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【先頭固定】誰でもできる超カンタン投資術(2024.3)

本稿は、当ブログ(「 たわら男爵のインデックスファンド投資術 」)及び旧ブログ(「 40代でアーリーリタイアしたおっさんがたわら先進国株でベンツを買うブログ 」)の集大成として、何らの知識がなくても実践できる資産形成の具体的なやり方をお伝えするものです(この記事の後で カテゴリ ...

2023年6月18日日曜日

【質問】セゾン投信を全売却して他の投信に乗り換えたい

ご質問をいただきました。


いつも勉強させていただいており、今回はアドバイスいただければ幸いです。
私はセゾンのグローバルバランスと、資産形成の達人を積立しています。気がつけば評価金額が合計て7,517千円。リターンが1,767千円程度です。
経費も高いのでこれを気に、他の投資信託を検討しています。銘柄も含め、投資方法をアドバイスいただけますでしょうか。



セゾン投信は、会長CEOの中野晴啓さんが創業した投信会社ですが、その株主はクレディセゾン60%、日本郵便40%です。
中野晴啓さんがセゾン投信を創業した目的は、「長期投資にふさわしい投資信託をできる限りの低コストで提供したい」というものでした。中野さんは、2007年4月3日付けの「長期投資仲間へのメッセージVOL・1」で次のように述べています。


大手金融機関系列の名だたる会社とは、一味ちがう会社になりたい、そのメッセージが発信したくて、参入したのです。そのポイントは圧倒的な差別化によって、圧倒的な顧客(投資家)支持を得ることだと考えています。そのビジネスモデル構築には、既存の投信業界、金融機関を徹底して研究すること、そしてそのアンチテーゼを掲げ実践することだと心得ました。その結果たどり着いたのは、『投信会社としてあたりまえのことをあたりまえに実行していこう』という単純な結論です。それは経営の視点を投資家の皆様と同じサイドに立たせること、資産形成を地道に行いたいという多くの生活者のニーズに応える長期投資のお手伝い、そして長期投資仲間の創造と応援です。長期投資の軸を絶対にブレさせず、投資家本位の商品を作る、それは運用成績をしっかり出すことに尽きますが、良い運用成果を阻害する最大要因の極小化、つまりできる限りの低コストを実現することが、その基本的前提として導き出されたのです。無駄なコストを徹底的に省き信託報酬もギリギリまで小さくしました。これらはすべて皆様の長期投資を大いにサポートします。そして、今までには無かった長期投資に思いきり舵を切ったポートフォリオを構築し、懸命に運用をする ことで、皆様の財産づくりに誠実に取り組む姿をメッセージとして出し続け、「信頼」を得るためにひたすら頑張るのみです。



私も、2007年当時、中野さんが提唱した「長期投資にふさわしい投資信託をできる限りの低コストで提供したい」という理念に痺れ、セゾン投信に直販口座を開設し、セゾングローバルバランスファンドの積立投資を始めました。

セゾン投信が創業した2007年当時、信託報酬は1.0%が当たり前でした。
セゾン投信は、信託報酬1.0%が当たり前だった時代に0.47%(セゾングローバルバランスファンド)ないし0.54%(セゾン資産形成の達人ファンド)という圧倒的低コスト(もっとも他社の投信を買うだけファンドですので、セゾングローバルバランスファンドで+0.3%、セゾン資産形成の達人ファンドで+0.76%のコストが上乗せされます)のファンドを投入したことで絶大な人気を得ました。

しかし、その後、低コストインデックスファンドが相次いで新規設定されます。
2008年1月9日に「SMTグローバル株式インデックス・オープン」、2009年10月28日に「eMAXIS先進国株式」、2010年4月6日に「外国株式インデックスe」が0.5~0.6%の信託報酬で登場したことで低コスト競争がスタートしました。
そして、2013年12月10日に「ニッセイ外国株式」が信託報酬0.39%で、2015年12月17日に「たわらノーロード先進国株式」が信託報酬0.225%で登場したことで超低コスト競争がスタートしました(「eMAXIS Slim先進国株式」が新規設定されたのは2017年2月27日ですが、その信託報酬はその当時の「ニッセイ外国株式」と同率であり、業界最安値を単独更新したものではありませんでした。なお、2015年9月18日に信託報酬0.25%の「三井住友・DC全海外株式」が一般販売を解禁したことで、2015年11月21日に「ニッセイ外国株式」が信託報酬を0.24%に引き下げ、2015年12月10日にたわらノーロード先進国株式」が信託報酬0.225%で登場したとも言えますので、超低コスト競争の夜明けは「三井住友・DC全海外株式」が一般販売を解禁した2015年9月であったと言えるでしょう。そして、同年11月に「ニッセイ外国株式」がいち早く対抗値下げに踏み切り、同年12月に「たわらノーロード先進国株式」が業界最安値を単独更新して登場したことで、ここから超低コスト競争が本格的にスタートすることになります。ちなみに、三井住友・DC全海外株式」は「三井住友・DCつみたてNISA・全海外株」に名称変更しますが、信託報酬は税抜0.25%のまま引き下げをせず現在に至ります)。

低コスト競争は0.5%台でしたが、超低コスト競争は0.2%台です(超低コスト競争は最終的に0.1%を切るところまで激化しています)。
セゾングローバルバランスファンドの信託報酬は税込0.56%(投資先の投信の信託報酬を含む)であり、たわら先進国株の信託報酬(税込0.09889%)の5.66倍ですから、両ファンドの間には無視できないコスト差があります。

しかし、セゾングローバルバランスファンドの純資産額は4000億円弱もあります。
ということは、相当数の人が「このコスト差を埋めるほどのバリューがセゾングローバルバランスファンドにはある」と考えているということになります。そのバリューとはすわなち中野晴啓さんの存在にほかなりません。

ところが、セゾン投信は、中野さんを切り捨てるという選択をしました。
【参考】
●【さよならセゾン投信】中野晴啓会長、6月28日でクビ(追記あり)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/628.html
●「セゾン投信からいつでも自ら離れる権利がある」(中野晴啓・セゾン投信会長)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/blog-post.html
●「全国を回って集客するあなたのやり方はもう通用しない」(セゾン投信の中野晴啓会長、4月に呼び出され6月末でのクビを通告される)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/46.html
●「中野晴啓ではセゾン投信は大きくなれない」(林野・クレディセゾン会長)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/blog-post_12.html#more
●「セゾン投信を知らない客にも売りまくり、5兆円にする」(林野・クレディセゾン会長)
https://tawaradanshaku.blogspot.com/2023/06/5.html


中野さんがいなくなったセゾングローバルバランスファンドに超低コストインデックスファンドとのコスト差を埋めるほどのバリューがあるとは思えない人は、セゾングローバルバランスファンドを売却して超低コストインデックスファンドに乗り換えるという選択をすることになるでしょう。


冒頭の質問に戻ります。

私ならば、セゾングローバルバランスファンドとセゾン資産形成の達人ファンドの双方を全売却し、同日、SBI証券でたわら先進国株を一括購入します。
セゾングローバルバランスファンドの半分は債券、11%弱が日本株と新興国株であったり、資産形成の達人ファンドの3割が日本株・新興国株であったりというように、日本を除く先進国株に投資するたわら先進国株とは投資対象が微妙に異なりますが、「リスク資産」という観点から見れば同じであると言えますし、インデックス投資で重要なのは市場に居続けることであり市場にいない時間がないようにすべきであると考えると、同日売買がよいと思うからです。

セゾン投信で保有する2ファンドの時価が751万7000円で含み益が176万7000円ということは、35万8966円の税金が差し引かれるため、手取りは716万円ほどになります。
そこで、無リスク資産が716万円あるのであれば、セゾン投信を全売却する注文をした日にSBI証券で716万円のたわら先進国株の購入注文をすればよいのですが、無リスク資産が100万円しかなければ、セゾン投信で100万円の売却注文を出した日にSBI証券で100万円の購入注文をし、セゾン投信の売却金が着金したときに2回目の100万円の売却注文と購入注文をし、ということを繰り返すことになります(私が個人名義の証券口座から資産管理会社名義の証券口座にたわら先進国株を移す際も、このようなやり方にしました)。

なお、乗り換え先のファンドは超低コストインデックスファンドであれば失敗はしないでしょうが(何を買うかよりもバイアンドホールドを継続することの方が大事です)、私ならばたわら先進国株にする理由は下記記事をご覧ください。
【参考】
●【先頭固定】誰でもできる超カンタン投資術(2023.5)


7 件のコメント:

  1. いつも大変勉強になります。

    私も中野さんの解任にショックを受けておりますので、気分的にはファンドを持っていれば解約したいと思います。

    〉中野さんがいなくなったセゾングローバルバランスファンドに
    〉超低コストインデックスファンドとのコスト差を埋めるほどの
    〉バリューがあるとは思えない人は、
    〉セゾングローバルバランスファンドを売却して
    〉超低コストインデックスファンドに乗り換える
    〉という選択をすることになるでしょう。

    首肯いたします。
    ただ、タイミングとして「現時点で/すぐに」解約・乗換をするのはどうなのでしょう。

    セゾン・グローバルバランスファンド、セゾン資産形成の達人ファンドとも、個別株を買っているわけではない(ファンド・オブ・ファンズ)し、信託財産留保分もあるので、解約が増えたとしても急に成績が悪くなるわけではない種類のファンドだと思います。
    質問された方の情報を拝見すると、新NISA約2年分の金額のように思いますが、
    今は、定期積立をやめて超低コストファンドを購入するよう変更するだけにするのはどうでしょう。

    〉バイアンドホールドを継続することの方が大事です

    首肯いたします。
    だから、セゾン投信のファンドを乗り換える(売却する)のに、利が乗っていれば課税されるのはご指摘の通りですので、その機会は1回だけでいいような気がします。
    (新NISAのために乗り換えるおつもりなら)2024年1月新NISA1年分、2025年1月にのこり全額を解約したほうが合理的(有利)な気がします。
    もっとも、質問者様が、新NISAを最速の5年で埋められる資力があって、今すぐに乗り換えることが合理的だと考えているのなら別ですが。

    たわら男爵様はいかがお考えでしょうか。

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  2. コメントありがとうございます。

    >2024年1月新NISA1年分、2025年1月にのこり全額を解約したほうが合理的(有利)な気がします。

    私ならば、セゾン投信を今売って、そのお金で特定口座でたわら先進国株を一括購入し、2024年1月になったら特定口座のたわら先進国株を売却して新NISA口座でたわら先進国株を買います。

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  3. 男爵様
    Guitar様

    この度はご丁寧なアドバイスをいただきありがとうございます。

    補足と質問をさせていただいてます。
    補足①当方は51歳となり、60歳までは働く予定です。

    補足②積立NISA枠については、毎年の限度額までは、今後用意出来る予定です。

    それを踏まえて質問となります。

    質問①債権もリスク資産なため、やはり先進国株インデックスがお勧めでしょうか?

    質問②売却と購入を同日にするのは、何かメリットがあるのでしょうか?

    以上、素人の質問となりますが、宜しくお願いします。

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  4. >相当数の人が「このコスト差を埋めるほどのバリューがセゾングローバルバランスファンドにはある」と考えているということになります。そのバリューとはすわなち中野晴啓さんの存在にほかなりません。

    私の場合、全くその通りです。
    中野さんの著書に触発されて投資を始めたので、中野さんには感謝ばかりです。
    いつも爽やかな語り口調の中野さんも、ずっと苦労されて、多大なストレスの中、全国周りをされてたのですね。
    今後の中野さんの身の振り方に注目しております。

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  5. 男爵様

    別の話題で申し訳ないですが、(今日は20日ということで)TポイントとVポイントの統合」で
    私としては、20日のウエルシアTポイント1.5倍が2024年初以降も継続してほしいです。

    三井住友VISAカードでのクレジットカード積立でもらっているVポイントは、今は「支払いにキャッシュバックk(充当)」としていますが、これが20日のウエル活に利用できるようになると有難いです。

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  6. コメントありがとうございます。

    >質問①債券もリスク資産なため、やはり先進国株インデックスがお勧めでしょうか?

    私ならば、セゾン投信の売却金(税控除後)は株式部分・債券部分にかかわらず、全額をたわら先進国株の購入資金にします。
    あと10年程度働く見込みであって、近い将来にセゾン投信の売却金を使いたいといった事情がないということであれば、あえて債券部分の売却金を預貯金等で取っておく必要はないと思います。

    >質問②売却と購入を同日にするのは、何かメリットがあるのでしょうか?

    相場に居続けるため(=リスクにさらす資産額を同じ金額にするため)です。

    >今後の中野さんの身の振り方に注目しております。

    クレディセゾンの社長は中野さんの提案(セゾン投信の買収)を否定していますので、新会社を作るのではないでしょうか。
    とはいえ、セゾン投信の創業時とは異なり、今は超低コスト競争の時代ですから、私はもっと慎重になってニーズの有無を考えるべきだと思っています。

    >Vポイントが20日のウエル活に利用できるようになると有難いです。

    私は、ウエルシアが今年に入ってWAONPOINTを導入したのはTポイントとの手切れに備えたからではないかと思っていますので、期待していません。

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  7. 男爵様

    お世話になっております。
    丁寧にご説明いただきありがとうございます。

    たわら先進国を第一優先に検討致します。

    これからもブログを楽しみにしています。

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