円(第19期の+1650億円)
というように猛烈な勢いで増えており、この過程で多くの売買がなされたものと思われます。
マザーファンドの第23期(2024年2月16日~2025年2月17日)の売買高比率は、たわら先進国株の第10期運用報告書に記載されています。
マザーファンド第23期(今期)の売買高比率は0.21であり、第20期の1.30と比べると激減していることが分かります。
マザーファンドの運用コストも、第19期が0.040%、第20期が0.071%、第21期が0.038%、第22期が0.041%、第23期(今期)が0.021%ですので、頻繁な売買が行われていた第20期は高いコストが発生したものの、混乱は1年で収まり、第21期(2022年2月16日~2023年2月15日)には元通りの水準に戻ったと言えます。
このように、たわら先進国株は、第6期にコストが上振れして心配されたものの、翌年の第7期でうまくいなして、第8期には元通りの水準に戻り、第9期(前期)は新規設定以来で最安となり、第10期(今期)は最安を更新して歴代最安となりました。
というわけで、運用報告書を見る限りでは何も問題点はありませんでした。
ただ、運用報告書には計上されないコストも存在するため、騰落率でも比較してみます。特に問題はなさそうです。
このように、第7期(マザーファンド第20期)の運用コストが突出して高い(第6期=マザーファンド19期の1.775倍)ことが分かります。
マザーファンドのコストの内訳を見てみます。
たわら先進国株の第7期運用報告書12頁以下に記載されている
外国株式パッシブ・ファンド・マザーファンド運用報告書 第20期(決算日 2022年2月15日)
(計算期間 2021年2月16日~2022年2月15日)
の1万口あたりの費用明細は、次のとおりです。
(a)売買委託手数料 0.006%
(b)有価証券取引税 0.025%
(c)その他費用 0.040%
合計0.071%
これだけでは分からないので、たわら先進国株の第6期運用報告書11頁以下に記載されているマザーファンドの第19期運用報告の数値を抜き出してみます。
(a)売買委託手数料 0.004%
(b)有価証券取引税 0.013%
(c)その他費用 0.024%
合計0.040%
両者を比較すると、
有価証券取引税が1.92倍
その他費用が1.67倍
に激増していることが分かります。
前述したとおり、これらが高くなったのは売買高比率が原因であると思われるので、マザーファンドの第19期と第20期の売買高比率を見てみます。
マザーファンドの第19期の売買高比率は0.46であるのに対し、第20期の売買高比率は1.30です。
この数字を見ると、マザーファンドは第20期に頻繁な売買をしていたことが分かります。
たわら先進国株の運用会社に以前確認したところ、第20期の売買は第19期の2.906倍(第19期が2000億円だったところ、第20期は6000億円)に激増したということでした。
マザーファンドの純資産額は、
第17期 3496億8900万円
第18期 3704億2000億円
第19期 4775億6500億円(第18期の+1071億円)
第20期 6426億4200億円(第19期の+1650億円)
というように猛烈な勢いで増えており、この過程で多くの売買がなされたものと思われます。
マザーファンドの第23期(2024年2月16日~2025年2月17日)の売買高比率は、たわら先進国株の第10期運用報告書に記載されています。
マザーファンド第23期(今期)の売買高比率は0.21であり、第20期の1.30と比べると激減していることが分かります。
マザーファンドの運用コストも、第19期が0.040%、第20期が0.071%、第21期が0.038%、第22期が0.041%、第23期(今期)が0.021%ですので、頻繁な売買が行われていた第20期は高いコストが発生したものの、混乱は1年で収まり、第21期(2022年2月16日~2023年2月15日)には元通りの水準に戻ったと言えます。
このように、たわら先進国株は、第6期にコストが上振れして心配されたものの、翌年の第7期でうまくいなして、第8期には元通りの水準に戻り、第9期(前期)は新規設定以来で最安となり、第10期(今期)は最安を更新して歴代最安となりました。
というわけで、運用報告書を見る限りでは何も問題点はありませんでした。
ただ、運用報告書には計上されないコストも存在するため、騰落率でも比較してみます。特に問題はなさそうです。
※「運用報告書には計上されないコスト」とは、例えばブローカーに支払う手数料が保有資産の取得価格に含まれている場合です。
●たわら先進国株
3か月 9.97%
6か月 22.4%
1年 18.82%
●スリム先進国株
3か月 9.98%
6か月 22.41%
1年 18.84%
●ニッセイ外国株
3か月 9.97%
6か月 22.39%
1年 18.81%
一般論で言うと、ファンドから多額の資金が流出入するとリターンが悪化する原因になります。
上記3ファンドの「月次資金流出入額」(2025.1~11)は、次のとおりです。
●たわら先進国株(合計1368億0800万円、月平均126億9254万円)
1月 204億8200万円
2月 131億7900万円
3月 125億3300万円
4月 112億0500万円
5月 150億1700万円
6月 177億6100万円
7月 107億1200万円
8月 118億2700万円
9月 117億6700万円
10月 144億9100万円
上記3ファンドの「月次資金流出入額」(2025.1~11)は、次のとおりです。
●たわら先進国株(合計1368億0800万円、月平均126億9254万円)
1月 204億8200万円
2月 131億7900万円
3月 125億3300万円
4月 112億0500万円
5月 150億1700万円
6月 177億6100万円
7月 107億1200万円
8月 118億2700万円
9月 117億6700万円
10月 144億9100万円
11月 112億4600万円
●スリム先進国株(合計773億1800万円、月平均70億2890万円)
1月 105億2200万円
2月 82億3400万円
3月 81億9300万円
4月 80億2400万円
5月 82億4800万円
6月 60億5900万円
7月 48億3300万円
8月 67億7500万円
9月 56億1400万円
10月 54億4900万円
●スリム先進国株(合計773億1800万円、月平均70億2890万円)
1月 105億2200万円
2月 82億3400万円
3月 81億9300万円
4月 80億2400万円
5月 82億4800万円
6月 60億5900万円
7月 48億3300万円
8月 67億7500万円
9月 56億1400万円
10月 54億4900万円
11月 53億6700万円
●ニッセイ外国株(合計141億3400万円、月平均14億1340万円)
1月 11億4500万円
2月 30億1600万円
3月 29億3800万円
4月 24億1800万円
5月 28億0300万円
6月 16億7400万円
7月 -6億4800万円(流出超過)
8月 10億9700万円
9月 3億9400万円
10月 -7億0300万円(流出超過)
●ニッセイ外国株(合計141億3400万円、月平均14億1340万円)
1月 11億4500万円
2月 30億1600万円
3月 29億3800万円
4月 24億1800万円
5月 28億0300万円
6月 16億7400万円
7月 -6億4800万円(流出超過)
8月 10億9700万円
9月 3億9400万円
10月 -7億0300万円(流出超過)
11月 集計中
たわら先進国株に依然として資金流入が集中し、スリム先進国株は55%、ニッセイ外国株は11%にすぎないことが分かります。
前期(第9期)はこの資金流入がリターンの悪化を招いていましたが、今期(第10期)はうまく処理できているようです。
たわら先進国株に依然として資金流入が集中し、スリム先進国株は55%、ニッセイ外国株は11%にすぎないことが分かります。
前期(第9期)はこの資金流入がリターンの悪化を招いていましたが、今期(第10期)はうまく処理できているようです。
というわけで、たわら先進国株は、前期(第9期)は想定を超える資金流入の処理に手こずってリターンを悪化させていたものの、今期(第10期)はうまく折り合いをつけることに成功しました。
私は、第9期運用報告書の記事で、
資金流入額の多寡はファンドの人気のバロメーターであり、いずれは積み上がった純資産額によって解決されますので(同じ大きさの石を風呂桶に投げ込む場合とプールに投げ込む場合とを想像してください)、しばらくは辛抱するしかありません。
と記載しましたが、辛抱する期間は予想よりも短かったようです。
たわら先進国株 12月18日で10年になるんですね 何かお祝い事などあるのですかね 男爵様の詳細な報告のおかげでこのまま放置することの不安も皆無です ありがとうございます
返信削除コメントありがとうございます。
返信削除>たわら先進国株 12月18日で10年になるんですね
この10年で、基準価額が4.25倍、純資産額が1兆円を超えました。
誰も想像していなかった素晴らしい未来に喜びが止まりませんよね。
>男爵様の詳細な報告のおかげでこのまま放置することの不安も皆無です
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