野村アセットマネジメントは、2023年7月10日、信託報酬0.05775%の「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」を新規設定します。
同分野で最大規模(純資産額1兆2258億円)の「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬は0.1133%です。実に50%オフのバーゲンセールということもあり、注目を集めています。
野村アセットマネジメントは、スリムオールカントリーから客を奪うべく、スリムオールカントリーの半額という価格設定にしました。
トレーサーズオールカントリーも同じ発想で構想され、世間の度肝を抜きました。しかし、指数のライセンス料と法定書類の作成費用を運用会社が負担せずに「その他費用」として顧客から徴収することが明らかとなって大きな失望を招き、新規設定(2023.4.26)から2か月が経過した時点で純資産額は8億6300万円と振るいません。
これに対し、はじめてのNISAオールカントリーは、トレーサーズオールカントリーのような小細工はせず、スリムオールカントリーに真っ向勝負を挑みました。
その結果として、スリムオールカントリーが対抗値下げをしたとしても運用コストで初めてのNISAオールカントリーに勝つことができないという事態になっています。
【参考】●【スリムオールカントリーの50%オフ】はじめてのNISA・全世界株式(オール・カントリー)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/50nisa.html
●スリムオールカントリーは対抗値下げしても「はじめてのNISAオールカントリー」にコストで負ける
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/nisa.html
はじめてのNISAオールカントリーは現状では野村證券でしか買えませんが、野村専売品ではないため、多くの人がSBI証券にリクエストすればSBI証券でも取り扱われることになるでしょう(「お問い合わせ」→「リクエストフォームはこちら」からリクエストすることができますので、SBI証券で購入を検討している人は下記をコピペしてリクエストしてください)。
野村アセットマネジメントの「はじめてのNISAオールカントリー」(2023年7月10日新規設定)を取り扱ってほしいです。よろしくお願いします。
はじめてのNISAオールカントリーが仮にSBI証券で取扱いが開始されたとして、スリムオールカントリーを積立買付している人ははじめてのNISAオールカントリーに乗り換えるとしても、たわらノーロード先進国株式などの先進国株ファンドを積立買付している人はどうしたらよいのでしょうか?
※よろしければ、次の記事もご覧ください。
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/533.html
たわら先進国株の信託報酬は、税込0.09889%です。
SBI証券でたわら先進国株を保有すると、年率0.05%の投信保有ポイントがもらえるため、実質0.04889%になります。
これに対し、はじめてのNISAオールカントリーの信託報酬は、税込0.05775%です。
SBI証券は税抜の販売会社報酬を上限として投信保有ポイントを付与するため、はじめてのNISAオールカントリーに対する投信保有ポイントは0.0175%になる見込みです。
そうすると、投信保有ポイントを考慮したときのはじめてのNISAオールカントリーの信託報酬は、実質0.04025%となります。
両者の差は0.00864%。
これは1000万円保有時で年864円の差となります。
超低コスト競争の加速化によって一部で逆転現象が起こっていますが、本来インデックスファンドの信託報酬は、安い順に「日本株→先進国株→新興国株」となります。前者よりも後者のほうが運用の手間がかかるためです。
そう考えると、はじめてのNISAオールカントリーは、先進国株と比較して、より手間がかからない日本株5.5%、より手間がかかる新興国株10.6%(この数字はスリムオールカントリーの最新の月報による)を混ぜたものになるため、先進国株100%のたわら先進国株よりはじめてのNISAオールカントリーのほうが低コストで保有できるのは凄いことです。
とはいえ、私のように新興国株を不要と考える人にとっては、年0.00864%(保有額1000万円ごとに864円)の追加コストを支払って新興国株を除くべきかどうかという判断をしなければならないことになります。
この程度のコスト差であればどちらでもお好みでよいのですが、問題はSBI証券が投信保有ポイントサービスをやめたときです。
コスト差は、たわら先進国株0.09889%-はじめてのNISAオールカントリー
0.05775%=0.04114%(保有額1000万円ごとに4114円)となります。買い換え(たわら先進国株を売却してはじめてのNISAオールカントリーを購入する)を決断するほどのコスト差ではないものの(たわら先進国株を売却すると、コスト差を上回る値上がり益課税の負担があるため)、乗り換え(新規投資先の変更)を決断しそうにはなります。
ただ、スリムオールカントリーを既に買っている人にとっては、仮にスリムオールカントリーが同率に対抗値下げしたとしてもはじめてのNISAオールカントリーにトータルコストで勝てないことからはじめてのNISAオールカントリーに乗り換えるとしても、たわら先進国株を既に買っている人にとっては「新興国株を10%混ぜるべきか」という投資判断をしなければならないため、そう簡単ではありません(我々がインデックス投資をしているのは資本主義の自己増殖性を前提とする株価上昇を信じているからですが、新興国ではヒト・モノ・カネの移動の自由化が保障されておらず、資本主義が十全に機能する前提を欠いているのではないかと思われるからです)。
私は、現時点では、たわら先進国株の積立投資を継続しつつ(SBI証券で5万円、楽天証券で10万円、auカブコム証券で5万円、合計20万円の積立投資をしています)、2024年1月からスタートする新NISAでもたわら先進国株の年初一括投資360万円×5年=1800万円をする予定ですが、新NISAがスタートするまでまだ半年ありますので、はじめてのNISAオールカントリーの運用状況を観察しつつ、ゆっくり考えたいと思っています。
ウクライナ侵攻でロシア株が無価値化して全世界株ホルダーも損害を被りました。
返信削除全世界株(除く非民主国家·独裁国家)ならば買う価値はありますが、自由選挙一つろくにできない国も含むオルカンに投資するメンタリティは私にはないです。
ヤマゲンさんがこの点をどう考えているのか知りたいところです。
想像するに、そういった政治リスクも含んで株価は形成されているのだから有利不利はない、ロシア株の件は致し方なく、逆に先進国が急に非民主化されてしまうことだって有りうるのだからやっぱり全世界株一本がいいんだよ、とでも言いそうです。
私は分散度を高めるために新興国を組み入れるのはリスクリワードが悪いと判断していますが、それでも全世界に投資したい人は先進国+日本+新興国と分けて買うのがいいと思います。
例えば、台湾侵攻が現実味を帯びた際に新興国だけを売却するオプションが持てるからです。
全世界株一本だと、まな板の鯉になるしかありません。
口座、ファンド共に新NISA開始に向けて各社の縄張り争いが激しくなってきましたね
返信削除これまでの年40万、120万なんてちっちゃい案件は野村の対象外だったかもしれませんが、年350万ならターゲットに入ってくるのでしょうか
使う側としては競争の一番いいとこ取りするだけですが、移管の煩雑さから言ってスタートダッシュ失敗したら挽回の可能性はほぼないので証券会社も大変ですね(他人事
全世界株式、先進国株式、米国株式のいずれを選好するかは、ある意味個々人の問題
返信削除【入門講座③】買うべきファンドは7本だけ
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/03/7.html
では、全世界株式だけが一択(オルカンのみ)でした。
買うべきファンドへの追記の可能性を秘めた、
良質(低コストで運用が安定)し、純資産が見込める
「はじめてのNISAオールカントリー」は待望の
ファンドですね。
コメントありがとうございます。
返信削除>全世界株(除く非民主国家·独裁国家)ならば買う価値はあります
「ヒト・モノ・カネの移動の自由化」がポイントですが、非民主国・権威国家は国民の自由を奪いがちですので、投資対象としては怖いですよね。
>ヤマゲンさんがこの点をどう考えているのか知りたい
>全世界株一本だと、まな板の鯉になるしかありません。
ヤマゲン先生はきっとこの心境を善しとするのでしょうね。
>使う側としては競争の一番いいとこ取りするだけ
選択肢が増えるのはいいことですよね。
>良質(低コストで運用が安定)し、純資産が見込める「はじめてのNISAオールカントリー」は待望のファンドですね
同感です。
たわら先進国株の新規設定のニュースを聞いたときと同じような気持ちです。
>全世界株(除く非民主国家·独裁国家)
返信削除・上記に相当する、実績のあるインデックスはありますでしょうか
・インデックスが仮にあっても、マザーファンドの新設にはコスト負担が大きすぎそうです
MSCI ワールド・インデックスは全世界株(除く非民主国家·独裁国家)の受け皿(代替)になり得ますか?
受け皿足り得る場合、先進国株+日本株(MSCI)の既存マザーファンドの組み合わせで商品化できるのでは
ヤマゲン先生の「平均」のポートフォリオを持ってじっとしていることが有利な「平均投資有利の原則」
返信削除非民主国家・独裁国家へのリスクを踏まえても、この原則が成り立つと、まな板の鯉になれると良いですね
コメントありがとうございます。
返信削除>MSCI ワールド・インデックスは全世界株(除く非民主国家·独裁国家)の受け皿(代替)になり得ますか?
「日本を除く先進国株ファンド」が我が国のインデックス投資のかつての主流ですから、新興国株が嫌な人はこちらを買うと思います。
>先進国株+日本株(MSCI)の既存マザーファンドの組み合わせで商品化できるのでは
あえて日本株を混ぜたいと思う人は少ないと思われ、売れそうな感じがしません。
>まな板の鯉
「未来のことは誰にも分からない以上、全てを買っておけば全てに対処できる」というのは一つの真理だと思います。