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2024年10月14日月曜日

スリム「オール先進国」は、なぜスリム「オルカン(除く新興国)」でないのか

我が国最大のインデックスファンドシリーズである「eMAXIS Slim」シリーズが「日本を含む先進国株式インデックスファンド」を新規設定することは、下記でお伝えしました。
【参考】
●「eMAXIS Slim先進国株式(含む日本)〈オール先進国〉」、10/25に新規設定
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2024/10/emaxis-slim1025.html



スリムオール先進国は「スリムオルカン-新興国株」です。
スリムオルカンの信託報酬が0.05775%スリム新興国株の信託報酬が0.1518%であることから、スリムオルカンから信託報酬が高い新興国株分を除いたにもかかわらず、スリムオール先進国の信託報酬(0.09889%)がスリムオルカンより高くなったのはおかしいと思う人もいるかもしれません。

しかし、スリムオール先進国は、「オール先進国」であって「オルカン(除く新興国株)」ではない以上、これは当然のことです。

指数を見てみます。

●スリムオルカン 
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)

●スリム全世界株(除く日本)
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)

●スリム先進国株
MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)

●スリムオール先進国 
MSCIワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)
※「MSCIコクサイ・インデックス」は、「MSCIワールド・インデックス」から日本株を除いた指数がほしいという日本人のリクエストにMSCI社が応じて作られたもの。



このように、スリムオルカンと「スリム全世界株(除く日本)」の指数名には「オール・カントリー」が含まれているのに対し、スリム先進国株とスリムオール先進国には含まれていません。
だからこそ、スリムオルカンの信託報酬が0.05775%に引き下げられたとき、スリム全世界株(除く日本)の信託報酬は一緒に引き下げられましたが、スリム先進国株の信託報酬はそのままでした。

そして、スリムオルカンの信託報酬0.05775%は、「はじめてのNISAオールカントリー」に対抗値下げしたものであって、三菱UFJアセットが自主的に設定した値付けではありません。
【参考】
●スリムオールカントリー、対抗値下げは「簡単に決断できない」
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/07/blog-post_19.html


つまり、三菱UFJアセットは対抗値下げをしたくなかったものの、日興のトレーサーズオールカントリーは黙殺できても野村のはじめてのNISAオールカントリーは無視できなかったので、嫌々ながら対抗値下げに踏み切ったことになります。
そのため、「スリムオール先進国は、スリムオルカンから高コストな新興国株部分を除いたものだからスリムオルカンよりも低コストにできるはずだ」という意見は、三菱UFJアセットの真意(はじめてのNISAオールカントリーが登場しなければ、スリムオルカンの信託報酬を0.1133%のままにできたのに)に思いを致さないものと言わざるを得ません。

別の言い方をするならば、スリムオルカンの信託報酬は、先進国株、日本株、新興国株のコストを積み上げて自主的に算出したものではなく、0.05775%という数字を他社に勝手に設定されてしまったので、この数字に無理やりに合わせたものということになります。
更に言えば、インデックスファンドの覇権をとったスリムシリーズにとって、積極的に信託報酬を引き下げるモチベーションはもうありません。しかし、ファンドの運用方針として対抗値下げをする旨を明記してしまったがために今更その方針を撤回するわけにもいかず、他社が空気を読まずに更なるコスト競争を仕掛けて来ないように祈っている状態なのだろうと思われます。

しかも、もしスリムオール先進国の信託報酬を0.05775%にしてしまったら、先進国株ファンドの分野で「業界最低水準の運用コスト」を自主更新してしまうことになり、スリム先進国株はスリムオール先進国に対抗値下げをしなければならないことになります。

このような理由で、三菱UFJアセットは、スリムオール先進国の信託報酬をスリムオルカンと同じにせず、スリム先進国株に合わせたものと思われます。

4 件のコメント:

  1. 過去、スリム先進国ファンドへそこそこ投資し、今も運用中の身としては、どこかの会社がこの分野で空気を読まずに値下げするのを何年も待っているのですが、インデックス投資のトレンドが米国株、全世界株と移り行き、忘れられた存在になってしまいました。

    スリムが新しい先進国ファンドを出したことで、空気の読めない強力な対抗馬が現れることを期待します。

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  2. 命名がおかしいですよね。
    名称をベンチマークに合わせるなら「スリム世界株」のはずですし。
    スリムシリーズは遅かれ早かれ、先進国とs&p500は値下げせざるを得ないとは思いますが…

    返信削除
  3. コメントありがとうございます。

    >スリムが新しい先進国ファンドを出したことで、空気の読めない強力な対抗馬が現れることを期待します

    先進国株が売れ筋商品であれば期待できるかもしれませんが、時代はオルカンと米国株、時々インド株に移り変わってしまいましたので、なかなか難しいと思います。

    単独最安値を更新し続けているたわら先進国株も、先進国株で最も売れているファンドになったことで更なる値下げのモチベーションはないでしょうし。

    >名称をベンチマークに合わせるなら「スリム世界株」のはずです

    先進国だけが世界だった時代の名残なのでしょうね。

    >スリムシリーズは遅かれ早かれ、先進国とs&p500は値下げせざるを得ない

    スリムは楽天も無視していますので、よほどのファンドが出現しないと難しいかもしれません。

    >するどい!

    ありがとうございます。

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