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2023年8月5日土曜日

Tracers MSCIオール・カントリー、「限界の水準にチャレンジした」

Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」は、2023年8月3日、実質的な信託報酬を0.08675%に引き下げました。

【参考】
●【追記あり】Tracers MSCIオール・カントリー、実質的な信託報酬を税込0.08675%に引き下げ
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/08/tracers-msci008675.html


この点について、日興アセットマネジメントのETF事業本部長がウエルスアドバイザーのインタビューに応じています。



こちらです。


「指数ライセンスフィーなど残高が大きくなることで、相対的にコストを抑えられるものもあり、今回の見直しにあたっては、実際にコストを再点検・検証し、実際のコストの上限を低くできる限界の水準にチャレンジした

「Tracersシリーズは、徹底してコストを引き下げていくという商品性とともに、『こんなの欲しかった』という新しい商品の提供という側面もある。今後も引き続きコストの低減に努めるとともに、わくわくするような商品性を追求した商品開発にも取り組みます。魅力的な商品を提供することによって、ひたすら残高を増やしたいと考えています」
https://www.wealthadvisor.co.jp/market/2023/0803/fund_02086.html


トレーサーズオールカントリーは、2023年4月26日、信託報酬0.05775%で登場し、世間の度肝を抜きました。

しかし、その後、指数のライセンス料法定書類の作成費用を信託報酬とは別途徴収することや、これら費用の上限が0.1%であることが判明したことで、同ファンドに対する期待は急速にしぼんでしまいました。スリムオールカントリーの競合ファンドになるという可能性は失われつつあります。


そのような状況で実施されたのが上記費用の上限を0.1%から0.03%に引き下げるという施策だったわけですが、そのおかげでトレーサーズオールカントリー実質的な信託報酬は0.08675%で確定することになりました。その結果、スリムオールカントリー信託報酬0.1133%)が対抗値下げを拒否する正当化根拠を失うことになり、対抗値下げを求める顧客の圧力はより強まることになるでしょう。


●『eMAXIS Slim』シリーズの基本理念について
https://www.am.mufg.jp/text/oshirase_230413.pdf
当シリーズが信託報酬率を変更する際に参考とする類似ファンドの中には、弊社のeMAXIS Slimシリーズでは信託報酬に含めている「ファンドの計理業務」、「目論見書・運用報告書の作成に係る費用」、「対象指数(インデックス)の商標使用料(ライセンス・フィー)」などを信託報酬とは別にファンドに請求しているものもあります。


ただ、今回のインタビュー記事で興味深かったのは、指数のライセンス料と法定書類の印刷費用の上限が0.03%であることについて、日興アセットマネジメントが「低くできる限界の水準」であると認識しているという点です。

0.03%は「上限」とされていますが、日興アセットマネジメントが「実際にコストを再点検・検証し、実際のコストの上限を低くできる限界の水準にチャレンジした」上で設定したものである以上、1年後に作成・公開される第1期運用報告書の数字も上限の0.03%になりそうです。


私は、


●Tracersオールカントリー、たわら全世界株・スリムオールカントリーより高コストか
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/04/tracers_14.html


で検討したとおり、指数のライセンス料はゼロに等しく、0.03%の上限枠のほぼ全ては法定書類の作成費用で使い切ってしまうのではないか(同社のインデックスファンドNASDAQ100」の実績値からすると、法定書類の作成費用は0.03%どころではなく0.062~0.08%になりそう)と考えています。


ところで、主要なインデックスファンドで指数のライセンス料を顧客負担にしているものはトレーサーズくらいですが、法定書類の印刷費用を顧客負担にしているものはそれなりに存在します。その代表格はSBI・Vシリーズです。

【SBI・V・S&P500の請求目論見書20頁】
本ファンドから支払われる費用には以下のものがあります。
⑥ その他諸費用 
(ⅰ)受益権の管理事務に関連する費用 
(ⅱ)有価証券届出書、有価証券報告書等の作成、印刷及び提出にかかる費用
 (ⅲ)目論見書の作成、印刷及び交付にかかる費用 
(ⅳ)信託約款の作成、印刷及び届出に係る費用
 (ⅴ)運用報告書の作成、印刷及び交付にかかる費用
 (ⅵ)ファンドの受益者に対してする公告にかかる費用ならびに信託約款の変更または信託契約の解約にかかる事項を記載した書面の作成、印刷及び交付にかかる費用


しかし、SBI・Vシリーズの法定書類の作成費用は、次のとおり極めて僅少です。

●SBI・V・S&P500
第1期運用報告書 0.005
第2期運用報告書 0.001
第3期運用報告書(最新版) 0(小数点以下を四捨五入した結果としてゼロ)

●SBI・V・全米株式
第1期運用報告書(最新版) 0.002%

●SBI・V・全世界株式
第1期運用報告書(最新版) 0.011%

●SBI・V・米国高配当株式
第1期運用報告書(最新版) 0.017%



SBI・Vシリーズの法定書類の作成費用の実績値からすれば、トレーサーズオールカントリーも同程度まで安くできそうです。
とはいえ、仮にトレーサーズオールカントリーがSBI・Vシリーズと同程度の水準まで法定書類の作成費用を削減したとしても、指数のライセンス料も含めて運用会社負担とするはじめてのNISAオールカントリーに勝つことはできません。
その意味で、トレーサーズオールカントリーは初動に失敗した感があります。

3 件のコメント:

  1. 男爵さんこんばんは。
    現時点でコスト的には、スリムオールカントリーは、はじめてのNISAオールカントリーとトレーサーズオールカントリーに次ぐ3番手になってしまったんですかね?

    スリムオールカントリーの今後の方針はいつ頃決まるのでしょう?

    返信削除
  2.  たわら男爵さんが指摘しているとおり、指数の使用料をその他費用にするのは理屈が通りますが、法定書類の策定費用をその他費用にするのはおかしいですよね。
     ノムカンがSBI証券で購入できる今どうでもいいことかも知れませんがトレカン(日興アセットマネジメント)は投資家をなめているような気がしてあまりいい気持ちはしません。

    返信削除
  3. コメントありがとうございます。

    >スリムオールカントリーは3番手になってしまったんですかね?

    はい。

    >スリムオールカントリーの今後の方針はいつ頃決まるのでしょう?

    三菱UFJ国際投信としては第1回運用報告書が開示される1年後まで粘りたかったのでしょうが、はじめてのNISAオールカントリーの登場と今回のトレーサーズオールカントリーの0.03%の公表によってそれができなくなってしまいました。

    「基本理念について」というリリースを出したことが裏目に出て、これで値下げをしなければブランド価値が大幅に毀損する事態になります。

    今とっても困っているのではないでしょうか。

    >トレカン(日興アセットマネジメント)は投資家をなめているような気がしてあまりいい気持ちはしません。

    外出ししたいのであれば、最初から「会社の方針で外出しした」とすぐに分かるようにはっきりと明記すべきだったと思います。

    しかも、今に至っても指数のライセンス料(おそらく微々たるもの)に言及するだけで、外出ししたかった本来の目的であると思われる法定書類の作成費用については何も言及していません。

    これは良くないと思います。

    返信削除