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2024年7月30日火曜日

はじめてのNISAオールカントリー、実質コストが判明

はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」の第1回運用報告書が本日開示されました。




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全世界の株式に時価総額比で投資するファンドと言えば、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」です。

その純資産額は3兆8785億円。同じシリーズのスリムS&P500(純資産額5兆0544億円)に続く規模です。


スリムオルカンがこれほどの人気を集めるに至った最大の理由は、税込0.05775%という驚くべき信託報酬の安さです。

しかし、スリムシリーズは、より低コストな同種ファンドが出ない限り自主的な引き下げはしないため、スリムオルカンの信託報酬が0.05775%に引き下げられたのは次の2つのファンドのおかげです。


まず、2023年4月26日、「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」が信託報酬0.05775%で登場しました。この当時のスリムオルカンの信託報酬は0.1133%でしたので、スリムオルカンの50%オフのバーゲン価格でした。

しかし、トレーサーズオールカントリーは指数のライセンス料や法定書類の印刷費用等を信託報酬に含めていないことから、スリムオルカンは早々に対抗値下げしない旨を宣言しました。

そうしたところ、2023年7月10日、「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」が信託報酬0.05775%で登場しました。運用会社が野村アセットマネジメントであったことや、指数のライセンス料や法定書類の印刷費用等を運用会社負担にするという今までどおりの仕組みを採用したことで、スリムオルカンはもはや弁解することができなくなり、2023年9月8日、対抗値下げをしました。


さて、スリムオルカンの対抗値下げの直接のきっかけとなったはじめてのNISAオールカントリーが第1回運用報告書を開示しましたので、既に開示済のトレーサーズオールカントリー、スリムオルカンと比較してみます。

第1回のため、運用期間は2023年7月10日から2024年6月3日までと変則的です。運用報告書6頁記載の信託報酬は0.052%であり、本来の0.058%(四捨五入)に直すには1.1154を掛ける必要があります。修正後の数値は、次のとおり。


信託報酬 0.058%
売買委託手数料 0.006%
有価証券取引税 0.007%
その他費用 0.012%

(保管費用 0.010%)
(監査費用 0.003%)
(印刷費用等 運用会社負担)
(その他 -0.001%)
信託報酬を除くコストの合計 0.025%



スリムオルカンとたわら先進国株(参考)の最新の運用報告書の数値は、次のとおり。


●トレーサーズオールカントリー

信託報酬 0.058%
売買委託手数料 0.005%
有価証券取引税 0.005%
その他費用 0.072%

(保管費用 0.028%)
(監査費用 0.005%)
(印刷費用等 0.034%)
(その他 0.006%)
信託報酬を除くコストの合計 0.082%

※2023年8月3日付訂正有価証券届出書で、「印刷費用等監査費用の合計額の上限が0.10%から0.030%に引き下げられました。第1回運用報告書9頁に記載された合計額は0.039%ですので、第2回運用報告書以降はこれが0.030%になります。



●スリムオルカン

信託報酬 0.076%
売買委託手数料 0.006%
有価証券取引税 0.019%
その他費用 0.030%

(保管費用 0.027%)
(監査費用 0.001%)
(印刷費用等 運用会社負担)
(その他 0.002%)
信託報酬を除くコストの合計 0.055%



●たわら先進国株(参考)

信託報酬 0.099%
売買委託手数料 0.002%
有価証券取引税 0.012%
その他費用 0.021%

(保管費用 0.016%)
(監査費用 0.001%)
(印刷費用等 運用会社負担)
(その他 0.003%)
信託報酬を除くコストの合計 0.034%



はじめてのNISAオールカントリー、スリムオルカン、たわら先進国株にはなく、トレーサーズオールカントリーにあるのは「その他費用」の「印刷費用等」の0.034%です。トレーサーズオールカントリーの運用報告書9頁には「印刷費用等は、法定開示資料の印刷に係る費用、運用において利用する指数の標章使用料など 」と記載されていますので、まさにこの部分がトレーサーズオールカントリーが運用会社負担にせず顧客負担にした部分ということになります。


トレーサーズオールカントリーの「信託報酬を除くコストの合計」0.082%から「印刷費用等」の0.034%を引くと0.048%です。

スリムオルカンの0.055%より優秀ですが、はじめてのNISAオールカントリーの0.025%のほうが更に優秀です。



基準価額の騰落率でも比較してみます(赤字は最優秀=同率1位を含む)。


●はじめてのNISAオールカントリー
1か月 -4.32%
3か月 5.58%
6か月 14.85%
1年 28.88%


●トレーサーズオールカントリー
1か月 -4.34%
3か月 5.58%
6か月 14.85%
1年 28.90%


●スリムオルカン
1か月 -4.33%
3か月 5.58%
6か月 14.81%
1年 28.77%


トレーサーズオールカントリーの上記リターンは、指数のライセンス料や法定書類の印刷費用(上限0.030%)を控除した後の数値ですので、直近1年間の運用成績を見る限りでは極めて優秀と言えます。

しかし、逆に言えば、指数のライセンス料や法定書類の印刷費用をファンド負担にしているにもかかわらず競合ファンドと同等以上のリターンをあげている理由が分からない点で安心して買えません。


また、はじめてのNISAシリーズは、当初はスリムシリーズの有力なライバルになるかと思われましたが、


●「はじめてのNISA」シリーズ、信託報酬はもう引き下げない(野村アセット社長)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/10/nisa_30.html


ということですので、スリムオルカンを買わずにあえてはじめてのNISAオールカントリーを買う理由はありません。

スリム一強時代が揺らぐことはないでしょう。


4 件のコメント:

  1. トレカンも良質な商品ですが、オルカンのかませ犬にしかなっていませんね。ここまで純資産に差が出てきてしまうと対抗が不可能な気がしてしまいます。信託報酬0.01%くらいのファンドを作って、対抗値下げしたオルカンの収益を削りにいくくらいしか対抗策が思いつきません。

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  2. コメントありがとうございます。

    >ここまで純資産に差が出てきてしまうと対抗が不可能な気がしてしまいます。

    同感です。
    指数のライセンス料と法定書類の印刷費用を運用会社負担にしなかったことが最大の敗因だと思います。

    >信託報酬0.01%くらいのファンドを作って、対抗値下げしたオルカンの収益を削りにいく

    やる方もやる意味がないのでやらないでしょうし、スリムオルカンも批判覚悟で対抗しないと思います。

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  3.  いつも為になる記事をありがとうございます。

     今回のたわら男爵さんの記事によるとノムカンが一番いいように思われますが「スリムオルカンを買わずにあえてはじめてのNISAオールカントリーを買う理由はありません」となるのはノムカンはもう信託報酬を下げないということが理由ですか。
     
     教えていただけると嬉しいです。

     よろしくお願いいたします。

    返信削除
  4. コメントありがとうございます。

    >「スリムオルカンを買わずにあえてはじめてのNISAオールカントリーを買う理由はありません」となるのはノムカンはもう信託報酬を下げないということが理由ですか。

    はい。
    コスト競争から離脱してしまったことで、スリムオルカンと並び立つ可能性はなくなったからです。

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