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2024年3月6日水曜日

eMAXIS Slim「1年たつまで対抗値下げはしません」

eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトで人気を博し、我が国のナンバーワンインデックスファンドシリーズとなりました。

しかし、楽天プラスシリーズやSSGAライトシリーズなど、スリムシリーズよりも信託報酬が安いファンドシリーズが続々と登場しているにもかかわらず、スリムシリーズは対抗値下げを表明せず、沈黙したままでした。

スリムシリーズが対抗値下げに踏み切るかどうかが注目されていたわけですが、本日、


信託報酬がより安い類似ファンドが登場しても、1年たつまで対抗値下げはしません


という驚くべき宣言をしました。



ソースはこちら。

●『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』シリーズの 信託報酬に関する考え方について
https://www.am.mufg.jp/corp/topics/__icsFiles/afieldfile/2024/03/06/oshirase_240306.pdf
昨今、本シリーズより低い信託報酬を謳った類似ファンドが新しく設定されており、投資家のみなさま から本シリーズの対応について弊社コンタクトセンター等にご照会・ご意見等を頂戴しております。
本シリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」というコンセプトを掲げ、信託報酬率を含む運用コストの状況を把握したうえで、ファンドの継続性に配慮しつつ信託報酬率を引き下げることを基本としており、この方針に変更はございません。
昨今新しく設定された類似ファンドの中には、 昨年お知らせしたレターと同様に「法定書類の作成・印刷・交付にかかる費用」や「その他投資信託財産の運営にかかる費用」について信託報酬とは別にファンドに請求しているものや、投資先としてETFに投資しているものの目論見書のファンドの費用欄にETFのコストに関する記載がなく、実質的な運用コストの把握が困難なものもあります。
つきましては、当該類似ファンドの運用報告書等の各種開示情報を比較検討し運用コストが比較可能になりましたのち、適切な判断を行う予定です。
弊社としては、投資家 のみなさまの信頼に引き続き応えられるよう、本シリーズのコンセプトにそった内容の運営に努めてまいります。



そもそも、スリムシリーズは、①一物二価(=既存のeMAXISシリーズの信託報酬を引き下げずに新シリーズを立ち上げた)と②コバンザメ作戦(=自ら単独最安値を更新するのではなく、単独最安値を更新するファンドが登場したらそれと同率に対抗値下げする作戦)が嫌われて伸び悩んでいたところ、

2017年12月26日
米国ETFを買うだけファンド(=雪だるま先進国株)が2018年1月12日に新規設定されることが判明する。

2017年12月29日
スリム先進国株の信託報酬を2018年1月30日に引き下げる旨を発表する。なお、引き下げ後の信託報酬率は、雪だるま先進国株の税抜信託報酬と同率。

●業界最低水準の運用コストをめざす『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』 信託報酬率の引き下げを実施
以下の引き下げは12月26日時点における他社類似ファンドの情報を元に決定されたものです。
2018 年1月30日より、以下ファンドの信託報酬率を引き下げます。 
ファンド名 eMAXIS Slim先進国株式インデックス 
信託報酬率の変更 変更前 変更後 0.1890% → 0.1095%
(注)表記は全て税抜(年率)



というように、わずか3日後に0.1890%から0.1095%への異次元の値下げに踏み切る旨を発表したことがきっかけになって評価がガラッと変わり、大人気ファンドとなりました。

時系列に注目してほしいのですが、スリム先進国株が対抗値下げをする旨を発表したのは雪だるま先進国株の「運用報告書等の各種開示情報を比較検討し運用コストが比較可能にな」った後ではありません。
新規設定日よりも前に、より信託報酬が安いファンドが登場するというニュースを見ただけで、その3日後には対抗値下げを発表するというスピード感に皆が痺れました。しかも、雪だるま先進国株が現物運用ではなく米国ETFを買うだけファンドであるにもかかわらず、何も言わずに黙って対抗値下げをした潔さに皆が痺れました。

私は、今回のリリースを見て、


おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。


というフレーズが頭に浮かびました。

しかし、楽天プラスシリーズにとっては絶好のチャンスが到来しました。
直ちに対抗値下げに踏み切り、しかも最安値をほんのわずかでも単独更新するだけで、守りに入ったとしか思えないスリムシリーズとの圧倒的な違いを分かりやすく可視化することができます。
【参考】
●楽天S&P500、4か月で1000億円に到達も「業界最低水準」ではなく、有言「不」実行
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2024/03/sp50041000.html


スリムシリーズが楽天プラスシリーズの運用報告書を確認するまで対抗値下げをしないと宣言したことで、楽天プラスシリーズは「頑張って信託報酬を引き下げても、スリムシリーズに対抗値下げされたらスリムシリーズの当て馬になるだけで終わってしまう」という心配をせず、安心して信託報酬を引き下げられる時間的猶予を得ることができました。

楽天プラスシリーズにとっては、今がまさにシリーズの命運を決める分水嶺と言えます。

8 件のコメント:

  1. 1年後に下げてくれるなら、それで十分なんですけどね。むしろ明言してくれた分、安心して持てるようになります。

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  2. 楽天もスリムも値下げはしないでしょう。もう完全なる2強のブランドなので裏でガッチリ手を組んでいることは想像に容易いです。

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  3. 2017年当時と比べて、信託報酬はもはや下限に近い競争状況でここから大きく差が出て捲られる懸念は極めて小さく、また純資産水準も何桁も違うため、安定運用を考えるとやむなしでしょうね。むしろ良識あるオルカンユーザーは喜んでいるのでは。

    楽天は証券会社を選ぶので、幾分シェアアップできても、eMAXISに取って替わることはまずないでしょう。

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  4. >弊社としては、投資家 のみなさまの信頼に引き続き応えられるよう、本シリーズのコンセプトにそった内容の運営に努めてまいります。

    コンタクトセンターにガンガン催促やら照会が来ている事自体、自社の行動が遅く後ろ向きでどんどん信頼を失い続けているという認識がない、又はわかっていて敢えて顔を背けている
    オルカン人気にあぐらをかいて受益者よりも自社の利益を再優先する「凡庸な」運用会社に成り下がった
    もうブロガーミーティングやらファンミーティングなんてやる意味ない
    顔の見えない普通のサラリーマン企業に変身したほうがかえってスッキリする
    受益者は余計な期待を抱かないほうが身のため

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  5. コメントありがとうございます。

    >明言してくれた分、安心して持てるようになります

    「適切な判断を行う予定」
    誰にとっての適切なのか、それが問題です。

    >完全なる2強のブランドなので裏でガッチリ手を組んでいる

    楽天プラスシリーズはまだポッと出のルーキーに過ぎませんし、スリムが楽天に何らかの配慮するメリットはありません。

    >良識あるオルカンユーザーは喜んでいる

    スリムシリーズの「業界最低水準」の定義がスリムシリーズのシェアが拡大するにつれて顧客に不利益に変更され続けていることを考えると、スリムオルカンとスリムS&P500が他ファンドを焼き尽くした後にどうなるかが心配です。

    >コンタクトセンターにガンガン催促やら照会が来ている事自体、どんどん信頼を失い続けている

    同感です。

    楽天プラスシリーズがその受け皿となり得る絶好のチャンスだと思うのですが、今まで何らの動きがないことからすると、そこはかとなく「言うだけ番長」のような気もしています。

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  6. 働いている人の給料も上げないとよ。まだ投資家って少数派だし人口減だしバラ色の収益は描けないのかも⁇

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  7. SSGAライトシリーズは早くSBI証券とマネックス証券で販売開始してほしいですね
    そうすれば三菱UFJに対する圧力になるはずです

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  8. コメントありがとうございます。

    >働いている人の給料も上げないとよ

    マザーファンドを買うだけファンドのメリットは、マザーファンドのファンドマネージャーが既に存在するので追加の人件費が要らないという点です。

    >SSGAライトシリーズは早くSBI証券とマネックス証券で販売開始してほしい

    同感です。

    SSGAでさえ販社の確保に苦戦しているわけですから、今にして思うと販社を持っているSBIや楽天は強いですね。

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